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【イベントレポート】情シスサミット 2021 ONLINE-マイクロソフトDays

情報システム部門
イベントレポート

2021年10月に開催された「情シスサミット 2021 ONLINE」では、マイクロソフトDaysと題し、情シスに馴染み深い Microsoft 関連ソリューションにちなんだ15セッションが配信されました。本レポートでは、マイクロソフトDaysのセッションからピックアップしてレポートします。

この記事の内容
マイクロソフトDaysとは
1. キーノート:マイクロソフトで始めるデジタル化~ ハイブリッドワーク時代への対応 ~
2. スペシャルセッション:Azure AD が中小企業を救う訳
3. Microsoft Intune って何ができるの?無いと困ることってそもそもどんなとき?
4. 事例から学ぶ Microsoft Azure​ ~活用事例や実際の利用料金をガチリアル公開
5. Windows 11 触ってみた - 検証&管理レポート
6. まとめ

マイクロソフトDaysとは

「情シスサミット 2021 ONLINE」のうち10月19日〜20日の2日間は「マイクロソフトDays」として、 Microsoft ソリューションをテーマに15セッションが配信されました。

今回の情シスサミットのテーマは「DX時代のコミュニケーション&セキュリティ」ということで、テレワークが常態化しつつある新たなビジネス環境に適した、Microsoft ソリューションを取り上げたセッションが数多くありました。

またセッションは Microsoft 365、Microsoft Azure、Windows などのグループに分けられ、それぞれのトピックや注目したい動向など、情シスとして知っておきたい情報を取り上げていました。

マイクロソフトDays…中小企業の活性化に向けた活用のヒントが集結 クリックで拡大

本レポートでは、その中でもキーノート、スペシャルセッションを中心に、下記の5セッションを紹介します。

キーノート:マイクロソフトで始めるデジタル化~ ハイブリッドワーク時代への対応 ~
三上 智子氏 日本マイクロソフト株式会社 執行役員 コーポレートソリューション事業本部長
スペシャルセッション:Azure AD が中小企業を救う訳
村松 真 株式会社ソフトクリエイト 事業戦略本部 マイクロソフト技術部 技師長
Microsoft Intune って何ができるの?無いと困ることってそもそもどんなとき?
松田 尚也 株式会社ソフトクリエイト 事業戦略本部 マイクロソフトビジネス部 兼 マイクロソフト技術部 部長代理
事例から学ぶ Microsoft Azure​ ~活用事例や実際の利用料金をガチリアル公開
花原 啓太 株式会社ソフトクリエイト 事業戦略本部 マイクロソフトビジネス部 上席部長
Windows 11 触ってみた - 検証&管理レポート
山口 泰志 株式会社ソフトクリエイト 情報システム 技師補
石田 愛笑 株式会社ソフトクリエイト 事業戦略本部 マーケティング部

1. キーノート:マイクロソフトで始めるデジタル化~ ハイブリッドワーク時代への対応 ~

情シスサミットおよびMicrosoft Daysのキーノートとして、日本マイクロソフト株式会社の、三上智子氏によるセッションが配信されました。テーマとしてハイブリッドワーク時代の働き方を掲げ、日本マイクロソフト社の事例なども交えながら、DXや新たな働き方を問いかける場となりました。

・デジタル化の加速と、矛盾する働き方の共存へ
三上氏は冒頭で、2020年5月頃、世界各都市がロックダウンされる中で「この2ヶ月で2年分のデジタルトランスフォーメーションが起きた」と語ったMicrosoft社CEOのサティア・ナデラ氏の言葉を引用し、リモートワークのために、様々なものがデジタル化し、人を介さなくてもビジネスを継続される機運が高まってきたことを指摘しました。その後もデジタルシフト、デジタルトランスフォーメーションは進められ、ようやく人々は次のステージを見据えて、働き方を考え始めていると語りました。

その一方で、「リモートで多様な働き方を実現させたい」という要望と、「人にあって成し遂げられることの重要性」という、一見、矛盾する2つのニーズが顕在化しつつあると述べます。
サティア・ナデラCEOはこれを「ハイブリッドワークパラドックス」と呼んでいるとのことですが、今後、多くの企業が考えていかなければならない大きなポイントになると三上氏は強調しました。

実際、Microsoft社での調査では、在宅勤務・オフィス勤務のどちらがよいか調査を行ったところ、分かれる結果となり、それぞれないものねだりで、両方の働き方がほしいという声が寄せられたとのことです。

マイクロソフトで始めるデジタル化~ ハイブリッドワーク時代への対応 ~

・「コロナ以前」には戻れない
三上氏は「ワークライフバランスを保つため、仕事に集中するため、通勤時間を最小限にして在宅勤務を続けたいという声がある。一方、仕事に集中するためにオフィスに来たい、人とつながりたいという人もいる」という中で、「今後の理想的な働き方はハイブリッドワークになるのではないか」と語ります。

