
社内FAQは、企業や組織の業務効率化と情報共有に役立つ重要な仕組みです。
この記事では、社内FAQの必要性や、社内FAQの構築方法について解説します。さらに、社内FAQを構築する手順と、構築のポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
社内FAQの用途
社内FAQとは、企業内で頻繁に発生する質問とその回答をまとめたものです。日々の業務において、同じような質問が繰り返し発生することは珍しくありません。これらの質問に対する回答を1ヵ所にまとめ、従業員が必要なときにすぐに参照できるようにすることで、業務の効率化を図ることができます。
なお、社内FAQは大きく分けて、下記の2つの用途があります。
社内からの問い合わせ対応
社内FAQの用途のひとつは、新しいシステムの使い方や休暇申請の手続き、経費精算のルールといった社内で発生する問い合わせへの対応です。これらの質問と回答をFAQとしてまとめることで、問い合わせに対応する担当者の負担を軽減できるとともに、従業員がみずから必要な情報を素早く見つけることもできます。
社外からの問い合わせ対応
社内FAQのもうひとつの用途は、顧客を含めた社外からの問い合わせに一次回答をする際の参照用です。
このような用途で社内FAQが活用されているのは、主にカスタマーサポート部門やコールセンターなどです。社外からの問い合わせに対する標準的な回答をFAQとしてまとめることで、対応の品質を均一化できるでしょう。クレームの軽減や顧客満足度の向上に有効です。
社内FAQが必要な理由
企業にとって、社内FAQの構築は必要な施策といえます。社内FAQが必要な理由について、詳しく見ていきましょう。
問い合わせ対応の効率化・迅速化
社内FAQの構築によって、問い合わせ対応の効率化と迅速化が可能です。同じような問い合わせが発生するたびに回答を一から作成していると効率が悪く、無駄な時間がかかってしまいます。
社内FAQを参照してすぐに適切な回答を提供できるようになれば、対応時間を大幅に短縮でき、問い合わせに対応する担当者の業務負担も軽減できるでしょう。
社内FAQは、問い合わせる側にとっても有用です。疑問点や不明点があるときは社内FAQにアクセスするというフローが定着すれば、「どこに問い合わせればいいのか」などと考える時間の短縮が可能です。結果として従業員全体の業務効率が上がり、生産性の向上につながります。
回答の均一化
社内FAQを構築すれば、問い合わせに対する回答の均一化が可能です。
同じ質問に対し、担当者によって回答が異なってしまうのでは、仕事の品質は維持されません。社内FAQによって一貫した回答を提供できるようになり、情報の標準化につながります。このことにより、従業員間での認識の齟齬を防ぎ、業務の質を向上させられるのです。
業務の属人化防止
社内FAQの構築は、業務の属人化を防ぐ効果的な手段です。「特定の担当者が不在のため回答できない」という事態を、ある程度防ぐことができます。
また、社内FAQには業務のノウハウや知識が蓄積されるため、担当者の異動や退職によってナレッジが失われてしまうことの防止にも役立ちます。新入社員の教育にも活用でき、スムーズな業務の引き継ぎも可能です。
社内FAQの構築に活用できるツール
社内FAQの構築には、さまざまなツールが活用できます。状況に応じて、社内FAQの構築にどのようなツールを使ったらいいのか、詳しく見ていきましょう。

表計算ソフト・文書作成ソフト
社内FAQの構築をすぐに始められる方法は、Excelのような表計算ソフト、あるいはWordのような文書作成ソフトを利用して作成することです。使い慣れたソフトウェアで作れるのが、この方法のメリットです。
例えば、Excelを使用する場合は、シート分けやフィルター機能を活用することで、カテゴリーごとに質問と回答を整理できます。必要な情報を探すには、Excelの検索機能が役立ちます。
しかし、この方法は、規模の大きなFAQには向きません。FAQの数が増えるにつれてファイルが肥大化して動作が重くなり、目的の情報にたどり着くための検索にも時間がかかってしまうためです。
また、ファイルのバージョン管理を手動で行うことになる点にも注意が必要です。これらのことから、規模の小さなFAQ構築に向いた方法といえます。
社内ポータルサイト
社内FAQを構築するツールとして、自社の従業員向けに公開している社内ポータルサイトを活用している企業も多いでしょう。作成にあたっては、 WordPress などのコンテンツ管理システム(CMS)を使用するのが一般的です。テキストだけでなく、図版や動画などのマルチメディアを組み込むこともできます。
この方法のメリットは、情報へのアクセスしやすさです。従業員が日常的に利用するプラットフォーム上にFAQを設置することで、ユーザーは新たなソフトウェアをインストールすることなく、必要な情報にアクセスできます。
ただし、効果的に活用するためには、適切な検索機能の実装が重要です。カテゴリー分類やタグ付け、キーワード検索機能などを備えておかないと、情報を探すのに時間がかかってしまうかもしれません。
チャットボット
社内FAQを構築するツールとして、チャットボットが活用できます。この方法は、ユーザーが検索する必要がなく、対話方式で回答にたどり着けるという点で非常に便利です。
