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長期化したテレワークで気が付いたメリットとデメリット

情シス
熱海 徹 氏
この記事の内容
1. これからのテレワーク運用を考える
2. 在宅勤務から出社が増えて変化したこと
3. 長期化したテレワークで、さまざまなストレスを感じる
4. テレワークによる業務においての孤立感
5. 対面でのコミュニケーション不足
6. 非効率的な働き方によるストレス
7. 長時間労働と運動不足によるストレス
8. コミュニケーション不足に陥らないための解決策と情シスの役割
まとめ

1. これからのテレワーク運用を考える

1年で最も短い2月は如月(きさらぎ)と言う。寒い日も続くが、立春を過ぎた頃合いから少しずつ春の気配を感じられるようになってくる。季節の変わり目には、病気になりやすく病魔や疫禍が横行すると思われてきた。そんな季節の到来だ。

近年のコロナ禍では、世の中にテレワークを急速に広げるきっかけとなった。しかし、そろそろかつての“通常”のワークスタイルに戻そうという動きも出ていると聞く。テレワークを「続けたい」という声が聞かれる一方で、対面機会が減ったことによるデメリットが出ているのも事実だ。デメリットの中で僕が一番気になるのが業務においての孤独感だ。テレワークにはメリットが多いことから、どのような運用を行っていくのがよいのか考えてみたい。

2. 在宅勤務から出社が増えて変化したこと

個人的な話になるが、昨年の10月から出社が8割、テレワーク2割のスタイルになった。在宅勤務を2年間行っていたので、正直、出勤となると足取りが重く大変だった。ところが起床時間が決まると、定期的な行動がむしろ心地よくなり体調に変化が現れた。睡眠もよくとれるようになった。ほかにも改善したことが多く、びっくりしている。冒頭で季節の変わり目は体調を壊しやすいと言ったが、定期的な行動(運動)をしたことで、オン、オフの切り替えができ、休日に何をしようかと、楽しいことを考えるようになった。

出勤することが自分にとってはプラスの行動だったのかもしれない。気分的な問題かもしれないが、ストレスが相殺されたのではないかと思う。対面ではちょっとした雑談などカジュアルなコミュニケーションを行うことができる。相手の表情が見える効果は信頼関係を構築するには必要なのかもしれない。

在宅勤務から出社が増えて変化したこと

3. 長期化したテレワークで、さまざまなストレスを感じる

長期化したテレワークのデメリットや、ストレスをためない方法について解説したい。テレワーク環境においては、通勤時間の短縮や、育児や介護との両立、業務に集中できるなどのメリットがある。テレワークは出社する必要がないため、自宅での仕事はストレスフリーな働き方に思えたかもしれない。

ところが、長時間労働や不十分な業務環境、効率低下などストレスの原因になるものも数多く存在していると聞く。テレワークが原因かは断定できないが、ストレスを感じている方はいないだろうか。

今までテレワーク環境の中で、個人的にはストレスをためない行動をしてきたつもりだが、知らない間にストレスがたまっていることに気がついた。終業するのもパソコンの電源を切るだけで業務から抜け切れていない。あくまでも長期化して感じたことではあるが。オン、オフの面でマイナスとプラスでの打ち消し合いができていない印象だ。あくまでも個人的な感想だが、このマイナス面がストレスになって残っていると思えるのである。

4. テレワークによる業務においての孤立感

テレワークの導入当初は、コロナ感染予防という目的もあって、通勤時間がなくなり、朝の時間に余裕ができたとか、身体的に楽になり、家で仕事ができるようになったことでメリットを感じていた。とは言ってもコロナが収束した時には元の状態に戻ると思っていた。

しかし、未だにコロナは収束しておらず、テレワークは長期化している。直接、誰とも話さないという時間が長きにわたると、自分自身が何をしているのかわからなくなり不安になるなどと孤立感を覚えるケースは増えている。

仕事とは関係なくても趣味やイベント開催が少なくなり、友人と飲みに行く機会がなくなり、思うようにできなくなっている今は、他者との接点が希薄どころか、全くなくなっているケースもある。テレワークが長期化したことで、家庭内でもテレワーク中は静かにしなければならず精神的な居場所がなくなり、ストレスがたまる原因になっている方も多いのでないだろうか。

5. 対面でのコミュニケーション不足

テレワークでは、直接社員同士が会う機会が少ないため、コミュニケーションが取りにくいというデメリットがある。コミュニケーション方法がオンラインになったため、情報共有の量が圧倒的に減ってしまった。これによって細かなニュアンスを伝えることができなくなり、行き違いや誤解も生じているのではないだろうか。

オフィスで働いている時に比べて、業務に必要なコミュニケーションをとることが難しくなるのは仕方ないが、思ったように仕事を進められずにストレスを感じていないだろうか。リモート会議では、質問ひとつするにしても進行の中、割り込みにくいし、関係資料の置き場所にしても共有ファイルの中から自分で探さなければならない。このため、ちょっとしたやり取りの影響を強く受けやすくなったり、自分自身のメンタルも弱ったり、後まわしにしてしまったり、あとは自分で何とかしなければいけないが、「まーいいか!」の状態になったりしてしまう。

資料の置き場所については、階層の深い場所にあることが多く、発見しにくいものにもストレスを感じることがある(笑)。

6. 非効率的な働き方によるストレス

誰しも自宅で快適に仕事できる状態になっているとは限らず、中には業務環境が整っていない社員もいるかもしれない。その場合、在宅環境では十分なパフォーマンスを発揮できないという訳だ。そうなると、テレワークよりオフィスのほうが働きやすいと感じてしまい労働環境はストレスになるだけではなく、生産性の上がらない原因にもなっているのである。

