
Windows 11 時代、PC運用管理にも変革のときが訪れています。その背景にはハイブリッドワークの普及などで、クラウドを活用したPC運用管理のニーズが高まっている点が挙げられます。そこで今回は、クラウドベースの新しいPC運用管理の形「PC運用管理のモダナイズ」について紹介します。
ハイブリッドワークの普及でPC運用管理の前提が変わった
企業のITを取り巻く環境は、この数年で大きく変化しました。かつては「PCは社内で使うもの」という前提のもと、Active Directory の活用を中心にしたオンプレミスの管理が一般的でした。しかし、リモートワークを採用する機会が増えるなど、ハイブリッドワークが進むにつれて従来の管理手法では対応しきれない課題が発生するようになりました。
たとえば、オンプレミスの Active Directory を利用する場合、ポリシーの適用やセキュリティ管理を行うためには、PCが社内ネットワークに接続されていることが前提となっていました。しかし、リモートワークが主流になると、社外にあるPCのOSやソフトウェアのアップデートが滞ってしまうという問題が起こります。また、VPNを利用することも増えましたが、ネットワークの負荷増大や遅延、VPNの脆弱性を突いたサイバー攻撃などのリスクもあります。こうして従来の境界型防御だけでは不十分で、ゼロトラストの考え方が求められるようにもつながりました。
こうした変化を踏まえ、PC運用管理のあり方を根本的に見直し、より柔軟で効率的な手法へ移行することが不可欠と考えられるようになりました。
Microsoft 提唱の「Modern Management」とは?新しいPC運用管理の形を考える
このような変化に対しMicrosoft は「Modern Management※」という考え方を提唱しています。これは、従来型のオンプレミスから、クラウドサービスを活用した新たなデバイス運用管理への変化を示した考え方です。この「Modern Management」に代表される新しい時代のPC管理を、ここでは「PC運用管理のモダナイズ」と呼びます。
Microsoft でもこのような環境の変化に対応するため、Windows 11 をクラウドベースの管理に適した設計へと変化させています。具体的には、Entra IDやIntuneなどのクラウドサービスとの連携が強化された点などが挙げられます。クラウドサービスを活用することで場所を問わず柔軟にPCが管理できるようになり、最新OSやソフトウェアへの更新や運用コストの効率化などが期待できます。
下図はMicrosoftが「Modern Management」を表したものです(一部改編)。オンプレミスのActive Directoryなどを活用した「従来の管理」から、オンプレミスとクラウド双方を活用した「過渡期の管理」を経て、クラウドベースの「新たな管理(PC運用管理のモダナイズ)」へと移行する様子を示しています。
※ Microsoft「組織内の Windows デバイスを管理する - 最新の管理に移行する」
Windows 11をきっかけに、PC運用管理のモダナイズに取り組むべき3つの理由
Windows 11 は、単なるWindows 10 の後継OSというだけではなく、クラウド管理を標準とする新しい時代のOSと言えます。この Windows 11 への移行をきっかけに、PC運用管理のモダナイズに取り組んでみてはいかがでしょうか。ここでは、取り組むべき3つの理由を挙げます。
1つ目は、Windows 10のサポート終了が2025年10月に迫っていること。Windows 11への移行を進めるタイミングで、PC運用管理のモダナイズにも取り組めば、OSアップグレードと管理手法の転換を同時に進められます。
2つ目は、Microsoft がWSUS(Windows Server Update Services)の新機能開発を終了する方針を掲げていること。逆に考えると、Intune などクラウドを活用した新しいPC運用管理に関する機能やサービスが、今後はさらに強化されていくのではないでしょうか。
3つ目は、情シスの負担軽減です。従来のオンプレミスの管理では、PCのセットアップやポリシー適用、アップデート管理のために、社内ネットワークへの接続が必須であり、そのための労力も多大なものがありました。しかし、PC運用管理のモダナイズを実現すれば、インターネットに接続さえしていれば、場所を問わずにPCを一元管理できるようになります。
このような理由から、Windows 11 の移行をPC運用管理のモダナイズのきっかけと捉え、企業のPC運用管理を根本から見直しをスタートしてはいかがでしょうか。
おわりに
今回は、Windows 11 への移行がPC運用管理のモダナイズの大きなきっかけとなることをお伝えしました。Microsoft の「Modern Management」を紹介する際にも述べましたが、一度にクラウドベースに置き換えるのは難しいかもしれませんが、まずは段階的に取り組むことがおすすめです。ぜひ、下記の資料をダウンロードしてPC運用管理のモダナイズについて、さらに理解を深めてはいかがでしょうか。