そして「なぜコロナ以前に戻ってはいけないのか?」というテーマのスライドで、Face to Faceが重要ではあるものの、リモートを取り入れた働き方が良い理由として下記の項目を掲げています。
●ビジネス機会が増える
●リモートで伝える工夫をすることにより表現の幅の向上
●リモート面接の活用により、全国から人材確保・リモート勤務の実現
●家族と過ごす時間が増える
●オフィスの必要性の見直し、コスト削減効果
●災害時などに、リモートワークで業務を継続しやすい

マイクロソフトで始めるデジタル化~ ハイブリッドワーク時代への対応 ~

・ハイブリッドワークにより働き方を進化させる
コロナ後に元の働き方に戻してしまうのか、ここで培ったものを活かしてハイブリッドワークへと進むのか大きな違いがあると語る三上氏。

「画一的な働き方に戻っては、クリエイティビティや事業が成長する「種」が見つけにくくなってしまう。人材確保が難しくなる時代、今こそ“攻め”るべき。ここまで頑張ってきたんだから、このまま引き続きハイブリッドワークに持っていくのがおすすめの流れ」とまとめました。

また、いつでもどこでも柔軟に働ける右斜め上のハイブリッドワークを目指すためには、全員が同じように使えるオンラインツールを浸透させることもまた大きなカギとなることも述べました。

スペシャルセッション:Azure AD が中小企業を救う訳

2. スペシャルセッション:Azure AD が中小企業を救う訳

スペシャルセッションでは、株式会社ソフトクリエイトの村松技師長による「Azure AD が中小企業を救う訳」が配信されました。Azure AD(Azure Active Directory)が中小企業のシステムへの不安や課題をどのように解決するのかをテーマに、昨今の時代の変化と合わせてわかりやすく解説しました。

・中小企業の4つの課題とは
昨今の急激なテレワーク化によるリモートワーク環境の普及やクラウド化により、場所や時間にとらわれない自由な働き方が広がっています。村松は、急速な変化により、システムのインフラ、コミュニケーションルールが追いつかない課題が生じているとし、次のような点を指摘しました。

問題とすべきは、「テレワークそのものではなく、時間や場所の自由度を上げることで働く人のモチベーションが上がり、結果として組織の生産性向上に結びつくということ」であること。そのためには、「クラウドを活用し、最新の技術とセキュリティを利用することで、はじめて場所にとらわれない働き方が実現する」という前提に立つことが必要だとしています。

このように考えた時に、リモートワークに伴う中小企業の課題として次の4点を挙げました。
【課題1】利用しているクラウドサービスが増えてIDの管理が大変
【課題2】リモートワークでのデバイスセキュリティを強化したい
【課題3】リモートワークのための認証を強化したい
【課題4】ランサムウェアの対策をしたい

スペシャルセッション:Azure AD が中小企業を救う訳

・4つの課題は Azure AD で解決へ
これら課題に対し、Azure AD がなぜ有効なのかを村松は次のように解説しました。

【課題1】利用しているクラウドサービスが増えてIDの管理が大変
【解決1】Azure AD による多重IDからの解放
クラウドサービスごとにIDが発行され、アプリケーションごとにIDとパスワードの管理が必要になった。
しかし、Azure AD により認証を統合し、Azure AD にログオンすれば連携している他のクラウドサービスもそのままシングルサインオンで使えるようになる。 

【課題2】リモートワークでのデバイスセキュリティを強化したい
【解決2】Azure AD による強力なデバイスセキュリティ
リモートワークにより、 PC を社外に持ち出して業務を行うことが格段に増えている。オンプレミスだけの管理では、社内ネットワークに接続されないこれらのデバイスを管理することはできないが、 Azure AD と Intune を組み合わせれば、インターネット経由で社内・社外デバイスを一括で管理することができるようになる。

【課題3】リモートワークのための認証を強化したい
【解決3】Azure AD による認証強化
リモートワークでの認証は、インターネットを経由しての認証となるため、繊細なリスク管理が必要。Azure AD の認証では、まず多要素認証により「人」を特定。パスワードだけに頼らず、生体認証も加えた複数の認証を行うことによって、確実に「人」を認証する。さらに、アクセスごとにリスクを判定し、動的に認証を許可している。

【課題4】ランサムウェアの対策をしたい
【解決4】Azure AD によるランサムウェア対策
ランサムウェア対策では、認証サーバの防御、個別のサーバの防御、バックアップなど多様な対策が必要となる。
オンプレミスだけでは難しいこれらの対策を、Azure AD では最新のセキュリティ技術、世界から集まる多様な情報を活用した防御により、対策に貢献する。

