SCCloud 365 導入・DX支援事例
公益財団法人 福島県保健衛生協会 様
福島県保健衛生協会は、県民の健康維持と公衆衛生向上を目的とする公益財団法人です。同協会は ICT 基盤のクラウド移行にセキュリティ対策を抜本的に見直し、SCCloud 365(現:SCCloud 365 Business)の導入により、工期およびコストを削減しながらゼロトラストセキュリティ環境を調達しました。さらに Microsoft 365 の定着支援研修も実施し、セキュリティ強化と業務の利便性を両立する、DX推進の加速に向けたインフラ刷新が実現しました。
課題
✔︎ 従来のオンプレミス型インフラのパフォーマンスやセキュリティ対応に限界を感じた
✔︎ 従来型の境界防御モデルでは、ランサムウェアなどのサイバー攻撃対策に不安
✔︎ 施設老朽化に伴う拠点移転の可能性を踏まえ、場所を選ばず安全に業務できる環境構築が求められた
導入効果
● ゼロトラストの導入により、クラウド活用に見合ったセキュリティ強化と利便性の両立を実現
● Microsoft 365 の活用により、業務の生産性と透明性が向上
● 個別ソリューション導入と比較し、工期を約1/3、ランニングコストを約1/2に抑制
創設以来40年以上の確かな実績のもと、県内全域に健(検)診を届けています。福島県民がすべてのライフステージにおいて健康で活力あふれる生活をおくれるよう、疾病の発見及び予防、健康の保持増進並びに生活環境の保全を図り、併せて公衆衛生に関する知識の普及、啓発、相談、調査、研究及び支援を行っています。
公益財団法人 福島県保健衛生協会
総括監(兼)総務部長
(兼)総合医療管理部長
浦山 北斗氏
公益財団法人 福島県保健衛生協会
総務部 情報処理課 課長
(兼)成績管理係長
三塚 清喜氏
公益財団法人 福島県保健衛生協会
総務部 部主幹(兼)
情報処理課 システム係長
佐藤 稔彦氏
公益財団法人 福島県保健衛生協会
総務部 情報処理課
システム係 主事
三浦 博行氏
福島県保健衛生協会は、福島県民の疾病の発見及び予防、健康の保持増進並びに生活環境の保全を図り、併せて公衆衛生に関する知識の普及、啓発、相談、調査、研究及び支援を行う公益財団法人である。同協会は2021年、ICT インフラ基盤をクラウドに移行すると共にゼロトラストセキュリティを実現するべく、検討を開始した。その経緯を、総括監(兼)総務部長(兼)総合医療管理部長の浦山北斗氏と、総務部 情報処理課 課長(兼)成績管理係長の三塚清喜氏は、次のように話す。
「国の掲げる『クラウド・バイ・デフォルト』の原則に則り、従来のオンプレミスのインフラ管理からの脱却、『持たざる ICT』への転換を目指しました。併せて、コロナ禍で明らかとなった従来型ネットワーク境界防御でのパフォーマンス面のボトルネック解消および、被害が深刻化するランサムウェアなどサイバーセキュリティ対策強化の観点で、ゼロトラストセキュリティの必要性を強く意識しました。」(浦山氏)
「また、各施設の老朽化に伴って全県的な事業のあり方に見合った機能移転も検討されており、拠点移動の足かせにならぬよう、いつでもどこでも働ける環境を整備する必要もありました。こうした背景を勘案して、セキュアであることはもちろん、ロケーションフリーでクラウドサービス群を利活用できる、モダンワークを実現可能なインフラ基盤の調達が求められました。」(三塚氏)
こうした課題を解消するべく、同協会は当初、ゼロトラスト関連プロダクトの導入を検討。しかし、IDaas、MDM、EDR、SASE などゼロトラスト構成要素の個別導入では工数およびコスト面での不安が募り、検討を重ねる中で Microsoft 365 を採用する方針になったと、両氏は明かす。
「もちろん Microsoft にもゼロトラスト関連のプロダクトがあることは承知していましたが、中小企業が手出しするものではないとの先入観があったことと、サービス構成がめまぐるしく変遷して理解が追い付かず、当初は積極的に情報収集していませんでした。しかし、Microsoft Office の導入にあたり付帯機能を調べる中で、Microsoft 365 Business Premium 以上のプランであれば、ゼロトラストの構成要素がほぼ網羅されていると知り、予算要求後に Microsoft 365 によるゼロトラスト導入を決断しました。クラウドサービスの利便性や更新性をしっかり享受、働き方をアップデートしたいという今回の目的にも合致する選択だと考えました。」(三塚氏)
