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テレワークにおける重要課題「気軽な雑談」方法とは?

情シス
熱海 徹 氏
テレワーク
雑談
この記事の内容
1.雑談は、会話の基本という考え方
2.ケースで見る、雑談のポイント
3.雑談は「心理的安全性」に寄与する
4.テレワーク時代に雑談を実現する4つの方法
5.まとめ

1.雑談は、会話の基本という考え方

新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワーク、時差出勤、時間帯を複数に分けたローテーション勤務など、全ての社員がオフィスに出社するのではない働き方が広まってきた。出社しないので、感染リスクを減らすことはできるが、オフィスに社員が集まらないため、従来行われていた仕事以外の会話=雑談が減ってしまった。これまで、雑談というものをあまり意識したことはなかったが、部署間の連携、新規提案や社員のメンタルに支障をきたすといった弊害が出ていると聞いている。

といっても、情シスはテレワーク整備を急ピッチで行い、運用サポートやヘルプデスク業務の忙しさでコミュニケーションどころではないのが実情かもしれない。自席で昼食を済ませ、問い合わせの電話にうんざりし、一日中、社員へのヘルプばかりでたまらない毎日を過ごしてはいないだろうか。

一方、社員の中には在宅勤務が続くと、会社内のコミュニケーション不足がますます進み、Web会議では相手の表情から感情や考えがつかみづらく、どうしたらいいか悩んでいる方がいるようだ。

正直、コロナによる影響前はどういう行動をしていただろうか?
僕の場合、朝起きて朝食を済ませ、通勤電車に乗り、スマホで情報収集をする。会社につくと、まずはパソコンに電源を入れコーヒーを飲みながらメールチェック。徐々に周りに社員が集まってきて、社員同士の会話の様子を見たり、自分も世間話をしたり、仕事モードに変わるにはそれほど時間がかからなかった気がする。周りに社員がいるのが当たり前の風景で、電話の声、笑い声が聞こえたりする。一見ノイズ(雑音)ではあるが、心地いい音だったのかもしれない。このように仕事モードのスイッチが自然に入ることが当たり前の状態だったのだ。

在宅勤務になればこのような状況は全くなくなり、自ら仕事モードに切り替えなければならなくなった。コロナ禍が収束するまでは我慢しなければならないが、情シスの現場はどうだろうか。社員からの問い合わせ対応が会社から自宅に変わったことで、問題解決までの時間が増えてしまったのではないだろうか。また、業務量の増加とコミュニケーション不足によって調子を崩す人もいると聞いている。

今までに経験したことのない状況下ではあるが、雑談を意識したコミュケーションを取って欲しい。それは昨今のテレワークになって、雑談をすることがとても大切だったのではないか、と言われるようになってきたからだ。情シス担当者同士でも是非、仕事上の情報交換だけでなく、雑談を取り入れて欲しいと思う。

2.ケースで見る、雑談のポイント

そもそも雑談とは面白いネタを話すことか?
価値ある情報のやり取りなのか?
その決め手になるのは内容か?
または話術か?

たわいもない会話かもしれないが、会社に出勤していた時は、そこから仕事のアイディアが生まれ、精神的に楽になるなど、今となってみれば必要不可欠な行動であったと実感する。決して無理に行っていたことではなく、要するに会話が盛り上がればいいので、話の内容や口のうまさに関係なく、相手と楽しく話すことができればいいということだ。

雑談で注意したいところは、相手に何らかのアドバイスをしたいと思っても、いきなり相手の感情を無視してアドバイスするのではなく、まずは「わかる!」と相手に共感してから話を進める点である。積極的に雑談を盛り上げる必要はないと思うが、本題に入る前の接着剤として信頼関係がスムーズに構築できるのではないだろうか。

