AgileWorks / Azure 基盤 導入事例

全日空商事株式会社 様

グループの業務標準化と運用合理化を加速
AgileWorks × Azure 基盤による「共通基盤システム」刷新プロジェクト

株式会社アストロスケールホールディングス 様

ANAホールディングスの中核企業として幅広い事業を展開する全日空商事は、2015年から運用してきたグループ共通基盤システムの老朽化や運用負荷に直面していた。刷新にあたり、同社は慣れ親しんだ「AgileWorks」を活かしつつAzure基盤へ移行し、データ連携には「DataSpider」を採用。ソフトクリエイトの伴走支援のもと、業務標準化とガバナンス強化を進める同社の取り組みを追う。

課題

✔︎ システムが老朽化し、サポート終了期限も間近に
✔︎ 運用の複雑化に伴う負荷の増大を解消したい
✔︎ 承認フロー変更・帳票作成などの業務負担を軽減したい

導入効果

 AgileWorks の継続利用と Azure 基盤への移行により、基盤を刷新
 ワンストップ体制による伴走支援で、運用負荷を大きく軽減
 現場の負担を軽減しながら、業務標準化とガバナンス強化に貢献

社 名
全日空商事株式会社
所在地
東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター
創 立
1970年10月15日
職員数
連結 1,906名 / 単体 467名
(2025年3月31日現在)
ホームページ
https://www.nip-co.co.jp

航空機部品の調達・輸出入・リース・売却をはじめ幅広い事業を展開する航空系総合商社。空港売店、免税店、食品、物流、印刷、デジタルなど、多彩なグループ企業を傘下に擁しています。

  • 小保内 定之氏

    デジタル推進部 担当部長
    小保内 定之

  • 平野 沙緒理氏

    デジタル推進部 デジタル推進
    チーム マネージャー
    平野 沙緒理

  • 真家 健太氏

    デジタル推進部 IT マネジメントチーム
    真家 健太

背景・課題

老朽化と複雑化により運用負荷が増大
共通基盤刷新を検討した背景とは?

航空事業を基盤に、商事、流通、不動産、サービスなど多岐にわたるビジネスを展開する全日空商事グループは、9社・2,000名を超える体制で事業を推進している。

小保内 定之氏

「当社は 2015 年、グループ横断でのガバナンス維持と業務の合理化を目的に、各社で分散していたワークフローや人事システムを統合した『共通基盤システム』の運用を開始しました。ワークフローシステムの『 AgileWorks 』と人事システムを中核に、データ連携付随システムも含めたグループの基幹プラットフォームとして機能しています。」(デジタル推進部 担当部長 小保内 定之 氏)

しかし運用開始から約 10 年が経過し、一部システムの EOS (サポート終了) が目前に迫るなど、リプレイスは避けられない状況に。さらに既存ベンダーとの運用は煩雑で、障害対応や承認フロー変更にも多大な時間と負荷がかかっていた。

「これまで、保守更新の連絡が直前に来たり、障害時に連絡が取れないといった事態が頻発。承認フローの再設定に数か月かかるなど、社内には不満が蓄積していました。」(デジタル推進部 デジタル推進チーム マネージャー 平野 沙緒理 氏)

こうした課題を抜本的に解決し、グループシナジーの発揮や業務標準化を進めるため、同社は刷新に向けて新たなパートナー探しを決断した。 「この共通基盤システムが本来の目的を果たすには、現状の体制は限界を感じていました。リプレイスを機に、高いパートナーシップを築けるベンダーに一新して臨もうと考えました。」(小保内氏)

検定・選定

SaaS への全面移行から方針を転換
ソフトクリエイトを選んだ理由

共通基盤システムのリプレイスにあたり、同社は複数のベンダーに提案を依頼。当初は世の中のトレンドに合わせて、ワークフローと人事システムの両方を SaaS 型に移行することを検討していたという。しかし、この方針にはいくつかの懸念が発覚。一つ目は、現場の負荷だった。

「人事システムとワークフローの両方を同時にリプレイスすると、受け入れるグループ各社の管理者の負担が非常に高い。各担当者に本業と並行して両システムの要件定義やテストを強いることは、いささか非現実的と感じました。」(小保内氏)

