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数字で見る“情シス”の実像2019 ~情報システム部門の運営状況について~

情報システム部門
情シスアンケート
働き方

ソフトクリエイトでは、2018年9月~10月にかけて「情報システム部門の現状と IT システム活用状況に関するアンケート」を実施しました。本調査は、企業・団体等で IT システムの導入や運用・管理などに携わる情報システム部門(情シス)の担当者の実態を探ることを目的に実施されましたが、550件の調査結果を読み解くことで、企業 IT インフラ導入・活用状況や IT ライフサイクル管理の実情、情シスの働き方の実態などが浮き彫りになりました。この調査結果を参考に、2019年に取り組むべき課題や「情シスの働き方改革」について考えてみてはいかがでしょうか。

この記事の内容
300名規模を境に複数情シス体制に
情シス業務、部分的にアウトソース活用している企業が過半数を越える
アウトソース内容は障害保守・システム監視が多く、運用代行は少ない傾向に
1,000名未満は障害・監視等、1,000名以上はSOCもアウトソーシング検討
主な情シス業務、保守・運用、問い合わせ・障害対応、新規導入・改定計画に三分
主に情シスの提案で IT システム導入だが、主幹部門・利用者の声にも配慮
IT システム投資は横ばい〜増加傾向が全体の8 〜9 割
投資先はWindows 10、セキュリティ、クラウド、基幹システムに分かれる
企業規模により注力分野は分かれる傾向に
IT ベンダー選定時の重視事項は「価格」「提案内容」「サポート」「技術力」
まとめ

300名規模を境に複数情シス体制に

その多忙さが指摘される「情シス」ですが、運用・保守体制について聞きました。全体の傾向としては、規模が大きくなるほどその人員も大きくなるということが挙げられます。また、情シス1名による運用・保守体制のいわゆる「ひとりの情シス」は、300名を超えると3~5%台に。500名規模を超える企業では、過半数が5名以上ということが分かりました。

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図1 現在の情報システム部門の運用・保守についての体制(1人以下、2〜4 人、5 人以上から選択)

情シス業務、部分的にアウトソース活用している企業が過半数を越える

IT システムの運用・保守業務は、「部分的にアウトソース」している企業が半数以上という結果に。「大部分をアウトソース活用している」企業は10%台以内が多数となった。一方、「全て内制」は100〜1,000 名未満の企業では概ね4 社に1 社程度という結果になった。

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図2 IT システムの運用・保守における業務分担状況

アウトソース内容は障害保守・システム監視が多く、運用代行は少ない傾向に

現在、利用しているアウトソーシング内容のうち最多は「システム障害保守」で5〜6 割、次に多い傾向だったのが「システム監視」という結果になりました。 障害対応は情シスにとって難易度が高い業務であることがその理由の1つと考えられます。一方で、ヘルプデスクやパッチ適用などルーチン業務は、5,000 名以上規模の企業を除き少ない結果となりました。これは、属人化やルーチン業務は社内で行う慣例からアウトソースしていない状況も考えられます。

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図3 現在、利用しているアウトソーシングの内容(複数回答)

1,000名未満は障害・監視等、1,000名以上はSOCもアウトソーシング検討

今後、利用を検討しているアウトソーシング内容は企業規模によって異なる結果となりました。50〜999 名規模の企業では「システム障害保守」「システム監視」「システム運用代行」が多い傾向に。一方1,000 名を越えると、SOCサービスやクライアントPC 運用など昨今、注目が高まる分野に対し検討がなされていることが分かります。

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図4 今後検討しているアウトソーシング内容(複数回答)

主な情シス業務、保守・運用、問い合わせ・障害対応、新規導入・改定計画に三分

情シスが最も時間を使っている業務は、「システム保守・運用・報告」「問い合わせや障害対応」「新システム導入/システム改定プロジェクト」の3つに大別される結果となりました。一方で、5,000 名以上になると急激に、「提案や予算計画」「管理・把握していない」が増え、保守や障害対応などに関する時間が少なくなっていることが分かります。

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図5 最も時間を使っている情報システム業務

主に情シスの提案で IT システム導入だが、主幹部門・利用者の声にも配慮

IT システム導入/リプレイスのきっかけは、企業規模を問わず「主に情報システム部門からの提案」が最多となりました。少し空いて「主幹部門・利用者からの提案・改善要望」、「親会社や経営層からの指示」が続いています。情シスが大きく関与するのは間違いありませんが、主幹部門・利用者の声も決して少なくなく、見逃せない要素となっています。

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図6 自社のIT システム導入/リプレイスのきっかけ(複数回答)

IT システム投資は横ばい〜増加傾向が全体の8 〜9 割

「IT システム投資」を見ると、「横ばい」から「増加・大幅 に増加傾向」を合わせると約8〜9 割。「削減傾向」は5,000 名以上規模の企業が多かったが、多くの企業が IT システムに対して積極的に投資していたことが分かります。しかし、ほかの設問と合わせて考える必要があるでしょう。これは単に情シス予算の増加ということを意味するわけではありません。情シスの業務を効率化するための投資(クラウド化やアウトソーシングなどにつながる)かどうかは、ほかの設問と合わせて考える必要があるでしょう。

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図7 自社のIT システム投資の傾向

投資先はWindows 10、セキュリティ、クラウド、基幹システムに分かれる

IT 投資が横ばい〜増加となる企業が多いことがわかったが、その投資先となるのがこの設問。Windows 10 移行、セキュリティ、クラウド、基幹システム見直しなど、それぞれに回答は別れました。ただし、Windows 10 移行への予算は2020 年には抑えられていくと予測されます。その分、IT システム投資額が抑えられることも予測されますが、Windows 10 移行への投資が、単にオンプレミス環境を増やす結果となるのであれば、それは情シスにとって今後の管理対象を増やすことになり、TCO 増加を招く結果となる可能性もあります。

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図8 最近実行した(実行している最中の)IT システム投資(複数回答)

企業規模により注力分野は分かれる傾向に

大手企業と中堅、中小企業では回答が分かれる傾向が見られる本設問。Windows 10 移行やセキュリティ対策、情シス部門の強化に対しては中堅企業が多いことが分かりました。一方、大企業は AI / IOT / RPA など旬な話題や IT コスト削減などに他より注力できる環境にあることが分かりました。500 名以下では、Windows 10、クラウド活用、セキュリティ対策などに分散する傾向がありました。また、採用やアウトソースなど情シス体制強化に対しても、注力している企業は少なくないと考えられます。

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図9 注力すべきと考えている活動、注力している最中の活動(複数回答)

IT ベンダー選定時の重視事項は「価格」「提案内容」「サポート」「技術力」

IT 製品選定時にベンダーに求めるものは、総じて「価格」「提案内容」「サポート」「技術力」が突出し、並びました。一方、過去の取引実績、関係性や企業プロファイルは求めていないことが分かりました。旧来の関係性よりも、今後の IT システムをいかに提案していくか、その内容や価格、技術などが注目される時代になってきていると言えるかもしれません。

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図10 IT 製品・サービスを選定する際にベンダーに対して求めるもので、特に自社が重視する事項(複数回答)
※社内決裁を必要とするプロジェクト、金額が大きいプロジェクトなど、ある程度慎重な決定を必要とする事項

まとめ

システム保守・運用・問い合わせ対応が主要業務。アウトソースは依然として障害対応などにとどまっている。好景気から IT 予算が増加傾向で、Windows 10 移行やクラウド化、セキュリティなどが新たな投資先となっている。

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