スペシャルセッション:Azure AD が中小企業を救う訳

・Azure AD への移行により「真のモダンワーク」の実現へ
Azure AD に移行するには、現在のオンプレミスの Active Directory をクラウド化する必要がありますが、移行した先にはどのような未来が待っているのか。村松は「クライアントインフラのクラウド化はゴールではない」と語り、訪れるべきモダンワークについて次のように考えを述べています。

「場所を問わないクライアント管理、クラウド上の多様なサービスとの認証連携、社内外を交えたファイル共有やコミュニケーション、高度なセキュリティを活用して真のモダンワークを実現」することにより、「多様な働き方を許容しながら組織のコミュニケーションを維持・効率化し、生産性を向上させていく」ことができる。

つまり、モダンワークによる生産性の向上などが Azure AD 移行の価値であるとし、「未来を想像してください。現場で人がいながらバックオフィスのメンバーと共同で、現場で作業を行う、こうした様々な働き方を通じて、新しい発想が生まれ、高い創造性が培われる、そういう風に感じています。」と締めくくりました。

スペシャルセッション:Azure AD が中小企業を救う訳

3. Microsoft Intune って何ができるの?無いと困ることってそもそもどんなとき?

次に紹介するのは、Windows 10 にエージェントが標準インストールされている「Microsoft Intune(以下、Intune)」に関する、株式会社ソフトクリエイト マイクロソフトビジネス部 兼 マイクロソフト技術部 の松田尚也によるセッションです。

「Microsoft Intune って何ができるの?ないと困ることってそもそもどんなとき?」というテーマの通り、Intune に関する基礎的な内容とともに、4つの「無いと困る」ことを紹介しました。ここでは、この4つについてレポートします。

・Intune が「無くて困った…」こととは?
松田は、1つ目の「無くて困った」こととして、「Windows Update コントロールを VPN 無しでやりたい」という問題について紹介しました。Intune があれば、Windows 10 のソフトウェア更新プログラムをインターネット経由で管理できるメリットを挙げて次のように語りました。
「WSUSやIT資産管理ツールなどを使って、 VPN、 オンプレミスベースの管理をしていた情シスは、コロナ禍になって非常に苦労していました。Intune さえあれば、このアップデート管理をクラウドで、インターネット経由で行うことができます。」

Microsoft Intune って何ができるの?無いと困ることってそもそもどんなとき?

2つ目は、「外部ストレージの利用を制限したい、使えなくさえできればいい」という点。
「USBメモリ、SDカードといった外部ストレージの利用は、テレワーク時には極力避けたいというユーザが圧倒的に多かった。これは、単純なセキュリティリスクでしかない。」このような時の情シスの「外部ストレージを使えなくすることだけができればいい」という要望に応えるのが Intune であると語ります。

3つ目は、「テレワークに使用するノート PC のストレージ、暗号化をしていなかった」という問題。Windows 10 の設定時、BitLocker は既定値ではオフになっていますが、Intune があれば BitLocker を簡単にオンにできる点を紹介しました。

4つ目は、「Azure AD の条件付きアクセスで、Intune で管理してるデバイスだけ Microsoft 365 にアクセスさせたい」という点。これは、例えば「会社が貸与したデバイスでないとMicrosoft 365 にアクセスできなくなる」ことだと松田は語ります。

ただし注意点として、「Azure AD の機能とIntune を組み合わせる。これは、難しくはないものの決して簡単ではありません。様々なライセンスによってできる機能・できない機能がある。」と松田は指摘し、難解な点、細かなコントロールが必要な場合には、ソフトクリエイトでも問い合わせを受け付けている点を述べました。

Microsoft Intune って何ができるの?無いと困ることってそもそもどんなとき?

4. 事例から学ぶ Microsoft Azure​ ~活用事例や実際の利用料金をガチリアル公開

次に紹介するのは、株式会社ソフトクリエイト マイクロソフトビジネス部の花原 啓太上席部長による、ソフトクリエイト株式会社の Azure の活用状況などに関するセッションです。このレポートでは、ソフトクリエイトの Azure 利用状況や Azure 導入による効果を取り上げます。

・ソフトクリエイトの Azure 利用状況とその効果
ソフトクリエイトでは、かつては都内のデータセンタにサーバラック3台という環境でシステムを所有していましたが、2018年頃から徐々に、オンプレミスの環境から Azure への移行を進めてきました。そして現在のAzure 利用状況について、花原は次のように紹介しました。
「現在、ソフトクリエイトではフルクラウドの形をとっていて、 Microsoft 365 やSalesforce などのSaaSサービス以外は、すべて Azure の環境でインフラを動かしています。稼働しているファイルサーバやADサーバ、基幹系サーバなどバーチャルマシン台数の合計は30台ほど。月額は100万円から130万円ぐらいです。」