さらに、コスト面でも想定外の事実が浮かび上がった。 「クラウドにすれば必ずしも安くなるわけではありません。所有コスト全体( TCO )で見れば、むしろ注意が必要な場合もあると感じました。」(小保内氏)

こうした背景から、同社は全面的な SaaS 移行という当初の方針を見直し。代わって採用したのが、ソフトクリエイトが提案した、既存資産であるワークフロー「AgileWorks」をバージョンアップで継続利用しつつ、基盤を従来のプライベートクラウドから Azure に移行するというアプローチだった。

「もともとワークフローのシステム自体には特に不満はなく、ベンダーの対応面が課題でした。AgileWorks はグループの全社員が長年慣れ親しんだシステムであり、操作感が変わらないメリットは非常に大きい。さらに、それを Azure 上に移行し、ソフトクリエイトに一括して管理してもらえれば、万が一何か障害が起きた際にもインフラとアプリケーションで責任のなすりつけ合いが起きることもなく、問い合わせ窓口も一本化できる。ソフトクリエイトがインフラからアプリケーションまで一気通貫で面倒を見てくれる体制は、運用負荷を軽減したい当社の思いと合致しており、非常に魅力的でした。さらに、ソフトクリエイトホールディングスに AgileWorks のメーカーである株式会社エイトレッドが含まれていることも、より密な連携への期待という点で後押しとなりました。」(小保内氏)

こうして同社は、刷新プロジェクトのパートナーとして、ソフトクリエイトを正式に選定した。

導入プロセス

企画フェーズから本番稼働まで 
長期プロジェクトを着実に推進

本プロジェクトは2022年9月に正式にスタート。ただし、その前段階として約1年にわたる「企画フェーズ」を設け、綿密かつ丁寧な準備が行われた。

「実際の構築に入る前に、何を目的に、どういう思想でリプレイスするのかを時間をかけて検討しました。そのためプロジェクト開始後は計画通り、とてもスムーズに進行しました。」(小保内 氏)

特に今回、ワークフローシステムの AgileWorks は新規導入ではなくバージョンアップであったため、要件定義に膨大な工数を割く必要はなかった。しかし一方で、システム間をつなぐデータ連携部分はスクラッチ開発だったことから、仕様が不明確な箇所があった。そのため、新たなシステム連携が増えるたびに開発が発生し、都度大きな負担となるリスクを抱えていた。

そこでソフトクリエイトが提案したのが、データ連携基盤「DataSpider」への刷新だ。さまざまなシステムと柔軟に接続でき、データの流れを可視化・効率化できる点が評価された。

「ソフトクリエイトは複数ツールのメリット・デメリットを比較し、わかりやすく説明してくれました。さらにソフトクリエイト社内に DataSpider に精通したエンジニアがいることも心強く、導入を決断する後押しになりました。」(小保内氏)

こうして企画から約2年(構築のみは約1年)の期間をかけて共通基盤システムのリプレイスは無事完了した。プロジェクト全体を振り返り、小保内氏はソフトクリエイトのプロジェクトマネジメント力とエンジニアの技術力を、高く評価する。

「プロジェクトはもう、お世辞抜きでやりやすかったです。ソフトクリエイトの方々は何か問題が発覚すると、『どうすればできるか』という姿勢で、当社のエンジニアと一緒に考えてくれる。PMではあれどエンジニアではない私としては、安心してお任せでき、とても助かりました。」(小保内氏)

成果

ガバナンス強化と業務効率化を実現
刷新で得られた効果

共通基盤システムの刷新プロジェクトが完了した結果、同社はさまざまな面で、高い成果を実感している。

グループ全体の業務効率とガバナンス向上

共通基盤システムの刷新後は、グループ統一の権限基準が導入され、業務フローの透明性と効率性が大きく向上。稟議や申請のペーパーレス化およびスピードも加速した。人事データの一元管理により、出向社員の勤怠入力が簡素化されるなど、データ活用の幅も広がった。

「システムを切り替えた後も、ユーザーであるグループ会社の社員は特に戸惑うことなくスムーズに移行できました。問い合わせやクレームもほとんどなく、運用側としても非常に楽になった印象しかありません。」(デジタル推進部 IT マネジメントチーム 真家 健太 氏)

