社内チャットボット導入のメリット・デメリットと業務活用例を解説

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さまざまな企業で社内チャットボットの導入が進んでおり、最近では生成AIと連携したチャットボットも注目されています。

この記事では、社内チャットボットの用途や特徴を紹介します。また、社内チャットボットを導入するメリット・デメリットのほか、どのような社内業務に活用できるのかについても見ていきましょう。

この記事の内容
チャットボットのビジネス活用は、社内用と社外用に分けられる
社内チャットボットの用途と特徴
社内チャットボットを導入するメリット
社内チャットボットを導入するデメリット
生成AIと社内チャットボットの連携
社内チャットボットの活用例
セキュリティの不安を解消して、社内チャットボットを導入しよう

チャットボットのビジネス活用は、社内用と社外用に分けられる

チャットボットとは、チャット形式で質問すると自動で回答が返ってくるプログラムのことです。人間が回答するのではなく、プログラムがロボットのように回答することから「チャット“ボット”」と呼びます。
チャットボットはビジネスでの活用も進んでおり、主に社内用と社外用の2つに分けられます。

社内チャットボット

社内チャットボットは、自社の従業員だけが利用することを想定したものです。一方、社外用チャットボットは、顧客や取引先、消費者といった社外のユーザーの質問に対して回答するものが多いでしょう。

社内チャットボットの用途と特徴

社内チャットボットの主な用途としては、総務や人事、経理、情報システムといったバックオフィス部門に対して社員から寄せられる質問への回答が考えられます。

社内チャットボットは社内の問い合わせに使用する性質上、機密情報を取り扱うことがあります。従業員の個人情報や会社の財務データ、顧客データ、技術情報などは、社外に出してはならない重要な機密情報です。社内チャットボットを導入する場合、こうした機密情報を取り扱うことを前提としてセキュリティを検討する必要があります。

また、社内チャットボットの特徴のひとつは、ほかの社内システムやコミュニケーションツールと連携できることです。例えば、ビジネスチャットと連携すれば、いちいち社内チャットボットを起動することなく、普段使っているチャットツールに質問を投げることでチャットボットが回答してくれます。

社内チャットボットを導入するメリット

社内チャットボットを導入することで得られる最大のメリットは、業務の効率化です。ここでは、具体的な社内チャットボットのメリットについて解説します。

問い合わせ業務の負担を軽減できる

社内チャットボットの活用によって、バックオフィス部門が問い合わせに対応する業務負担を軽減することができます。「会議室を予約するにはどうすればいいか」「健康診断を申し込みたい」「休暇の申請方法が知りたい」「社内システムにログインできない」といったよくある質問に対し、バックオフィス部門のメンバーが一つひとつ回答するのは大変です。場合によっては、問い合わせ対応に時間を取られすぎてしまい、ほかのコア業務に手が回らなくなる可能性もあります。
もちろん、中にはしっかりと人間同士でコミュニケーションをとらないと解決できない問題もありますが、一問一答で終わるような単純な質問や、定型的な回答で済むものであれば、人が対応するのではなくチャットボットに任せたほうが効率的です。

また、問い合わせをする側の社員にとっても、頻繁に質問するのは気が引けるものです。そのため、問い合わせ自体を後回しにしてしまい、業務が滞ることもあります。
一方で、チャットボットであれば相手は人間ではありませんから、同じような質問を何度したとしても、ほかのメンバーに迷惑はかかりません。気になったこと、知りたいことを気軽に質問できるため、トラブルの早期解決につながるメリットもあります。

いつでも問い合わせに回答できる

社内チャットボットは、時間を問わず稼働させることができます。そのため、いつでも好きなときに問い合わせができるのが大きなメリットです。シフト制の職場であれば、問い合わせをしたいときにバックオフィス部門のメンバーが不在というケースもありますが、社内チャットボットならその心配もありません。

さらに、質問が集中しがちな時期であっても、待たされることなく即座に回答が得られるのもチャットボットならではのメリットです。
例えば、月末は経理処理が集中する時期で、経理部門に問い合わせてもなかなか返信がこないこともありますが、社内チャットボットならその場で回答が得られます。

ナレッジの蓄積や社内ニーズの分析がしやすい

社内チャットボットは、問い合わせの窓口を一本化でき、問い合わせと回答の記録を単一のフォーマットでデータ化できるため、ナレッジの蓄積や社内ニーズの分析をしやすいことがメリットです。
もし、社内チャットボットを導入していなければ、問い合わせはメールや内線、チャットツールなどに分散してしまい、データの収集と統合に手間がかかります。

社内チャットボットを導入するデメリット

さまざまなメリットのある社内チャットボットですが、導入するにあたってはデメリットにも注意が必要です。ここでは、社内チャットボットを導入するデメリットの例をいくつか紹介します。

導入コストがかかる

社内チャットボットの導入と運用には、コストがかかります。ベンダー製のチャットボットを導入する場合、初期費用や自社向けのカスタマイズ費、ランニングコストなどが必要です。そのほかのコストとして、選定のための人員と期間も無視できません。

一から自社で構築する場合には、さらにコストがかかります。ベンダー製と違って完全に自社に特化した仕様にできるのがメリットですが、開発期間も長くなるため、導入に時間がかかってしまう可能性もあります。

セキュリティのリスクがある

社内チャットボットに生成AIを活用する場合にデメリットとなりうるのが、セキュリティのリスクです。というのも、生成AIの多くはクラウドにデータを送信するため、質問内容を生成AIが学習する可能性があるからです。
生成AIが学習した内容をアウトプットとして外部に漏らし、情報流出につながるおそれも否定できません。ベンダーの選定時に、生成AIの学習に関する設定などをきちんと確認する必要があります。