事例から学ぶ Microsoft Azure​ ~活用事例や実際の利用料金をガチリアル公開

Azure を導入して何が変わったのか。そのメリットについて、花原は次の3点を紹介しています。

(1)障害の減少〜利用者満足度向上、情シスは運用からの解放
オンプレミスの時代、トラブルは2ヶ月に1回ぐらい発生。ハードウェア障害やディスクの破損などで、エンジニア工数が必要となっていた。Azure 移行で停止トラブル自体は数年に1回ペースに。ゼロになったとは言い過ぎかも知れないが、情シスとしては運用から解放されたメリットが大きい。

(2)現場要望への対応スピードが向上し、意思決定が高速化
各部署から「こんなシステムを入れたい」「検証したい」「サーバを用意してほしい」と情シスに要望が入った時に、オンプレミス時代は一時的なサーバの準備が難しかった。Azure 移行後、好きな時に好きなスペックで構築可能、不要なら即時撤去可能になり、意思決定の高速化、ビジネス速度向上につながった。

(3)情シスの仕事が「社内DX推進」へと変革
これまではサーバの数だけ保守契約、ライセンス管理、資産管理をする必要があり、毎年サーバのリプレースのイベントが発生。Azure 移行後は、基本的なネットワーク機器、パッケージのソフトウェアだけ管理すればよくなり、工数も1/4に減少。その時間を、業務の改革や DX推進の時間に使えるようになった。

事例から学ぶ Microsoft Azure​ ~活用事例や実際の利用料金をガチリアル公開

5. Windows 11 触ってみた - 検証&管理レポート

2021年10月にリリースした Windows 11。Windows 10 と何が違うのか、 利用者目線と管理者目線からの「検証&管理レポート」としてのセッションが配信されました。レポートは株式会社ソフトクリエイトの山口 泰志(ソフクリ365俱楽部の情報屋)と、石田 愛笑(ソフクリ365倶楽部のもりあげ隊メンバー)がお送りしました。

・Windows 11 アップグレードしてみた
まずは石田より、実際にWindows 11 にアップグレードした体験をもとにレポートがありました。アップグレードの方法は、既存PCからの Windows Update の通知、Windows 11 インストールアシスタントの利用、Windows 11 のインストールメディアを作成する、Windows 11 ディスクイメージ(ISO)をダウンロードする…などがありますが、今回は「Windows 11 インストールアシスタントを利用」する方法を選んだとのこと。

「アップグレード方法は、DLサイトにアクセスし、条件を確認して実行する」というもので、「インストール後は待つだけで、インストール中もPCを通常通り使用できて、アップグレードしながら使用も可能でした。所要時間は1時間半程度で、増加容量は9GB程度。アップグレードの方法により容量が変わるので注意してください。 」と石田はアップグレードを振り返ります。

またアップグレードした感想としては、①Cortanaが消えたこと、②セカンドモニタとの接続を切り、その後に再接続をしてもアプリ配置を記憶してくれる、③クリップボード機能が拡張され、コピーしたものを表示する以外にも、スタンプや顔文字などが使えるようになったこと…などを挙げました。

Windows 11 触ってみた - 検証&管理レポート

・Windows 11 の管理について
ソフトクリエイトでは、リリース日の10月5日に5名、8台程度をWindows11にアップグレードして業務への影響を検証しています。その際に気づいた点や、情シスが管理上で気になる点などを山口が指摘しています。

まずは「一般的にアップグレードを抑止したいという声があるかと思います」と述べ、WSUS利用している場合、ADで管理する場合、Intuneを使って管理する場合のそれぞれの方法について説明がありました。

また Windows 11 をインストールする際の注意点として「Windows10サポート終了は2025年10月14日。4年後になります。PCサイクルとしては普通の期間ですが、ユーザ規模が大きい企業では入れ替えが大変な作業になるので計画性が必要です」として、来たるべき入れ替えについても検討を進めることが必要と語りました。

Windows 11 触ってみた - 検証&管理レポート

6. まとめ

今回は、「情シスサミット 2021 ONLINE」のうち、マイクロソフトDaysの模様を一部お届けしました。Microsoft 関連ソリューションは情シスにとって普段の業務とも身近なだけに、さらなる活用のヒントがつかめれば幸いです。

なお、Microsoft 365 をはじめとした様々な製品の活用情報や導入や検討に役立つ情報を下記のページで提供しています。ぜひ、貴社の業務に役立てるために参考にしてみてはいかがでしょうか。

>>Microsoft 365 情報局

>>Microsoft 関連セミナー情報

>>ソフトクリエイトのマイクロソフトソリューション

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