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【イベントレポート】情シスサミット 2019 秋〜情シス運用を考える1日

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情シスサミット
イベントレポート

2019年9月18日 (水)、東京都中央区の コングレスクエア日本橋にて、「情シスサミット 2019 秋〜情シス運用を考える1日」が開催されました。本セミナーは、情シスのための IT 運用の課題共有、ノウハウを学べる場として、基調講演に加えて3トラック12セッションが行われました。参加者は約400人という大盛況となり、多くの熱意をもった情シスたちが集結する場となりました。

この記事の内容
情シスが目指すべき改革とは?
[基調講演]テクノロジで情シス改革!働き方改革!~ 情報システム部門が社内のHEROになる道 ~
情シスの「ネットワーク常識」をぶっ壊せ!~ 社内で板挟みになる情シスを救う新常識 ~
情シス集合!アナリストと隣の情シスから学ぶセキュリティ運用~ トークセッション:隣の運用を知ろう ~
情シスHERO's 情シス集合!クラウド活用トークセッション
セッション関連ソリューションのブースも盛況
おわりに:好評のうちに終了した「情シスサミット 2019 秋」

情シスが目指すべき改革とは?

今回の「情シスサミット 2019 秋〜情シス運用を考える1日」は、日本橋コングレススクエアで開催され、基調講演および3トラック12セッション(右図参照)と多種多様なプログラムが用意された大規模なイベントとなりました。昨年の「情シスサミット in 渋谷」では参加者は219名でしたが、今年は383名と、1.8倍に増加したことからも、情シスが抱える課題がいっそう明確になり、解決への意欲に溢れた情シスが増えたと考えられます。

 

 

また、開催に先立ち、株式会社ソフトクリエイト 代表取締役社長の林 宗治より日本の情シスの今後のあり方について、開会の言葉として、コメントがありました。そこでは、「情シスの仕事が爆発的に増加しているが、パソコンやサーバー、ネットワークの運用、保守、管理などのノンコア業務(守りの情シス)」が主体であるとの現状を指摘。今後、情シスの仕事は、「経営層に経営に必要な情報を提供する」、「新たな情報活用を提案する」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する」といった、経営に深く関わる"攻めの情シス"への変革を強調。そのための時間を作るためにも、"守りの情シス"の部分を減らすことが重要で、その手段としてアウトソーシングやクラウドを活用すべきと提言しました。また、マイクロソフト社から、国内で26社しか受けていない「マイクロソフト パートナーオブザイヤー」を受賞したことも報告されました。

この「情シスサミット 2019 秋〜情シス運用を考える1日」では、情シスの課題を解決するべく数々のセッションがありましたが、今回は、下記の4つのセッションについてレポートします。

1:[基調講演]テクノロジで情シス改革!働き方改革!~ 情報システム部門が社内のHEROになる道 ~
2:情シスの「ネットワーク常識」をぶっ壊せ!~ 社内で板挟みになる情シスを救う新常識 ~
3:情シス集合!アナリストと隣の情シスから学ぶセキュリティ運用~ トークセッション:隣の運用を知ろう ~
4:情シスHERO's 情シス集合!クラウド活用トークセッション

[基調講演]テクノロジで情シス改革!働き方改革!~ 情報システム部門が社内のHEROになる道 ~

基調講演では、日本マイクロソフト株式会社 テクノロジーセンター エグゼクティブアドバイザー 小柳津 篤 氏が「テクノロジで情シス改革!働き方改革!~ 情報システム部門が社内のHEROになる道 ~」というテーマで講演を行いました。

国内の働き方改革をリードしている日本マイクロソフト株式会社(以下、日本マイクロソフト社)。インパクトをもたらした「週休3日」など、改革の最先端を走っているように思われましたが、その影には様々な挑戦と失敗などもあり、「働きやすい環境を作るために、あらゆる選択肢を使って毎日を過ごす」ための努力について語りました。

小柳津 氏は、最初に今年春に発表した「ワークライフチョイス チャンレンジ 2019夏」を記者発表したときのエピソードを紹介。発表翌日の新聞記事、ネットニュースでは「週休3日」の見出しが踊っていたそうです。しかし、これは本質ではないと小柳津 氏は指摘します。

