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情シスに求められるスキル! 聞き手が耳を傾けるプレゼン力を身につける方法

情シス
熱海 徹 氏
この記事の内容
1. プレゼンや会話の「苦手」を克服するには?
2. 誰しも多忙な時代、「手短に端的」に話すことが求められている
3. 緊張を和らげるテクニック
4. 耳を傾けてくれるコミュニケーション
5. 相手を巻き込んだ会話が、距離を縮める
6. プレゼンは「次が見たくなる、聞きたくなる」紙芝居のようなもの
まとめ

1. プレゼンや会話の「苦手」を克服するには?

皆さん、こんにちは。情シスレスキュー隊員? 熱海(あつみ)です。
人前で話すのは緊張する、苦手だと言う方が多い。僕は、講演会の仕事をする機会が多く、大勢の前で90分間しゃべり続けたことがある。正直、同じ講演が再現できるかわからない。

今日のコラムは、会話やプレゼンの直前で緊張を和らげ、スピーチがうまくできるコツをお話ししたい。前職(NHK)情シス勤務の時は、システムの説明会や、障害時の状況説明会で役に立ったので、ぜひ参考にしてほしい。

2. 誰しも多忙な時代、「手短に端的」に話すことが求められている

最近は、世間でしゃべるスピードが速くなっている気がする。限られた時間内に、どれだけ多くの情報を発信できるかが求められているからかもしれない。

プレゼンに限らず、どのような場面のコミュニケーションでも、双方が忙しい中では、接点を短くし、効率的に仕事を進めることが望ましい。これは、経営層にプレゼンする場面では最も注意を払っていたところだ。

かつて僕も、「手短に端的に言いなさい」と言われた記憶がある。一度、「手短ってどれくらいか?」と聞いたら、上司から「長くならない話だ」と返された。「むむっ」と思い、意味がわからなかった(笑)。

しゃべるスピードが速くなる理由も、「手短に端的」に話すことが求められていることと類似しているのかもしれない。ぜひ、情シス運用でも、上層部に障害報告する際、職員に周知する際に役立ててほしい。

3. 緊張を和らげるテクニック

大勢の前で発表をする時や初対面の人と会話をする時、新しい職場に入った時など、生活の中で緊張する場面がたくさんある。緊張してドキドキしてしまうと、普通の状態ではなくなる。僕の場合は、緊張するのは準備をしてきたからで、緊張は自分の力を引き出すためのものと暗示をかけている。

僕の講演前のルーティンは、「目を閉じて腹式呼吸」を数回繰り返すこと。もう1つは、大きな「あくび」である。眠いわけではないが「あくび」をした後は、体の力が抜ける感じがするからだ。ステージに上ったら、会場のお客様と「目の合った方」、「うなずいてくれる方」を2、3人見つけることが大切だ。前列に座っているお客様がうなずいてくれたら、その方々に向かって話を始めればいい。お客様に講演に参加してもらい、相手を巻き込んだ会話にすれば話しやすい環境が誕生する。

4. 耳を傾けてくれるコミュニケーション

コロナ禍の中、Webミーティングでは、「今日の会議は1時間で終わり」などと時間設定を行うことが当たり前のようになった。参加者は効率よくゴールを目指すという目標があるから、今までにはなかった緊張感もある。しかし、効率的にと言っても互いが寄り添う気持ちを大切にして、一方的な話にならないように気をつけたい。

例えば、情シス運用での障害報告や情報共有をする場合、話の起承転結よりも「この話の重要なところ」「最優先で行うこと」から話を進めることが求められる。つまり、なぜこの話をしているのか、その目的を納得してもらい、相手が「腹に落ちる」ことが大事なのである。詳細の説明を闇雲にダラダラ頭から読み上げることはやめた方がいい。まず相手との「合意形成」を意識してほしい。それが実現することで、相手が耳を傾けてくれるのである。