また、社内システムと連携できる点が社内チャットボットのメリットですが、その場合はさらに、セキュリティに注意を払わなければなりません。社内システムには財務データや人事データといった取り扱いに注意が必要なデータも多数あり、それらがチャットボットを通して流出する可能性も否定できないからです。
例えば、個人情報に関する問い合わせは、それが必要な部署や必要な立場の人だけが閲覧できるよう、チャットボットに閲覧権限を設定するといった対策が必要です。

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メンテナンスの手間がかかる

ベンダー製のチャットボットであればメンテナンスはベンダーが行いますが、自社でチャットボットを構築する場合は、定期的に自社でシステムのメンテナンスを行う必要があり、担当者は時間を取られます。

また、社内の情報はずっと変わらないわけではありません。例えば、書類の申請方法やシステムへのログイン方法などは、システムの刷新などで変更になることもあるでしょう。
そういった変更があった場合は、ベンダー製であっても自社開発であっても、データの更新や回答のブラッシュアップが必要です。

現場の理解がないと進められない

チャットボットの導入により業務フローに変更がある場合は、現場に説明して理解を得る必要があります。

例えば、これまで「経理に関する質問はチャットツールの特定のチャンネルで行う」というルールだったけれど、今後は「経理に関する質問はチャットボットを使う」というルールに変更するとします。この業務フローの変更により、経理に質問する側の従業員が混乱してしまい、質問を受ける経理スタッフの対応がかえって煩雑になってしまうかもしれません。
場合によっては現場から不満の声が上がったり、チャットボットを使用するというフローがうまく定着しなかったりして、導入が失敗する可能性もあります。そうならないよう、導入に際してしっかりと説明しておくことが重要です。

生成AIと社内チャットボットの連携

チャットボットには「シナリオ型」と呼ばれるタイプと、近年話題となっている生成AIと社内チャットボットを連携させた「生成AI型」と呼ばれるチャットボットがあります。
シナリオ型とは、あらかじめ質問と回答のパターンを登録しておき、「この質問が選択されたら、この回答を返す」というシナリオで回答するチャットボットです。シナリオ型は回答の均一性を保てるというメリットはありますが、あらかじめシナリオを用意しておく必要がある、曖昧な質問に回答できないというデメリットがあります。

生成AI型チャットボットの場合は、ユーザーが曖昧に質問しても適した回答を返せるのが強みです。AIがこちらの質問の意図をくみ取ってくれるので、まるで人間の担当者に質問しているような感覚で使えます。
さらに、質問者が部署や役職、氏名などの情報を追加で与えることで、よりパーソナライズされた応答も可能になります。AIは質問を自動で学習するため、社内での利用が進めば進むほどナレッジが蓄積され、回答の精度向上が期待できるのも特徴です。 ChatGPT の登場により、生成AI型のチャットボットの活用はかなり進んでいます。

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社内チャットボットの活用例

社内チャットボットは、どのような業務に向いているのでしょうか。社内チャットボットに任せると、より効率的に活用できる業務について解説します。

社内チャットボットの活用例

情報システム部門やバックオフィス部門の窓口

情報システム部門やバックオフィス部門への問い合わせ窓口として、社内チャットボットは有用です。特に、各種手続きや制度の確認のほか、FAQや小さなトラブルシューティングなどは、まず社内チャットボットに聞いて解決するというフローを構築しておくと、社内の人員を割く必要が減り、バックオフィスの業務を効率化できます。
チャットボットに聞いても解決できないときや、イレギュラーな対応が必要だとわかったときに、人的に対応するのがおすすめです。

社内チャットボットのヘルプデスク業務への活用については、下記の記事をご覧ください。
情シスマニュアルはAIに訊け!さよならヘルプデスク業務

スケジュールや案件の管理

社内のほかのシステムと連携することで、スケジュール管理や案件管理といった業務にチャットボットを活用できます。

例えば、従業員3人で会議室で話したいとき、各々のスケジュールと会議室の空き状況を確認するのは手間がかかりますが、チャットボットとスケジュール管理システムを連携すれば、直近のタイミングをチャットボットが提案してくれます。
また、案件管理においては、過去の議事録や取引記録をチャットボットに読み込ませておけば、チャットボットに質問すると経緯を説明してくれるので、引き継ぎなどにも便利です。

部門ごとの業務マニュアル

業務マニュアルをチャットボットに登録しておけば、業務で迷ったときにマニュアルを探す手間が格段に省けます。
さらに、チャットボットによく来る質問についてはマニュアルにフィードバックすることで、チャットボットの回答精度を高めることが可能です。

社内教育

社内チャットボットは、社員の教育にも適しています。入社したばかりでわからないことがあっても、忙しい先輩社員に質問するのは気が引けることもあるでしょう。その場合は、チャットボットを活用することで、すぐに回答が得られます。また、社員研修の確認テストの作成にも、生成AIを活用できます。

セキュリティの不安を解消して、社内チャットボットを導入しよう

社内チャットボットは、バックオフィス部門への質問の窓口や、業務のマニュアルの確認などに便利なツールです。シナリオ型と生成AI型のチャットボットがあり、最近では後者の活用が拡大しています。
生成AIは非常に便利な反面、セキュリティに関するリスクを不安視して、導入に踏み切れない企業も少なくありません。

ソフトクリエイトが提供する Safe AI Gateway は、企業が生成AIを安全・簡単に利用できるように開発されたサービスです。
一般的な文章作成などの機能に加え、生成AI型のチャットボットを自社で簡単に作ることが可能です。
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