日本マイクロソフト株式会社
小柳津 篤 氏

小柳津 氏は、90年代の日本マイクロソフト社は、増える業務の量に対し、残業などで対応していた時代だったと振り返ります。しかし、このような働き方は継続性がないと考え、大改革に取り組んだというのです。

「休みを増やしたいのではない。仕事をスピードアップしたい、効率化したい。そうすることで、今以上のパフォーマンスを実現したい」いま話題の"働き方改革"だから、というわけではなく、事業の継続性を高め、質を高め、今以上の仕事をしていくために改革に着手したと語ります。

例えば、ペーパーレス化。紙をなくすことが目的ではなく、「紙を使うことで生じる無駄をなくすための取り組み」という点が重要です。かつて日本マイクロソフト社では、年間2,000万枚もの資料を印刷していたそうです。「2000万枚の紙を印刷し、手続き型、プロセス型、報告型、段取り型、入力型…そういった仕事に忙殺されていた」…つまり、印刷にかかるコストよりも、紙を用いた仕事は確認を増やし、業務を停滞させると小柳津 氏は指摘します。取り組みの結果、いまでは、79%も削減されたといいます。

ペーパーレス化は一例ですが、日本マイクロソフト社ではこの10年間で、ビジネスを180%成長させ、年間総労働時間を60万時間削減したとのこと。総労働時間を削減しつつ、成果を180%向上させための取り組み方として、10年かけて取り組んできた一例して、「コラボレーションの実現」を挙げました。これは「三人によれば文殊の知恵の実現」ということわざの意義に近いと語ります。つまり、誰かとともに仕事をし知恵を出し合ってこそ、ビジネスの価値が高まり、生産性が向上するというのです。

そのため、あらゆる手段で「三人寄れば文殊の知恵」を実現することに取り組みました。そのためのアプローチ方法として下記の3つを挙げています。

1、業務の標準化と電子化:電子化できない業務はないくらいまで踏み込む。
2、利便性と安全性:やりずらい、システムが制限されている、リスクがコントロールされていない状態では社員は何もしなくなってしまう。利便性と安全性をしっかり保証することで、社員は安心して働くことができる。
3、習慣化すること:継続できる働き方を提供すること。

小柳津氏は、電子化と利便性、安全性の確保について、テクノロジーの進化が速く、キャッチアップすることが難しくなっていることを述べています。また、そのために自社内だけではなくアウトソースすることの有用性についても指摘しています。また、このミッションを成功に導くためにも、情シスが当事者意識を持って取り組むことが重要と延べ、基調講演を終えました。

情シスの「ネットワーク常識」をぶっ壊せ!~ 社内で板挟みになる情シスを救う新常識 ~

次にご紹介するのが、株式会社インターネットイニシアティブ サービスプロダクト事業部 営業推進部 マーケティング課 近藤 将吾 氏によるセッション。テーマは、「情シスの「ネットワーク常識」をぶっ壊せ!~ 社内で板挟みになる情シスを救う新常識 ~」でした。働き方改革やデジタルワークプレイスと呼ばれる変化の中で、ネットワーク環境にも変化が求められる中、これまでの「常識」では通用しない新時代のネットワーク常識が登場しています。その内容について紹介がありました。

近藤 氏は、経営層と現場部門の板挟みになっている情シスに向け、その一因として「昔の常識に縛られている」という行き詰まり感を指摘。そこで近藤氏は、改めるべきこれまでの常識を3つ取り上げました。

1、回線は増強すれば大丈夫
2、プロキシ迂回は手間がかかる
3、VPNが遅いのは仕方がない

まず「回線は増強すれば大丈夫」という常識。例えば、Office 365 を活用する際に回線の増強を検討しますが、ただ増強するのではなく、ISP についても合わせて考えることが重要だと語ります。インターネットは多くの ISP をホップして接続されていますが、ISP をホップすればするほど通信にゆらぎが生じ安定しなくなることを忘れがちです。そこで、「最速最短のISP選び」こそが、新常識と紹介しました。

続いて「プロキシ迂回は手間がかかる」という常識については、データセンターなど大量のデータを扱う場合、また Office 365 などを今後活用していくと、セッション数は飛躍的に増大します。そこで、プロキシを増強すればよいと考えがちですが、プロキシ増強には時間やコストが必要。それを解決する手法として「プロキシ迂回の自動化」が新常識として掲げられると述べました。