簡単に言うと、「相手の感情を表す言葉に反応する」ことである。つまり、相手が「うれしい」「悲しい」「楽しい」「イライラした」といった自分の感情について説明し始めた場合、示された感情に共感する。ひとまず相手の話を聞いて「わかる」という言葉からつなげていくのである。自分の意見を述べる前にあいづちを打つことが大切だ

簡単な例だが、実際にあった会話である(Aは僕)。
A
おはよう。
Bさん
おはよう。
A
最近スマホの文字が小さくて見えづらくなった。歳とったのかなー。
Bさん
眼鏡のレンズが合ってないんじゃない?
A
確かにそうかもしれない。でも別にレンズの話じゃないんだよなー。
Bさん
僕も最近見えなくなって眼鏡変えたんだ。眼鏡屋さん紹介しようか。
A
いやー別にいいです。では…

この場合、A(僕)とBさんの間には、雑談に対する認識の違いがあり、A(僕)は、単純に「情報量も多いし、その分字が小さくなって見づらい」という話をして、「そうだね!」とか、「わかる! その気持ち!」と感情を共有したいだけだったが、Bさんは「小さい字が見づらい」という問題に対する解決策を示そうとしていて、この話題に対して、最終的にどうするべきかという「結論」を出そうとしている。

確かに、文字通りの意味に捉えればその通りだが、僕のつれない反応を見るに、「ありがた迷惑」であることは明白だ。要するに結論ありきではなく、共感する行為が大切ではないかと思う。

下記のようにできたらいいのだが…

A
おはよう。
Bさん
おはよう。
A
最近スマホの文字が小さくて見えづらくなった。歳とったのかなー。
Bさん
確かに文字は小さいし見えづらいね。しかも情報量も多いしね。
A
でも、歳のせいもあるかもね。
Bさん
そうだね。僕はスマホで字を大きくして対応してるよ。
A
僕もやってるよ。ところで、この間の件なんだけど…

このように、A(僕)は、解決方法を聞きたかったのではなく、なんとなく見えなくなってきたことを知って欲しかったという、「共感」を求めていただけで、雑談とは本題に入る前の接着剤のようなものである。

また、雑談が社員向けにできるということは、お客様に対しても関係していることが多い。世間話ができ、雑談、余談ができる人はどこでも好まれる人になっているのではないか。

雑談で気をつけたいところは、前もって準備をするのではなく、目の前に起きていることを意識することが大切である。雑談が上手くなるには「目に見えること」を褒めることや、気にすること、つまり「共感」からスタートした方がよく、本心から感じたことに基づいてコメントするといい。

3.雑談は「心理的安全性」に寄与する

情シスは「安定運用、早期問題解決」を意識して行動している。社員が1人1台の端末を使う会社が増える中、何かトラブルがあればヘルプデスクに救助を求めるため、情シスと社員は形式的な会話にならざるを得ない。テレワーク前は、各部署に情シス窓口的な担当者がいて、情シスとのパイプ役が負担を軽くしていた時があった。

このようなコンタクトポイント(窓口)は情シスにとっても助かる存在であった。現在はその職員も在宅勤務をしているため、個人対応が原則となっている会社が多いと聞いている。業務量が多く、手際よく処理するため雑談などをする雰囲気ではない。正直、クレーム的な問い合わせばかりではないが、そんな気になれないのが実情なのだ。

とはいえ、職場での雑談は、社員の生産性向上やモチベーション向上に大きく影響するとも言われている。例えば、1人で向き合ってつまずいていた業務も、気軽に上司・同僚とコミュニケーションを取ることで、細かなアドバイスを受けやすくなり、報告も社内で上がりやすくなる。イノベーションも、業務では話す機会が少ない人とのコミュニケーションや、チームとのたわいもない雑談を通じて生まれることが少なくない。

