
「お客様へメールが届かないんだけど?」
最近、このようなお問い合わせが増えてきています。
その背景には、ビジネスメールを悪用した「なりすまし」被害の急増があります。
この状況を受け、受信側のメールサービスやお客様自身がセキュリティ対策を強化しており、結果として正当なメールまでもが届きにくくなるケースが発生しているのです。
メールが届かない?背景にある「なりすまし」問題
近年、企業や組織を騙った「なりすまし」メールによるフィッシング詐欺やマルウェア感染といったサイバー攻撃が後を絶ちません。
こうした状況を受け、メールの受信側はセキュリティ対策を強化し、送信元の信頼性をより厳しくチェックするようになっています。
なりすまし対策の一環として、受信側のサーバーは送信元ドメインのメールセキュリティ設定状況(SPF、DKIM、DMARC)を確認します。
もし設定が不十分な場合、あなたの送信したメールは検疫強化や受信拒否の対象となる可能性があります。
特に、MicrosoftやGoogleといった主要クラウド事業者ではこういった動きが加速しており、早急な対応が求められます。
<Microsoft より引用>
1日あたり5,000通を超えるメールを送信するドメインの場合、Outlook ではまもなくSPF、DKIM、DMARCへの準拠が必須となります。準拠していないメッセージは、まず迷惑メールフォルダに振り分けられます。問題が解決されない場合、最終的には拒否される可能性があります。
(出典:
Strengthening Email Ecosystem: Outlook’s New Requirements for High‐Volume Senders
)
<Google より引用>
Gmail では、送受信されるメールが認証済みであることを検証することによってメールを保護しているため、認証されていないメールは迷惑メールに分類されることがあります。メールの認証は、SPF、DKIM、DMARC を使って行われます。
(出典:
Gmail の迷惑メールと認証
)
ビジネスメールの「なりすまし」を防ぐ3つの技術
ビジネスメールを悪用した「なりすまし」から自社と顧客を守るために、以下の3つのメールセキュリティ技術への対応を強く推奨します。
•SPF (Sender Policy Framework)
メールが正しいサーバーから送信されたかを確認します。
不正なサーバーからのメールはスパムとして扱われる可能性があります。
•DKIM (DomainKeys Identified Mail)
メールが途中で改ざんされていないことを確認します。
送信ドメインの公開鍵と秘密鍵を使って行われるデジタル署名により、メールが正当な送信元から来たものであることを証明します。
•DMARC (Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)
SPFとDKIMの結果を組み合わせ、メールが正当な送信元から来たことを確認します。
認証失敗の報告により、セキュリティの監視と管理が強化されます。
DMARCの概要図

(参照: NRI SECURE「DMARC」 )
これら3つの技術を組み合わせて導入することで、送信元の正当性を証明でき、「なりすまし」メールとして誤判定されるリスクを大幅に低減できます。
要注意!未対応の企業が抱える深刻なリスク
SPF/DKIM/DMARC をまだ導入していない企業は、以下のようなリスクを抱えていると言わざるを得ないでしょう。
リスク① 企業としての信頼性が損なわれる
あなたの会社を騙ったなりすましメールが顧客や取引先に送信された場合、直接的な被害が発生しなくても、セキュリティ対策が不十分な企業という印象を与えかねません。
これは、ブランドイメージの低下や顧客離れに繋がり、長期的なビジネスにおいて大きな損失となる可能性があります。
リスク② 正規のメールが迷惑メール扱いされる
DMARCを導入していない場合、受信側のメールサーバーはあなたのメールがなりすましか本物かを見抜く手段を持ちません。
その結果、重要なビジネスメールが迷惑メールフォルダに振り分けられ、業務に深刻な支障をきたす可能性があります。
リスク③ 「なりすまし」メールで取引先に被害が及ぶ
DMARCを導入していない場合、あなたの企業のドメインが悪意のある第三者によって「なりすまし」メールの送信に悪用されるリスクが高まります。
受信側には正しいメールアドレス表示のままメールが届くため、取引先やお客様が詐欺メールの被害に遭う可能性があります。これは、自社の責任問題に発展するケースも否定できません。

まとめ:今こそ本気のメールセキュリティ対策を
メールが届かない、なりすましメール対策ができていないという問題は、単なる技術的なトラブルではなく、企業の信頼性やビジネス継続性に関わる重要な経営課題です。
自社のメールセキュリティ体制を見直し、SPF、DKIM、DMARCといった認証技術の導入を真剣に検討すべきでしょう。
これにより、悪意のある第三者による「なりすまし」から自社ブランドを守り、お客様や取引先との健全なコミュニケーションを維持することができます。
ソフトクリエイトでは、お客様のメール環境における設定状況の診断やSPF/DKIM/DMARCの設定、メールサービス移行などの支援を提供しております。
「うちの設定、大丈夫かな?」という不安をお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。
お問い合わせはこちらから
お役立ち資料
自社のセキュリティレベルが気になる方向け
レベル別に考える、セキュリティ対策のNEXTステップ