3つ目の「VPN が遅いのは仕方がない」という常識について、VPN は「よく切れるから困る」「テレビ会議がカクカクする」「いちいち再接続が面倒」と、不便が多く問題氏されがちです。しかし、近藤 氏は「切れない VPN は存在する」と新常識を示しました。アメリカの警察で活用されているシステムを例に挙げ、切れない VPN を紹介しました。

最後に近藤 氏は、社内の働き方改革の推進に、情シスの存在感が増す今、情報に敏感になり、新常識を備えた情シスになるべきだと強いメッセージを投げかけてセッションを締めくくりました。

情シス集合!アナリストと隣の情シスから学ぶセキュリティ運用~ トークセッション:隣の運用を知ろう ~

「学習塾トラック」の1つでは、セキュリティ運用に関するトークセッションが行われました。セキュリティサービスを提供する側からは、S&J株式会社 取締役 CSIRT サービス本部 本部長 上原 孝之 氏、株式会社ソフトクリエイト セキュリティサービス部 部長 清原 健二が登壇。ユーザー企業からは金融業A社、印刷業B社の情シス2名の方が登壇しました。内容は、下記に挙げる日頃のセキュリティ運用に関する苦労や工夫をテーマに、セキュリティ対策のナレッジを学べるセッションとなりました。その模様の一部をご紹介します。

<セキュリティ対策の実態>
ソフトクリエイト 清原:現在のセキュリティ対策の実態についてお教えください。
A社:セキュリティについては、監督官庁からの要請も強くなり、2年前からさまざまな取り組みを行っています。また、自社だけではなく、取引先も含めた対策(サプライチェーン対策)が重要だという声も出てきています。
セキュリティ対策の内製化は属人化を招く面も。その人が退職したら、対応できなくなってしまうので、現実的には厳しい面もあるため、外部の専門家と継続して対応していくのが解決策となるかもしれません。
B社:退職者によるデータ持ち出しの危険をはじめ、問題発生はログアラートからしかわからない点も。問題の把握に苦労している。社内にセキュリティに詳しい人材が少ない状況で、2~300名規模の企業で情シスが2~3人。これ以上大きくなったら対応できるのか、人材育成にも不安があります。

<セキュリティ事故が起こった際の対応>
S&J株式会社の上原 氏:自己対応について、万全に対策ができている企業は多くありません。いざ問題が発生したら、多方面から状況を把握し、他にもなにか起こっていないかという視点で見ることが大切です。きちんと役割分担して、情シス、セキュリティ担当者だけですべて解決できるわけではないので、できることで最善を尽くすことも必要です。

<セキュリティ対策のレベル感>
ソフトクリエイト 清原:セキュリティのレベル感について、各社それぞれどのように考えていますか?
B社:標的型攻撃対策メールを社内に配布すると、怪しいメールにも関わらず無警戒に開いてしまう社員もいます。どこからどうやって勉強していけばいいのかも迷うところがあります。
A社:自分たちで対策を進めていても、どこまで対策できているかというものさしがないのでわかりにくいです。自分たちの知識、企業規模を踏まえて、そこまでやらなくてもいいのではないかと思うこともあります。

S&J株式会社の上原 氏:全社員のセキュリティ意識を高く保つのは難しいこと。怪しいメールが届いたら、すぐに情シスに伝わるような仕組みづくりが大切です。せめて開けない、情シスに知らせるというレベルは保ちたいと考えます。

<セッションまとめ>
経営者が無理解のためセキュリティ対策が進みにくいという意見もありますが、経営層は危険性を感じると一定の予算は確保することでしょう。しかし、それだけでは人材不足への対応は難しいというのが、現場の大きな悩みではないでしょうか。また、よくある不安として、「事故が起こってからでないと経営者の腰が上がらない」「何も起きていないことはいいことだけれど、何か起きたときに情シスとしてどこまで対応できるか。経営層が対外的にどう対応できるかなど、不安は多い」という声も挙がりました。

いま、セキュリティ対策は、NIST(米国標準技術研究所)などをもとに、脅威の侵入前の対策である「特定」や「防御」だけではなく、侵入後の「検知」「対応」「復旧」まで求められるようになっています。こうした実情を受け、ソフトクリエイト社の清原は「事故が発生したときに重要なことは、モニタリングできていたかどうか。そして、セキュリティについて適切な体制ができていたか。経営層の理解を得て、プロの見識を活かすためにアウトソーシングすることがポイント」とまとめました。

