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数字で見る「 情シスの働き方改革」と、“情シス”の虚像と実像 ~情報システム部門の運営状況について~

情報システム部門
情シスアンケート
働き方

2018年9月~10月、ソフトクリエイトは100名から499名規模の企業でITシステムの運用などに携わる、情報システム部門(情シス)の担当者の実態を探るべくアンケート調査を実施しました。この規模の企業の多くは、「ひとりの情シス」と呼ばれる担当者が、多忙な業務に追われていることから、多くの企業で「情シスの働き方改革」の必要性に迫られていると考えられていますが、今回はその実情について調査しました。

この記事の内容
ひとりの情シスは2割以下、2~4人情シスが多数派
ルーチンの業務、障害・問い合わせ対応が主業務
IT投資は横ばい~増加傾向9割…TCO削減への効果まで意識したい
投資先はWindows 10、セキュリティ、クラウド、基幹システムに分かれる
まとめ

ひとりの情シスは2割以下、2~4人情シスが多数派

100~499名規模の企業の情シス部門の体制では、最も多かったのは 2~ 4名という回答。1 人以下と答えたのは、100~299名規模の企業では20.2%ですが、 300~499名規模の企業ではわずか3.3%という結果となりました。(図1)

しかしその実態は、複数名で業務に効率的に当たるというのではなく、「2~ 4 名」といっても、「総務と兼任していて、実際にはほぼ1人で担当」、「サーバ担当、ネットワーク担当、セキュリティ担当、PC担当…のように役割を分担していて、各担当業務は属人化」というケースも少なくないようです。つまり、担当者が複数名いた場合でも、属人化していたり実質1人での業務が大半だったりするという意味で「ひとりの情シス」と言えそうです。

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図1 現在の情報システム部門の運用・保守についての体制(1人以下、2〜4人、5人以上から選択)

ルーチンの業務、障害・問い合わせ対応が主業務

情シスが最も時間をかけている業務を見ると、次のような順位になりました。(図2)

■100~299名企業
1位:システム保 用・報告(31.8%)
2位: 新システム導 定プロジェクト(30.8%)
3位:問い合わせや障害対応(28.8%)
■ 300~ 499名企業
1位:問い合わせや障害対応(37.7%)
2位:システム保守・運用・報告(34.4%)
3 位: 新システム導入 /システム改定プロジェクト(24.6%)

全般的にシステム保守・運用などのルーチンワークや、障害や問い合わせなどの対応に関わる業務が多いことが分かります。

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図2 最も時間を使っている情報システム業務

これらの業務すべてを社内で行っているわけではなく、約6割は部分的にアウトソーシング、約1割は大部分をアウトソース活用しています。(図3)

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図 3 ITシステムの運用・保守における業務分担状況

そのアウトソーシング内容(図4)について見てみると、「システム障害保守」が約6割で最多、「システム監視」が約 3 割と続いています。一方で、「システムの運用代行 ( ヘルプデスク、パッチ適用等)」を行っている企業は2割を下回っています。

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図4 現在利用しているアウトソーシング内容(複数回答)

障害対応は情シスが対応が難しい業務なのでアウトソースしていると考えられます。しかし、問い合わせ対応やパッチ適用などのルーチン業務については、これまで情シスが行っている内容だけにアウトソースしにくい状況があることも考えられます。

実は、運用代行は500名を超える企業では4割以上が利用している状況もあることから、その利用が中堅規模の企業にも広がる可能性もあります。運用代行は情シスの業務負荷軽減に効果的なだけに、今後の動向が注目されます。

IT投資は横ばい~増加傾向9割…TCO削減への効果まで意識したい

100~ 499名企業の「IT システム投資」を見ると、「増加傾向」「大幅に増加傾向」を合わせると約9割。「削減傾向」は約1割未満で、多くの企業で IT システムに対して積極的に投資していることが分かります。

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図5 自社のITシステム投資の傾向

このような投資増加傾向に対しては次のことが言えます。昨今、Windows 10 移行や Windows Server 2008 の EOS 対策、さらにはサイバーセキュリティ対策やスマートデバイス化などへの企業としての対応が求められています。このような状況の下、好景気を背景に「一時的に」ITシステム投資が増加された可能性も考えられます。つまり、この結果は「情シス予算」の増加を単純に示すものではないといえます。

本来、情シスにとって好ましい投資とは、オンプレミスのシステムをクラウド化 することによりTCO(Total Cost of Ownership)を削減するような投資です。現在、オンプレミスシステムの運用や管理などに必要なコストをクラウド化…つまり、「所有」から「利用」へと転換することでTCOを抑制していこうという投資です。(参考図1)

しかし、一時的なIT投資がオンプレミスに集中してしまうと、それは「所有」を増やすことになり、その投資分だけ情シスのTCOは増加します。今後の大きな課題となる人手不足や生産性向上、情シスの働き方改革を考える上でも、IT投資の方向性について考えることは重要です。

参考図1:クラウド化によりTCOを削減 ※図の原案:ネットコマース株式会社

参考図2:オンプレミスへの投資はTCO増加を招く

投資先は Windows 10、セキュリティ、クラウド、基幹システムに分かれる

最近、実行した IT 投資としては Windows 10 移行、セキュリティ、クラウド、基幹システム見直しなど、それぞれ 答は分かれました。(図6)

また「注力すべきと考えている(注力している最中の)」を見ると、「 Windows 10 への切り替え」、「クラウド活用・移行」、「セキュリティ対策・強化」が目立ちました。(図7)

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図6 最近実行した(実行している最中の)ITシステム投資(複数回答)

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図7 注力すべきと考えている(注力している最中の)活動(複数回答)

まとめ

情シスは2~4名、日々のルーチン業務に追われ、アウトソースは部分的。好景気からIT 予算が増加傾向の中、Windows 10 移行やクラウド化、セキュリティなどが新たな投資先となっている。

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