チャットボットには、「シナリオ型」と「生成AI型」の2種類があります。
シナリオ型チャットボットは、あらかじめ設定された質問と回答のパターンを作って対応する方式です。想定内の質問に対して正確な回答を提供できる一方で、想定される質問とその回答、会話の分岐を含むシナリオを事前に作成しなければなりません。
生成AI型チャットボットは、人間に質問するときのような自然な表現の質問に対して、適切な回答を生成する方式です。事前に社内の文書やマニュアルなどを学習データとして読み込ませて設定すると、学習データをもとに生成AIが自然言語処理を用いて、状況に応じた柔軟な回答を生成します。大量のデータを学習できるため、大規模なFAQ構築に向いた方法といえるでしょう。
チャットボットの種類については、下記の記事をご覧ください。
チャットボットの種類はどう違う?タイプ別の特徴や使用例を解説
社内FAQを構築する手順
社内FAQを作るには、単に質問と回答を集めるだけでは不十分です。ここでは、社内FAQを構築するための手順をご紹介します。

STEP1. よくある質問と回答を整理する
最初に、過去の問い合わせ記録を参考に、頻繁に発生する質問とその回答をテキスト化します。その際、質問と回答をテーマやカテゴリー、対象者などで分類し、構造化することが大切です。
例えば、「ITサポート」「人事・総務」「経理・財務」などのカテゴリーを設定し、それぞれに関連する質問・回答をグループ化します。
STEP2. 構築方法を選定する
次に、社内FAQの構築方法を選定します。社内FAQの規模や更新頻度、ユーザーから見た使いやすさ、予算などに応じて、表計算ソフトや文書作成ソフト、社内ポータルサイト、チャットボットなどの構築方法を選びましょう。
STEP3. 社内FAQを構築しテストする
選定した方法で社内FAQを実際に構築し、テスト運用を行います。この段階では、使いやすさや情報の正確性などを確認し、必要に応じて改善を加えることが重要です。
ベンダー製のチャットボット製品であれば、無料トライアルを利用できることもあります。
STEP4. 社内周知、運用開始
テスト運用で得られたフィードバックを反映させた後、社内へFAQの存在を周知します。本格的な運用を開始する前に、FAQの利用方法や活用メリットについて伝える説明会などの機会を設けるのが理想です。
STEP5. 継続運用と更新
運用開始後も常にFAQの内容を精査し、新しい情報を追加するなど、継続的に更新します。利用状況や検索キーワードの分析、ユーザーからのフィードバックをもとに、FAQの質を向上させていきます。定期的に内容を見直し、古くなった情報を更新または削除する作業も必要です。
社内FAQを構築する際のポイント
社内FAQは、従業員が利用しやすく、メンテナンスも容易でなければ継続運用できません。そのため、構築時には下記のポイントに留意しましょう。
情報へのアクセスしやすさ
社内FAQへのアクセスがしづらいと、必要なときに迅速に情報にたどり着けないといった問題が起こり、結果的にあまり利用されなくなります。
そのため、従業員が直感的に操作できる設計が重要です。画面の操作性だけではなく、適切なカテゴリー分けや効果的な検索機能も必要といえます。
情報更新のしやすさ
社内FAQは、導入後の継続的な更新が不可欠です。そのため、構築方法を選ぶときは、更新の仕方と更新頻度、分量についても考慮しなければいけません。
表計算ソフト・文書作成ソフト、社内ポータルサイトで構築する場合は、更新は手動で行う必要があります。これらの方法が適しているのは、FAQの更新頻度が低い場合です。
また、チャットボットを利用する場合は、シナリオ型と生成AI型で更新方法が異なります。
シナリオ型の更新は手動で行うのが基本で、大きな変更をする場合はシナリオを最初から作り直さなければならないこともあるため、頻繁な更新には向きません。
生成AI型は、新しい学習データを与えることで回答の更新が可能なため、頻繁に更新するFAQに向いています。ただし、更新の都度、適切な回答を返せているかというチェックが必要です。
フィードバックのしやすさ
社内FAQは、ユーザーからのフィードバックを反映することにより精度が高まり、使いやすくなっていきます。そのため、ユーザーがフィードバックを伝えやすい仕組みも備えておくべきです。
例えば、各FAQの回答に「役に立ちましたか?」というボタンを設置したり、フィードバックフォームを用意したりすることで、ユーザーの意見を集めやすくなるでしょう。
さらに、集まったフィードバックをもとに改善するフローが確立されていれば、FAQの質を継続的に向上させられます。
社内FAQの構築例については、下記の記事をご覧ください。
生成AI活用事例!業務マニュアルを活用するためのプロセスを大公開!
自社に最適なツールで、社内FAQを構築しよう
社内FAQの構築は、業務効率化と社内の知識共有に大きく貢献します。適切な計画による構築と継続的な更新を行えば、実用度の高いナレッジベースとして運用が可能です。
特に、生成AI型チャットボットの活用は、柔軟な対応と容易な更新が可能で、自社に最適化された社内FAQを作ることができるツールとして注目されています。
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