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システム障害時、パニックから抜けすためには?

情シス
熱海 徹 氏
この記事の内容
1. “緊急報道”から学んだ混沌の時代への備え方
2. 経営層はサイバー攻撃に敏感になっている
3. 混沌からなかなか抜け出せない、こんな場面を想像してほしい
4. 実体験から学んだ、混沌から抜け出すための方法
5. パニック時に、どうしたら冷静に行動できるのか?
6. 一歩引いて広い視野で考えることが重要
7. 普段から物事を整理整頓しておくことが重要
まとめ

1. “緊急報道”から学んだ混沌の時代への備え方

2022年4月、新年度がスタートした。桜の開花、満開のニュースを聞くと、気持ちが明るくなる。コロナ感染の状況が完全に収束していないものの、WITHコロナの生活が定着してきた。一方、誰もが予測できなかったことが起きている。戦争による被害状況を見るたびに心が締め付けられ、辛い。ネットは、戦場をリアルに中継放送しており、目を背けたいが、今起きている出来事をしっかり見なければいけないと思う。

現在、世界は混沌とした状況なのだろう。色々なことが入り混じっていて、この先どうなるのか全く予想できない。このような状況を作らないルールや、安全機構があるのに機能しないのには無力感を覚える。

このような混沌とした社会で、混乱を起こさないために自らがどのようにしていくべきか、何をすべきかが重要である。混沌とした状況とは、色んなことが入り混じって、「ごちゃごちゃ」の状態。カオスとも言い、ちらかった状態のことである。

このような混沌とした状態でパニックにならず、その中から抜け出す方法についてNHKで学んできたことを紹介したい。僕の仕事のメインは技術職で、特に緊急報道の仕事は使命感を持って取り組んでいた。緊急報道は、自然災害、事故など突然発生する出来事を扱う。いかに慌てず的確に体制を作り対処するかにかかっている。

これらのノウハウは、情シスのシステム障害対応にも生かされており、今回はそこにフォーカスを合わせて話したい。例えば、地震に対する心構えであるが、慌てない行動を前もって考えておくとよい。僕の場合、家にいる場合には、まずテレビなどのスイッチを入れ、入り口のドアを開けることがルーティンになっている。

2. 経営層はサイバー攻撃に敏感になっている

コロナ禍の影響で仕事のスタイルが大きく変わった。情シスの業務としては、テレワーク推進をしながら、社内イントラネット、基幹システムのハイブリッド管理が必要になり、ゼロトラスト的な仕組みが求められている。

さらに、世界情勢の変化は日本にどのような影響を及ぼすのか。不安は数多いが、混沌としている状況から、さらに混乱を招いてしまっては大変なことにつながる。パニックが被害を増幅してしまう恐れがあるからだ。

例えば、情シスの運用管理の分野で言うと、最近は経営者がサイバー攻撃の影響に敏感になっていることが挙げられる。今までは「自分の会社にはあまり関係ない」と思っていた経営層も“本気モード”に入ったのかもしれない。しかし、突然、経営層が出てきて「なぜ? どうして? 原因は?」などの質問の嵐でパニック状態を作ってしまっては本末転倒だ。

3. 混沌からなかなか抜け出せない、こんな場面を想像してほしい

情シスは、自分たちが日常から抱えている仕事をこなしているだけでなく、その都度起こった問題にも対処している。しかし、運が悪いことに、ネットワーク障害など、トラブルが複数重なってしまうようなこともある。気づいてみれば四方八方問題だらけになってしまって、何から対処すればいいのかわからなくなり、問題の区別がつかなくなってしまうケースを想像して欲しい。

これは、「頭の中が混沌としている」という状態だ。たくさんの物事が入り混じり、自分でも訳がわからなくなっている状態で、「ごちゃごちゃ」になっている。担当者はどうにかしてこのような状況から抜け出そうとしていても、火に油を注ぐ者が現れたりする(少なくとも僕は経験している)。

このような状況で、担当者が冷静に対応していても、上層部からの「なぜ、障害が発生したか?」、「何が原因?」、「いつ正常に戻る?」…などといった質問攻めで、パニック状態に引き戻されてしまっていることがよくあるのだ。

混沌からなかなか抜け出せない、こんな場面を想像してほしいパニック状態(イメージ)

4. 実体験から学んだ、混沌から抜け出すための方法

仕事が終わり、会社から自宅に帰った直後、不意に着信があり「退社直後にシステム障害が発生した」と聞いた時の話をしよう。

電話の内容は「システム障害が発生したので出勤して欲しい」というものであった。何が何だかわからず、被害の状況だけが気になり動転してしまった。すぐに会社に引き返したが、移動中は意外に冷静であった。現場にいればパニックに陥ってしまうところだが、冷静な頭だと、確認したいところが思い浮かんだり、頭の中での対処方法を組み立てられたりしたことを覚えている。

パニックに陥ると、四方八方から情報が入ってくるが、整理できない状況になってしまうことがわかった。パニックに陥るということは、問題に対処するための作業に支障をきたしている状態だ。少しまとめると、混沌という状況は、たくさんのものが入り混じってしまっている状況。その状況から抜け出すには、まずは冷静になって一つひとつの出来事や物事を紐解いていかなければならない。混沌としているからといってパニックになってしまっては、その状況を改善することは難しい。自分が今、どういう状況になってしまっているのか、どういった物事が入り混じっているのかを、分析しなければならないということである。

障害対応において、俯瞰的に見ることの重要性が言われているが、この時は現場から離れていたので、冷静に俯瞰的な立場になれたのかもしれない。

5. パニック時に、どうしたら冷静に行動できるのか?