情シスHERO's 情シス集合!クラウド活用トークセッション

次にご紹介するのが情報システム部門でご活躍の皆様を迎えたトークセッション。IT Search+編集長 星原 康一 氏をモデレータに迎え、株式会社AB&Company 江木 壮太郎 氏ほかユーザー企業C社の情シス責任者とともに、日頃の苦労や創意工夫している点などについて話し合いました。ほとんど IT 化が進んでいなかった美容業界の現状と、C社のベテラン情シスの目から見たクラウド化の実態が聞かれた、興味深いセッションとなりました。

株式会社AB&Company
江木 壮太郎 氏

美容室を全国に362店舗展開する株式会社AB&Company 江木 氏は、最初に業界の特性として「美容業界は腕を磨くために労働負荷が高くなる傾向にある」と指摘しました。それを踏まえて、「以前は IT 環境はあまり整備されていなかったが、Microsoft 365 を活用して、直営店だけではなく、フランチャイズ店にも一貫した環境の整備をすることに取り組んだ」と語ります。その効果として、「Microsoft 365 の導入でクラウド化したという認識はなく、PCを開くとすぐに利用できる」という利点について指摘がありました。

一方、C社の情シス責任者は「企業規模が拡大するに連れ、ネットワークが数珠つなぎになり、1ヶ所、ネットワークの障害が起きると全ネットワークが止まるような環境になった時期があった」と拡大を続ける企業でのインフラ環境維持の難しさも指摘しました。

また、「働き方改革への取り組みで、夜9時になるとPCが使えなくなるルールがある。当初はそれについて情シスに苦情が来た。そういった部分は、丁寧に説明をしていって、我々も早く帰れるような工夫をしていった」と対策の苦労が語られました。そのために、アウトソーシングできる業務は、できるだけ自分たちではやらないように取り組んでいったそうです。また、クラウド化の推進に関しては、「クラウド化は止められない。いま、人事会計システムはオンプレミスだが、遅かれ早かれクラウド化すると思う」との発言がありました。

セッション関連ソリューションのブースも盛況

今回のイベント会場には、セッションに関連するソリューションを紹介する展示ブースが設けられていました。展示会場には、自社の課題を相談したり、今後自社に必要となるソリューションをチェックする情シス担当の来場者が多く訪れていました。

情シス支援に関するブースには、ソフトクリエイトから「情シス運用支援サービス」「PC レンタルサービス with ライフサイクル」が紹介されていました。いずれも、情シスの運用負担軽減に貢献するサービスです。

セキュリティ対策ソリューションに関連するブースとしては、トレンドマイクロ株式会社「XGen セキュリティ」などサイバーセキュリティ製品、エムオーテックス株式会社「Protect Cat」、ソフトクリエイト「セキュなび」「L2Blocker」などが展示されていました。

ほかにも、関連ソリューションとして、サイボウズ株式会社「kintone」、株式会社インターネットイニシアティブのSD-WAN「IIJ Omnibus」、株式会社アクシオ「OnRPA」、アルテリア・ネットワークス株式会社「クラウドライン」「ARTERIA 光 インターネットアクセス」、エクスジェン・ネットワークス株式会社「LDAP Manager on SCCloud」、株式会社エイトレッド「X-point」「AgileWorks」、そして「Microsoft ソリューション」が展示されていました。

おわりに:好評のうちに終了した「情シスサミット 2019 秋」

情シスが抱える課題や対応策が数多く提示され、意見交換も活発だった「情シスサミット 2019 秋」。

参加者からは、次のような声が寄せられました。

「紙を減らすのではなく仕事を減らすという発想がなかったため、勉強になりました」
「セキュリティ会社がどのようにセキュリティ対策を行っているかの実態を知って、面白かった」
「登壇者の熱意溢れるトークに引き込まれた」
「特に制度を変えるだけでは駄目で、とにかく生産性を上げるという目的意識を持つことは重要であると感じた」
「テレワークの概念と、それを実現するためのリアルな話が聞けて面白かった」
「情シスの役割は高度になっているなあと感じました」

いただいたご要望などは、今後のセミナーにもぜひ反映し、さらに内容を充実させていきたいと思います!

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