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ひとりの情シスはなぜ生まれる?アウトソースを利用して問題解決!

情報システム部門

自社の情報システムを一人で支えている「ひとりの情シス」。自分一人の判断で業務を切り盛りできる充実感はあるとしても、実作業となるとやはり多くのデメリットが浮き彫りになります。
ここでは、ひとりの情シスが抱える問題と解決策について考えてみましょう。

この記事の内容
ひとりの情シスとは?
ひとりの情シスが生まれる背景
ひとりの情シスのデメリットやリスク
ひとりの情シスの問題を解決するには?
アウトソースでひとりの情シスをサポート
一人であることの有利さもある

ひとりの情シスとは?

IT が高度に発達し、普及している現在、ほとんどの企業が何らかの形で IT の力を借りて業務を進めています。その企業内で、IT インフラなどのシステムを支えるのが「情報システム部」となります。
しかし、昨今の人材不足や、エンジニア系の採用コストが高いことから、情報システム部門の担当者が、たった一人という例も少なくありません。これが、ひとりの情シスなのです。

ひとりの情シスが生まれる背景

IT への依存度が低い、あるいは規模の小さい企業であれば、一人の担当者がすべてのIT関連業務を行うことも難しくないかもしれません。特に、創業間もない企業では高い固定費を捻出しにくい事情もあり、労働代価の高いエンジニアの確保は難しいかもしれません。ですが、従業員100人規模の企業であっても、情報システム担当者が、実質一人というケースも多いのです。

デル株式会社が2019年2月に公開した「IT投資動向調査」の結果によると、中堅企業の38%で「情報システム担当者が1名以下」、さらに18.8%で専任担当者がいない状態であることがわかりました。
ひとりの情シスがここまで蔓延しているのには、いくつかの理由があります。これは企業によって異なり、複数の理由が絡み合っている場合もあるのですが、代表的なものを挙げてみましょう。

人材不足

「最高技術責任者」や「最高情報責任者」などのポストを置く欧米と異なり、日本の経営者の IT に対する認識は不十分です。「 IT によって経営課題を解決する」「ITを活かした経営戦略を練る」という発想自体が、まだまだ経営者に根付いていません。そのため、十分なコストを確保して優秀な技術者を確保するという方向に意識が向きにくく、PCに詳しい他部門のスタッフを兼任させることすらあります。結果として現場のエンジニアが、「 PC 関係の何でも屋さん」のような位置付けに見られがちです。
こうした経営陣の無理解、ひいては社内の意識がひとりの情シスという状況を生み、その業務活動を圧迫してしまうのです。

アウトソーシングの普及

近年、エンジニアの不足もあって、IT 関連業務を外注として請け負う IT サービス会社が充実してきました。これらの会社の中には、IT関連の各業務を請け負うだけでなく、優秀なエンジニアの派遣を行うところもあります。
こうした IT サービス会社を活用すれば、PC 管理やキッティングなど、付加業務をアウトソーシングできますので、社内システムの管理をひとりの情シスでまかなうことが可能なのです。

ひとりの情シスのデメリットやリスク

ひとりの情シスのデメリットやリスクについては、さまざまな指摘があります。当のエンジニアからは「ある程度、自分一人の裁量で作業できるので気楽でいい」という声もありますが、看過できないデメリットやリスクが、そこに潜在しているのです。ひとりの情シスには、どのような問題があるのでしょうか。

リソース不足で改善業務まで手が回らない

システムが安定稼働している平時でも、情シスの仕事がないわけではありません。日常のサーバーの管理保守やヘルプデスク業務に加え、情シスの最重要業務である IT を活用した経営戦略や課題解決プランの構築などがあります。
ですが、ひとりの情シスでは、なかなかそこまで手が回らないというのが現実でしょう。

障害対応による通常業務の停止

ひとたび障害が発生すると、ひとりの情シスは多忙な状況に追い込まれます。原因の特定、ユーザーへのアナウンス、応急処置後の本格的な復旧作業。また、ベンダーへの連絡や問い合わせも、自分一人でしなくてはなりません。
こうした状況になると、ひとりの情シスでは通常業務がすべてストップしてしまいます。

孤独感と能力の限界

同職種が周りにいない孤独感というのは、意外とつらいものです。右か左かで迷ったとき、親身になって相談にのってくれる仲間がいませんし、同じ知識や経験を共有できるパートナーもいません。技術的な判断を下すにしても、自分の決断に自信が持てない…という不安と常に戦わなくてはならないのです。
また、技術も知識も自分で鍛え、貯えていくしかありませんから、エンジニアとしての能力を高めることも難しくなりがちです。

ひとりの情シスの問題を解決するには?