生産性への直接的な影響に留まらず、雑談は社員のメンタルコンディションやモチベーションにも大きく影響している。雑談をすることで、周りの人と仕事以外のつながりができるため、話しやすい環境を作ることができたり、社員の「心理的安全性」の向上に寄与し、会議での発言が出やすくなったり、結論に納得しやすくなる効果が出たりする。このような雑談が今までできていたのは、直接、対面で会話をしていたからではないだろうか。

4.テレワーク時代に雑談を実現する4つの方法

では、オフラインとオンラインの仕事環境が併存する中、企業はどのようにして雑談をオンラインで取り入れていくべきか? テクノロジーを駆使しながら、オフラインと同じような効果を生む工夫が必要になってくる。

雑談をオンライン会議でやろうとすると、相手の顔を見るとカメラ目線から離れ、カメラを見ると相手の目を見て会話ができない。また、会話のたびにマイクをON、OFFに切り替えていると、重なった会話や、リアクション(笑い声)などがないため、まるでトランシーバーで送信ボタンを押しながら会話をしているかのようになってしまう欠点がある。まさに「トランシーバー状態」になると用件を手短にまとめることが大切で、現在のオンライン会議システムでは、雑談をやりにくいのである。

「トランシーバー状態」とは、自分が話をしていると、相手の声が聞こえないことを比喩で使っている。いきなりトランシーバーが出てきて分かりづらいと思うが、僕の趣味がアマチュア無線であり、前職が放送局の技術だったためトランシーバーを普通に使う生活をしていたため出てきたのである。

このように雑談=カジュアルコミュニケーションは、オフラインの場(対面)で生まれるものがほとんどで、オンラインの環境下では相手の状況や表情が見えないため、話しかけるタイミングを見計らうのが難しいなど、意思疎通をとりにくいと感じるのが正しいかもしれない。

そこで、今までの対面での雑談をそのままオンラインでやるのではなく、新しい方法を使って同様の効果を狙うのがよいのではないか。何点か案を考えてみた。

①気楽につぶやける場所を作る

自分の仕事が途切れた時、同僚の独り言チャンネルを見にいって、スタンプやコメントで反応できるような場所があれば、いい気分転換になるだろう。例えばビジネスチャット上に自分のタイムラインを作るイメージだ。わざわざ誰かに話しかけるほどでもない。ちょっと息抜きにつぶやきたいだけ。雑談を強制的にさせるのではく、吐き出した内容に共感することを表すだけで、効果が出てくるはずである。

今後、会社に出勤する社員と在宅社員に分かれそうだが、業種によっても違いは存在するだろう。雑談は本題に入る前の接着剤と言ったが、このように自分が抱えている問題を解決するために使うのではく、共感してもらうための場所にしてみてはどうだろうか。

しかし、会社の人との信頼関係構築も大切で、順番も重要である。全てを個人任せにするのではなく、会社組織としての行事(厚生行事)も本来は不可欠ではないだろうか。

僕が組織に馴染んだのも、今ではあまり考えられないが、ソフトボール大会、ドライブクラブなどが普通にあった時代で、社員との触れ合いで信頼構築ができ、雑談が生まれやすい環境があった記憶がある。懐かしいことを言っても仕方がないことは理解しているが…

雑談をするうえで注意して欲しい点が2つある。

その場で結論づけない
雑談の定義は、結論づけようとしないということだと考えているが、その時の内容によっては、結論に走るケースが多い。ただ、結論づけようとする行為は、リラックスした雰囲気を壊してしまい、相手に気軽に胸のうちを話しにくくさせてしまう。結論をつけることは相手をジャッジすることにつながり、上から目線だという印象を与えて、話しにくい相手だと思われるだけでなく、雑談が続かない原因にもなる。肩の力を抜いて他愛のない会話をする心地のよさを味わって欲しい。話をする相性も大切で、最初から相性が悪いのではなく、上記のような行為がそうさせるのかもしれない。