テレワークでのブレスト会議だが、時間通りに終わることはなく、何度も繰り返しても先に進まない非効率的な働き方になってしまうことはないだろうか。オンライン会議で「何かありますか?」という問いに対しても「ここでは別に言うほどのことじゃないかな」と思うと、発言を遠慮してしまったり、何かを言うこと自体をあきらめてしまったりしている。この結果、相互理解ができず、何度も同じ議論をしていて効率の悪い会議が繰り返されている。

7. 長時間労働と運動不足によるストレス

テレワークは場所・時間を問わず働けるため、長時間労働の引き金になるケースがある。特に自宅で仕事をしているとオンとオフの区別をつけにくく、自分のペースもあるため比較的ダラダラと仕事をしてしまうケースがある。個人管理に任されているところが、実はストレスの原因になっているのかもしれない。

さらに、自宅で仕事をしていると体を動かす機会が減り、運動不足になりがちだ。日々の通勤も体を動かす機会の1つなので、通勤不要で時間を効率的に利用できるようになった反面、ほとんど運動する機会がなくなっている。通勤を再開してみて気が付いたことだったが、強制的な行動で適度な運動はストレスの解消に本当に役立っていたのだ。慢性的な運動不足にならないように気をつけてほしい。

ストレスの解消法としては、散歩の仕方を意識している。歩く距離を問題にするのではなく、身支度して玄関から外に出て、一歩足を前に出すところだ。僕の場合この瞬間にリセットできるのである。歩き始めると、周りに気を付け安全に歩くことを考えたり、気温、風、匂いを感じながら何も考えてずに「ぼーっ」とすることで切り替えたりしている。ぼーっとすることは自分の脳を休めることだと思っている。どんな方法でもいいので、何も考えない時間を意識して作ってほしい。

8. コミュニケーション不足に陥らないための解決策と情シスの役割

テレワークでも業務を効率よく行うためには、チームのメンバーがどのような状況で業務に取り組んでいるのかを把握しておくことが、大事なポイントになる。具体的にはスケジュールの共有によってチーム全体の業務を可視化するとともに、グループチャットなどを活用して常に情報を共有しながら進捗状況を把握することが大切だ。カレンダー入力はこまめに行い、活動状況をわかりやすく可視化するのも解決策である。

しかし、社員にはITが苦手な人もいて、使いづらいツールでは積極的に使ってもらえないケースも考えられる。情シスとしても、自社の業務に合う機能を備え、なおかつ使いやすいコミュニケーションツールを導入することが重要になってくる。双方向のコミュニケーションが取れるツールを取り入れれば、直接かかわる機会が減るテレワークでのコミュニケーション不足を補うことが可能になる。

この部分をリードしていく情シスの役割は今後も新しいワークスタイルに合わせた会社経営にとっても重要なポジションであることは間違いない。今後、出勤とテレワークの「いいとこ取り」をしたハイブリッド型が主流になる。情シスの対応についても現在使用しているコミュニケーションツールが自社に適したものなのか、社員の意見も求めながら再度検討してみてはどうだろうか。

まとめ

テレワークは快適な働き方のように見えても、ストレスの原因になる点がいくつも隠れている。しかし、適切に対処すればストレスの原因を減らして働きやすい環境を実現できるのも事実。自然災害のような思いがけない出来事や、パンデミックなどが、今後もまたいつ起きるか予測不能だし、テレワーク環境を継続することは、企業にとって必要なことである。

その中でテレワークのストレスが原因で体調を崩しては元も子もない。ツールには個人チャット、グループチャット、スタンプなど、さまざまな機能を使えば、コミュニケーションが促進され「誰が何をしているか」がわかるので、孤独感の解消が望めるものも多くある。

これからはテレワークとオフィスワークをバランスよく組み合わせた「いいとこ取り」の働き方にしていきたい。ハイブリッド型にすることで、ストレスの少ない環境が実現しニューノーマル時代の働き方になるのではないだろうか。

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熱海 徹(あつみ とおる)氏

■著者紹介■

熱海 徹(あつみ とおる) 氏
1959年7月23日、仙台市生まれ、東京都在住

40年近く日本放送協会 NHK に籍を置き、一貫して技術畑を歩んできた。転勤の数は少ないが、渡り歩いた部署数は軽く10を超えている。その中でも情シス勤務が NHK 人生を決めたと言っても過言ではない。入局当時は、放送マンとして番組を作るカメラマンや音声ミキサーに憧れていたが、やはり会社というのは個人の性格をよく見ていたんだと、40数年たった現在理解できるものである。20代の時に情シス勤務をしたが、その後に放送基幹システム更新、放送スタジオ整備、放送会館整備、地上デジタル整備等、技術管理に関する仕事を幅広くかかわることができた。今まで様々な仕事を通じてNHK内の人脈が自分としては最後の職場(情シス)で役に立ったのである。考えてみたら35年は経過しているので当たり前かもしれない。2016年7月には自ら志願して、一般社団法人 ICT-ISAC に事務局に出向し、通信と放送の融合の時代に適応する情報共有体制構築を目標に、放送・通信業界全体のセキュリティ体制整備を行った。ここでも今までの経験で人脈を作ることに全く抵抗がなかったため、充実した2年間になった。私の得意なところは、人脈を作るテクニックを持っているのではなく、無意識に出来ることと、常に直感を大切にしているところである。

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