運用負荷の軽減

複数ベンダーに分かれていた窓口がソフトクリエイトに一本化され、契約更新や障害対応にかかる労力が大幅に削減された。

「これまでは契約更新時期やタームがメーカーごとに異なり、把握するだけでも大変でした。ソフトクリエイトに相談したところ、各社と交渉して更新時期を揃えてくれました。管理しやすくなり、対応も一括で行ってくれるので、とても助かっています。」(平野氏)

伴走型支援による安心感

ソフトクリエイトのエンジニアは、課題が見つかれば受け身ではなく、改善策を能動的に提案。現場に寄り添い、共に解決策を探る姿勢が高く評価されている。

「伴走型支援とはまさにその通りだと感じています。何か課題が見つかった時、ソフトクリエイトのエンジニアは受け身ではなく、一緒に能動的にワークしてくれる。『こういうやり方ができますよ』と先に提案してくれることもありました。なかなかこういうパートナーはいないと思います。」(真家氏)

平野 沙緒理氏真家 健太氏

DataSpider による拡張性確保

従来のスクラッチ開発によるデータ連携システムを DataSpider に置き換えたことで、仕様が不明確だった部分が解消され、拡張性のある仕組みに刷新。新規システム連携にも柔軟に対応できる環境が整った。

各種帳票の作成支援も、伴走支援の大きな成果だ。同社はかつて内製で対応していたが、業務負荷と効率性を考慮してベンダーに外注。しかし、その対応の遅さがたびたび問題となっていたという。そして今回、新基盤のリリース後に、各事業部から新規帳票作成の依頼が殺到する。構築プロジェクト中は一時的に新規の帳票作成を停止していたため、待ち望んでいた現場の期待が一気に噴き出した形だった。

「当初は契約時間の範囲内で、ソフトクリエイトにうまくやりくりしてもらっていましたが、やがてそれも限界を迎えました。このままでは業務効率化の効果が薄れてしまうと判断し、従来の契約枠に縛られず『すべての要望をやり切る』体制を組めませんか、と相談しました。」(平野氏)

この要望を受けてソフトクリエイトは追加リソースを確保。各事業部からの依頼に迅速かつ的確に対応できる体制を整備した。その結果、現場の満足度は大きく向上したという。

「これまでに比べ格段に早く、さらにきめ細かく対応してもらえるので、ほんとうに助かっています。」(平野氏)

これこそ、導入だけでは終わらないソフトクリエイトの伴走型支援の効果を示す、好例と言えるだろう。

今後・期待

AI 活用・経理システム刷新も視野に
継続的な伴走支援への期待

同社は今回の基盤刷新をゴールではなく、次のステップへの足掛かりと捉えている。今後は同社内の関連システムの更新時期を見据え、さらなる機能強化を検討している。

「刷新プロジェクトを通じて当初の目的は十分に達成されました。数年後には、この共通基盤と連携するシステムの更新があります。今後はそれを見据えて、使い勝手や機能をさらに向上させる企画を検討したいと考えています。」(小保内氏)

また、業務効率化を加速する、AI 活用にも強い関心を寄せている。

「AI活用には非常に興味があります。人為的なミスを減らし精度が高まることで、稟議期間の短縮など申請者と承認側の双方にとって大きなメリットになると期待しています。」(平野氏)

こうした継続的な改善を実現するうえで欠かせないのが、ソフトクリエイトの伴走支援だ。刷新プロジェクトで培った信頼関係を基盤に、今後も現場に寄り添いながら先進的な提案を受けられることに、同社は大きな期待を寄せる。

「引き続き、伴走型での支援に期待しています。将来的な改修では、フローや帳票の変更をより簡易に行える仕組みが実現できれば嬉しいです。」(平野氏)

「ITツールは進化が早く、素早いキャッチアップとグループ内への浸透が非常に重要。ソフトクリエイトには今後も、先進的なベストプラクティスやソリューションを積極的に提案いただけることを期待しています。」(小保内氏)

集合写真

※記載内容は 2025年10月 現在のものです。
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