その相手に共感を示し、会話をする
結論を求めない雑談では、相手の感情に共感を示すことが、大切なポイント。
「こんなことがあってうれしかった」「疲れた」などの感情を含む会話を相手が振ってきた時は、まずはその感情をうけとめて「よかったですね」「それは大変でしたね」などと返したうえで、相手が感じた気持ちやその後どうしたかを引き出すような会話につなげられるとよい。まずは相手が話したいことを聞き、あくまでも主導権は相手に握らせたまま、会話が続くよう心がける。

しかし、どちらからどのように雑談をするかで、対応が変わってくる。話をただ聞いて欲しい時、意見を述べて欲しい時もあるのでケースバイケースであり、ネットでの雑談はより難しい状況になるかもしれない。

僕の場合は、まずは相手からの話を聞き、もし何も出てこなければ、自分の身の回りの話題に触れることを心がけている。会話をする前に何点か準備するようにしている。まずは聞くことを優先しておかないと、いつも自分から話すことになってしまうからである。

それでは、具体的な方法について話を戻したい。

②チャットツールで「雑談専用」のスレッドを作る

最も簡単に始めやすい方法としては、普段業務で用いているチャットツールを活用する方法が挙げられる。例えば、カジュアルコミュニケーション用のスレッドやチャンネルを作成し、あいさつ、天気などの話をするだけでも効果的だが、加えてお互いの役に立つようなテーマなどを設けることで、より話しやすくなる。

③オンラインのカジュアルコミュニケーション機会を作る

オンラインでカジュアルコミュニケーションを意識的に作ることも有効。例えば、普段業務で用いているビデオ会議用ツールで、「コーヒーブレイク」のような、カジュアルコミュニケーションをとる時間をセッティングする。朝礼の時間、ランチ、午後のコーヒータイムなど1日のリズムを作りやすい時間に入れると、気分転換ができるため一層効果的。普段あまり話さない他部署のメンバー同士のペアを組んで会話を促してみたりすると、気分が変わり新しいアイディアが生まれるかもしれない。

④情シスは外部のコミュニティに参加してみる

情シスが社員と自由なコミュケーションができるかというと、あまり現実的ではないと思う。そこで情シス同士、または外部の情シス間のコミュニティを利用することをおすすめする。

コミュニティの例:「 ソフクリ365倶楽部 」(ソフトクリエイト主催)

5.まとめ

雑談が得意な人は、意識しなくてもできる人かもしれない。雑談をしなければと思った瞬間から「ぎこちない会話」になる。雑談を意識する前に、相手の話に「共感」することを試して欲しい。

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熱海 徹(あつみ とおる)氏

■著者紹介■

熱海 徹(あつみ とおる) 氏
1959年7月23日、仙台市生まれ、東京都在住

40年近く日本放送協会 NHK に籍を置き、一貫して技術畑を歩んできた。転勤の数は少ないが、渡り歩いた部署数は軽く10を超えている。その中でも情シス勤務が NHK 人生を決めたと言っても過言ではない。入局当時は、放送マンとして番組を作るカメラマンや音声ミキサーに憧れていたが、やはり会社というのは個人の性格をよく見ていたんだと、40数年たった現在理解できるものである。20代の時に情シス勤務をしたが、その後に放送基幹システム更新、放送スタジオ整備、放送会館整備、地上デジタル整備等、技術管理に関する仕事を幅広くかかわることができた。今まで様々な仕事を通じてNHK内の人脈が自分としては最後の職場(情シス)で役に立ったのである。考えてみたら35年は経過しているので当たり前かもしれない。2016年7月には自ら志願して、一般社団法人 ICT-ISAC に事務局に出向し、通信と放送の融合の時代に適応する情報共有体制構築を目標に、放送・通信業界全体のセキュリティ体制整備を行った。ここでも今までの経験で人脈を作ることに全く抵抗がなかったため、充実した2年間になった。私の得意なところは、人脈を作るテクニックを持っているのではなく、無意識に出来ることと、常に直感を大切にしているところである。

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