ひとりの情シスが抱える問題を解決することは、簡単ではありません。しかし、エンジニア本人の努力に加え、社内環境の整備を行うことで改善することができます。
もちろん、一朝一夕に解決できるものではなく、ある程度の時間は必要です。ひとりの情シス問題を解決するための方策を、いくつかご紹介します。

社外にネットワークを作る

情シスの業務には、障害対応のように、エンジニアとしての知見と経験を活かす場面が多々あります。しかし、一人の人間が貯えられる知識や経験には限界がありますから、何らかの形で知見と経験の不足を補いたいところです。そこで有効なのが、社外ネットワークの活用です。
前職の同僚や先輩、講習会や勉強会で知り合った同業者、ネット上のコミュニティ。これらのつながりの中からは、自分が経験したことのない事例を知ることもできるでしょう。互いの交流が深まれば、良き相談相手にもなってくれるはずです。

自分のコストを計上し、社内で共有する

情シスはヘルプデスク業務も手掛けますが、だからといって「Excelの使い方を教えてくれ」という依頼まで対応してはいられません。しかし、こうした依頼が多いのも、ひとりの情シスの実情です。
そこで、社内の意識を変える意味でも、自分自身の作業コストを計上し、それを社内で共有するのです。金額の目安がつかなければ、情シス業務のアウトソーシング会社の価格設定を参考にすればいいでしょう。
エンジニアが手を動かし作業にあたることで、一般的にどれくらいのコストが必要になるのか。それを提示し理解してもらえれば、情シスに対する社内の意識も変化していくのではないでしょうか。

社内に IT の力を意識させる

情シスに対する意識が高くない経営者あるいは組織は、そもそも IT で何ができるのかを理解していないことが多いようです。そのため、IT で課題解決を図る、経営戦略を練るという発想が、出てこないのでしょう。
そんな場合には、エンジニア側からのアピールも有効です。時には、「なぜ IT 戦略が必要なのか」「しなければどのようなリスクがあるのか」を、経営陣に伝えるのもいいでしょう。

アウトソースでひとりの情シスをサポート

時間的にもリソースの面でもきびしい労働環境をしいられるひとりの情シス。その負荷を軽くするには、アウトソースの活用がとても効果的です。そのおもなメリットをご紹介しましょう。

アウトソーシングすれば、情シスは一人でもいい

社内の IT 業務のうち、外注可能な定型作業をアウトソースしてしまえば、社内のエンジニアは外注先との連携をとっておけば良いことになります。自由に使える時間が増えることで、自社のIT戦略を練ったり、経営課題解決のためのITの活用法をプランニングしたりと、よりクリエイティブな作業に集中することができます。これらの業務は、情シスが手掛けるべき重要な仕事なのですが、それがアウトソーシングによって実現するのです。
こうした状況であれば、優秀な複数のエンジニアが常に稼働しているのと同じですから、社内の情シスが一人であっても問題にはならないでしょう。

ヘルプデスクを切り離せば作業効率が上がる

ヘルプデスク業務は、タイミングも内容も予測できない、情シスにとってイレギュラーな業務です。中には、FAQ やマニュアルに記載されていることを聞かれるなどして、時間と労力が削り取られていきます。
このようなヘルプデスク業務も外部に委託できれば、一日の作業ボリュームを見積もりやすくなります。時間を有効に使い、効率的に作業をすることができますから、エンジニアとしてはうれしい環境でしょう。

情シスに関する大半の業務を任せられる

情シス業務を請け負う会社によっては、情シス業務を切り分けて引き受ける会社もあれば、保守管理から障害対応まで行う会社もあります。そこで、できるだけ広範囲なサービスを提供している会社であれば、情シスが関係する大半の業務をアウトソースできるので、ひとりの情シスも心強いでしょう。
ただ、実際にどこまでの業務を外注するかは、慎重に検討すべきでしょう。まずは社内の情シスが置かれている状況を見て、どの業務を外部に出せば効果が大きいかを検討しましょう。

一人であることの有利さもある

たとえひとりの情シスであっても、アウトソースをうまく使えば迅速・的確な障害対応を実現することができます。特に、定型業務を外部に任せ、自身はコントロールタワーとして機能することができれば、情シスとしての重要業務であるIT戦略の企画設計などに打ち込むことができるでしょう。
このような体制を整えることができれば、ひとりの情シスも悪いものではなく、むしろニーズに合わせてリソースを調整できるという有利さが発揮できるかもしれません。

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2018年9月〜10月、ソフトクリエイトは100名から499名規模の企業でITシステムの運用などに携わる、情報システム部門(情シス)の担当者の実態を探るべくアンケート調査を実施。今回は、情シスの運営の実態やクライアントPC管理状況、クラウド化の実情など調査結果がご覧いただる資料です。
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