
「既存の社内PCをアップグレードするべきか、新たに調達するべきか?」自社PCをWindows 11 移行する際に迷いがちな両者ですが、今回は簡単に判断できるチェックを用意しました。また、PC調達する際の選択肢「購買」「レンタル」「リース」の違いについても改めて整理します。
要注意!意外に既存の Windows 10 PCは、Windows 11 にアップグレードできない
Windows 10 のサポート終了が近づいています。Windows 11 への移行プロジェクトを進める必要がありますが、その初期に重要なことの1つが、社内のPCの棚卸しと互換性のチェックです。
(参考:
「Windows 10 サポート終了、知っておくべきWindows 11 移行と運用のポイント」
)
つまり、自社内のPCのうち何台が Windows 10 PCであるのかを知ることと、そのPCは Windows 11 に対応しているのかということです。Windows 10 PCを Windows 11 へ移行するには「アップグレード」と「新規調達」の2種が考えられます。そのいずれかを情シスは判断する必要があります。
もし「終了直前になったら自社のPCを Windows 11 にアップグレードすれば問題ない」と考えている方がいたら、それは要注意。ハードウェア要件によっては、Windows 11 に対応していないばかりか、アップグレードしてもパフォーマンスに影響が出てしまう可能性があります。まず、Windows 10 と Windows 11 のハードウェア要件に違いがあることを理解する必要があります。
しかし、この「最小要件」であればよいわけではありません。Windows 11 環境でのメモリ要件は4GBとされていますが、あるベンダーは16GBを推奨しているなど、余裕を見ておいた方が快適に利用できるという声もあります。また当然、大量データを扱う業務など高度なコンピューティング能力が必要な場合などには、業務によってはさらなるスペックが求められることでしょう。
※参考情報
「Windows 11 の仕様、機能、コンピューターの要件を確認する」
Windows 11 にアップグレードできるか「かんたん11チェック」で簡易診断
上記ではそれぞれのOSのハードウェア要件を紹介しましたが、ここでは自社PCがアップグレードできるかどうかを手軽に診断するための「かんたん11チェック」をご紹介します。
もし、このチェックに当てはまらない項目がある場合には、そのPCをアップグレードすることは難しいでしょう。あくまで簡易的なものですが、このチェックリストを用いて自社PCの仕分けに活用してはいかがでしょうか。
Windows 11 にアップグレードするための要件
- かんたん11チェック
- check-boxプロセッサ(CPU)は1GHz 以上、2コア以上の64ビット互換プロセッサですか?
- check-boxRAMの容量は4GB以上ですか?(おすすめは16GB以上)
- check-boxストレージ容量は64GB以上ありますか?
- check-boxTPM 2.0は有効になっていますか?
- check-boxセキュアブートは有効になっていますか?
- check-boxディスプレイの解像度は720p以上で、対角サイズは9インチ以上ですか?
- check-boxグラフィックカードはDirectX 12以上に対応していますか?
- check-boxWindows 10 の64ビット版を使用していますか?
- check-boxWindows 10 のバージョンは2004以降ですか?
- check-boxアップグレードする前にデータバックアップを行いましたか?
- check-boxシステムファームウェアはUEFI、セキュアブート対応ですか?
チェック内容について、さらに詳しい情報を知りたい方は、Microsoft が提供している下記の情報をチェックしてみてください。
Windows 11 の仕様、機能、コンピューターの要件を確認する
Microsoft 正常性チェックアプリ
上記のMicrosoft「PC正常性チェックアプリ」は、現在使用している自社PCが Windows 11 にアップグレード可能かどうかチェックすることができます。リンク先で Microsoft は次のように述べています。
“現在 Windows 10 を実行している場合、PC 正常性チェックにより、お使いのデバイスが Windows 11 の最小システム要件を満たす適格なものかどうかを確認するための包括的なチェックが実行されます。 お使いのデバイスが適格である、またはそうではない理由と、デバイスが要件を満たさない場合に行えることに関する情報が表示されます。”
このように Microsoft が提供しているサービスなどを利用して仕分けするのも一案です。活用してみてはいかがでしょうか。
PCを新規調達する際の「購入・リース・レンタル」3種の違いとは
新規で Windows 11 PC の調達が必要となる場合、企業は「購入・リース・レンタル」の3種類から選択することになります。大規模にPCを調達する場合には、それぞれの違いで大きな差が出てしまうことがあります。改めて「購入・リース・レンタル」のPCライフサイクルごとのメリット・デメリットを整理しますので、この内容を把握して上手なPC調達に役立ててみてはいかがでしょうか。
- ●購入
- 任意のPCを選定し購入すること。PCの運用・保守、廃棄までのライフサイクルを自社の責任で管理する必要があります。なお、財務上は自社の資産として計上することになります。
・メリット
自社資産となることから、PC選びから実際の利用まで、自由度が高く利用できることなど。
・デメリット
調達時の費用が大きい点、導入や運用・管理、廃棄までライフサイクル全般にかけて情シスが責任を持って管理する必要があり、労力がかかる点など。
- ●リース
- 主にリース会社が用意するPCを、契約に基づき一定期間のリース費用を支払い利用します。一般的なリースでは自社資産として計上されます。
・メリット
初期コストが少なくて済み、リース期間中の保守や廃棄時のデータ消去などがリース会社に依頼できる場合もある点など。
・デメリット
審査の際の手続きが必要になること、リース費用が購入費よりかかる場合があること、リース終了後に現状復帰が必要になる場合がある点など。
- ●レンタル
- レンタルPC提供企業が設定する中で、任意の期間、PCを利用できるサービスです。財務上は経費として計上されます。PCを所有から利用に転換する、PCのサブスクリプションサービスとも言えます。
・メリット
初期コストが少ない点、期間は任意に設定できる場合が多い点など、レンタル期間中に代替機利用やヘルプデスク利用などが挙げられる。情シスの運用管理業務をアウトソースできる場合もある。
・デメリット
PC選択に制限がある場合があり、求めるPCがレンタルできない場合がある。レンタル費用が割高に感じられやすい(費用については単に直接コストのみではなく、情シスの管理費など間接コストも含めて総合的に考えることがおすすめ)。また最後に、「購入・リース・レンタル」の3種類の比較表を用意しました。リースやレンタルは、サービス提供企業により異なる場合がありますので契約内容の詳細については確認が必要ですが、まずは調達方法を検討する際の一助としてみてはいかがでしょうか。
- ●購入・リース・レンタル 比較表
-
※ PCレンタルサービス with ライフサイクル(ソフトクリエイト)の場合
まとめ
今回は、自社PCにおける Windows 11 アップグレード可否の簡易チェックリストの紹介と、新規調達する場合の方法について整理しました。PCの仕分けと調達の計画は、Windows 11 移行プロジェクト初期における重要項目ですので、ぜひ参考に進めてみてはいかがでしょうか。
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