パニックは突然起きるものである。まずは状況把握ができず、被害内容がわからない。何からどうしたらいいかわからない状況だ。トンネル内で火災事故が発生した場合、どこに逃げたらいいのかわからず、迷っている状態のことだ。

僕が今まで経験したことだが、状況を整理する意味でも、自分だけでなく周りを落ち着かせることも必要なのである。自分は冷静でも、周囲の影響で意外に混乱してしまうことがあるからだ。システム障害が発生し、現場対応でまず行うことは、ホワイトボードを自分の机のわきに準備することだった。不安なところはありながらも、この瞬間は自ら「障害を退治する」という前向きの感覚を作るためである。

ホワイトボードに手書きで状況を聞き取り書き込むと、対応のヒントが見えてくる。実は、このホワイトボードは、担当者を一箇所に集めて作る対策本部のイメージでもある。ホワイトボードに書き込んでいくと色々な情報が整理されるので、状況把握にはとても有効な手段だと思っている。

パソコンを使って、モニターに投影したこともあったが、ホワイトボードは直接書き込んだり、紙を貼り付けたりすることが瞬時にできるため、どんな時でも利用していた。状況を整理して情報が共有されれば、冷静になり対処に向けた要員を手配したり、周知・連絡すべきことなどに気が付いたり、外部からの質問への対応が標準化されたりするなど、効率的な作業にもつながるのである。

パニック時に、どうしたら冷静に行動できるのか?ホワイトボードの活用

6. 一歩引いて広い視野で考えることが重要

混沌とした状況に陥ってしまった場合、自分が今いる立場から一歩引いた視点で、俯瞰的に物事を観察するように心がけている。

先に挙げたようにホワイトボードを使う理由もそこにある。あえてその場所から離れて外の空気を吸ってみるのもいいと思う。視野が狭くなると、より深刻な状況に陥ってしまうので気をつけたい。

一歩引いて広い視野でその物事を観察していれば、焦ることなく解決できると思う。そのためにもホワイトボードに書き込めば、視野を広げることができるという訳だ。

一歩引いて広い視野で考えることが重要俯瞰的な視点

7.普段から物事を整理整頓しておくことが重要

トラブルが発生している時は、全員が復旧に向けて取り組んでいるが、後になって一つひとつの物事を整理して考えてみると、そこまで難しい問題ではなかったということに気が付くことがある。冷静になるのが必要であり、普段からできることとして、自分の考え方を整理することが大切なのかもしれない。

例えば、複雑な物事が複数からみ合っているシステムを一度紐解いてみることも必要なのである。混沌から抜け出すには状況をよく見ることと、難しい問題ほどシンプルに考えることが必要で平時に対応すべきことなのである。

しかし、平時にシステム障害を想定した復旧を考えるのは難しく、理論的には大丈夫と言っても、考えが及ばないのが普通である。複雑になっているシステムについては代替え措置を考慮しておくべきである。複雑で面倒なものほど目の前にした時に萎縮してしまい何もできない状態になるからだ。

まとめ

人は、自分の感情で行動の質なども変わる。混沌とした状況に悩み、立ち止まってしまっている人も多くいる。そんな時こそ自分のできることを見つけ、とにかく突き進んでいくことが大切。気持ちの部分で前向きに考えた方がよい結果を得やすい。実際、失敗すると思って行動すれば本当に失敗しやすくなるし、絶対に成功すると思って行動すれば成功する確率は上がる。それだけ気持ちというのは大切なのだ。

トラブルに同じものはなく、過去の経験だけに頼るのはよくない。パニックを起こす場合でも、状況を把握するためには冷静になることだ。何を優先に対処するのかを決める場合でも、俯瞰的な見方ができるか否かが重要になってくる。そのためにも自分のルーティンを決めておくとよい。

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熱海 徹(あつみ とおる)氏

■著者紹介■

熱海 徹(あつみ とおる) 氏
1959年7月23日、仙台市生まれ、東京都在住

40年近く日本放送協会 NHK に籍を置き、一貫して技術畑を歩んできた。転勤の数は少ないが、渡り歩いた部署数は軽く10を超えている。その中でも情シス勤務が NHK 人生を決めたと言っても過言ではない。入局当時は、放送マンとして番組を作るカメラマンや音声ミキサーに憧れていたが、やはり会社というのは個人の性格をよく見ていたんだと、40数年たった現在理解できるものである。20代の時に情シス勤務をしたが、その後に放送基幹システム更新、放送スタジオ整備、放送会館整備、地上デジタル整備等、技術管理に関する仕事を幅広くかかわることができた。今まで様々な仕事を通じてNHK内の人脈が自分としては最後の職場(情シス)で役に立ったのである。考えてみたら35年は経過しているので当たり前かもしれない。2016年7月には自ら志願して、一般社団法人 ICT-ISAC に事務局に出向し、通信と放送の融合の時代に適応する情報共有体制構築を目標に、放送・通信業界全体のセキュリティ体制整備を行った。ここでも今までの経験で人脈を作ることに全く抵抗がなかったため、充実した2年間になった。私の得意なところは、人脈を作るテクニックを持っているのではなく、無意識に出来ることと、常に直感を大切にしているところである。

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