上手な話し方をするのに大切なことは、課題解決の形で進めることである。例えば「質問と回答」を自分自身に行い「今やることで一番優先すべきことは何でしょうか? はい、パソコンのセキュリティ対策です」という具合に話す。自分で問いを投げかけて自分で答える。相手との距離を縮める技術の1つである。このようにして、聞く側に興味を持ってもらうことが大切なのである。

耳を傾けてくれるコミュニケーション

5. 相手を巻き込んだ会話が、距離を縮める

会話やプレゼンで心がけていることは、できるだけ周りの人を会話に参加させることである。相手を巻き込んで会話をすることで、距離を縮めることができる。会話やプレゼンは自分語りだけで完結させずに、相手を巻き込むことが必要ということである。

例えば、会場にいるお客様に対して世間で注目を浴びているニュースの場合は、「みなさんもご覧になりましたか? ニュースでサイバー攻撃の脅威は大きな問題になっています」というように、周りの人を巻き込み、これから話す内容に近づけるようにする。

ほかにも、初対面で会話する場合には、意識して相手の名字や役職、社名を使うようにするなど、会話に巻き込み距離を縮める努力をしてもらいたい。

また、会話の中で「だいたい」というような曖昧な言葉を使って説明すると、説得性に欠ける。「データ」に基づき数値を引用し伝えることが重要だ。言葉の言い回しや表現でも相手を惹きつけるために「体言止め」を使っている。

6. プレゼンは「次が見たくなる、聞きたくなる」紙芝居のようなもの

プレゼン資料はページごとに完結せず、数ページ単位で構成する。話題が変わる時の「つながるコメント」が重要になってくる。簡単に言うと、話題を変える時に紙芝居のような、次につながるストーリーを組み立ててほしい。別紙が多くて、行ったり来たりするプレゼンは嫌われる。資料が飛んでも、全体が1つになるような組み立てが必要ということである。

さらに、聞く側から質問が来た場合、反論せず、まずは相手の物言いを「肯定すること」から始めるとよい。少しでも同意できれば「仰る通り」と先に言って自分の意見を述べるようにしよう。

まとめ

ITが進化し、連絡事項の伝達だけならメールで事足りる時代だが、お互い顔を見てこそ伝わることもある。むしろface to faceで語り合う時間は貴重になってきた。対面でのコミュニケーションでは、相手から「実は……」といった話を聞くこともできる。

情シスの運用に関しては、テンプレートを使用して効率よく報告書が作成できるようになり、情報共有などにも当たり前のように様々なコミュニケーションツールを使用しているが、口頭による説明などの必要性は未だに残っている。

重要なことは「問題点の一致」である。相手がいる会話は「合意形成」が前提なのである。今回のコラムを思い出していただければ、必ずプレゼンは上手になる。ぜひ試してもらいたい。

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熱海 徹(あつみ とおる)氏

■著者紹介■

熱海 徹(あつみ とおる) 氏
1959年7月23日、仙台市生まれ、東京都在住

40年近く日本放送協会 NHK に籍を置き、一貫して技術畑を歩んできた。転勤の数は少ないが、渡り歩いた部署数は軽く10を超えている。その中でも情シス勤務が NHK 人生を決めたと言っても過言ではない。入局当時は、放送マンとして番組を作るカメラマンや音声ミキサーに憧れていたが、やはり会社というのは個人の性格をよく見ていたんだと、40数年たった現在理解できるものである。20代の時に情シス勤務をしたが、その後に放送基幹システム更新、放送スタジオ整備、放送会館整備、地上デジタル整備等、技術管理に関する仕事を幅広くかかわることができた。今まで様々な仕事を通じてNHK内の人脈が自分としては最後の職場(情シス)で役に立ったのである。考えてみたら35年は経過しているので当たり前かもしれない。2016年7月には自ら志願して、一般社団法人 ICT-ISAC に事務局に出向し、通信と放送の融合の時代に適応する情報共有体制構築を目標に、放送・通信業界全体のセキュリティ体制整備を行った。ここでも今までの経験で人脈を作ることに全く抵抗がなかったため、充実した2年間になった。私の得意なところは、人脈を作るテクニックを持っているのではなく、無意識に出来ることと、常に直感を大切にしているところである。

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