「1つのIDで Office、Web会議、ビジネスチャットやゼロトラストセキュリティ実現のための豊富な機能がトータル提供されることによる工数およびコスト削減メリットに加えて、セキュリティ強化の観点からも、あらかじめ高度なセキュリティ対策を備え、常に最新のアップデートで新たな脅威対策も提供してくれる Microsoft 365 を利用する方が、いまの時代にも即した有効な策であると考えました。」(浦山氏)
ICTインフラ基盤およびセキュリティの全面的な刷新となるため、同協会では委託先についても慎重に検討。比較検討の結果、「安心して身をゆだねられるベンダーと判断(三塚氏)」されたソフトクリエイトが、パートナーに選定された。その決め手を、両氏は次のように語る。
「ソフトクリエイトは Microsoft 認定ソリューションパートナーであり、アワードの連続受賞実績からも信頼性が高かった。また、ヒアリング時点で150社以上の中小企業に対する Microsoft セキュリティ導入実績もあり、我々のような情報システム部門のリソースが潤沢でない組織への対応も、熟知されていることが伺えました。」(浦山氏)
「検討は2か月ほどと短期間でしたが、ソフトクリエイトはその間のレスポンスも常に早く、また当協会の意図や背景などを積極的に質問いただき、相互理解を深める建設的なコミュニケーションを築くことができた点も大きかったです。」(三塚氏)
さらに、ソフトクリエイトが提供する「SCCloud 365」への期待値も、選定の大きな決め手と三塚氏は語る。
「ライセンスのリセールおよび導入支援に留まるベンダーが大半である中で SCCloud 365 は、それらに加えランサムウェア対策や誤操作復旧などでビジネスに欠かせないデータのSaaSバックアップや、運用についてプロに相談できる Microsoft 365 相談所などのアフターフォローも追加料金なしでバンドルされています。コスト的にお得感があり、稼働後の不安も払拭できる期待がありました。」(三塚氏)
プロジェクトは2024年8月より構築環境についてのヒアリングが開始され、9月から構築スタート。導入機能としては Entra ID(IDaas)、Intune デバイス管理(MDM/MAM)、ウィルス対策(EPP)に、Defender for Business(EDR)。コラボレーションでは Teams、ファイル共有の SharePoint と、メールおよびスケジューラとして Exchange Online。バックアップは、SCCloud 365 に含まれる SCCloud SaaS Backup。監視(SOC)として Security FREE for Microsoft 365、ログ管理の Survey Eyes など、多岐に渡る。
ソフトクリエイトのプロジェクト運営を、三塚氏は次のように評価する。
「当協会は Office 365 の導入経験もなく、ゼロベースでの Microsoft 365 導入となるため、各種契約業務の俯瞰的なマネジメントに期待しました。この点は初期段階でリクエストし、うまく意図を汲み取り業務運営をテーラリングいただけたことで、実りあるプロジェクトになったと感じています。アクセス制御やファイル共有における OneDrive、SharePoint、Teams の棲み分けなどの技術的な点も当方の業務に合わせて柔軟にレクチャー、構築いただけたことで、Microsoft 365 への理解を深めることにもつながりました。また、検証時に発生したハレーションの初動対応が的確で、棚上げされたままの課題がなかった点は、我々も見習いたいと感じました。」
今回、職員が利用するデバイスも全面的に刷新。ソフトクリエイトは要件の異なる管理職向け、一般職員向けPCについて、キッティングセンターと現地対応を組み合わせたキッティング作業を提供した。この点を、総務部 情報処理課 システム係 主事の三浦博行氏は、次のように評価する。
「端末の調達からキッティングまでお任せすることができ、とても助かりました。また、端末選びの際に複数の候補を提示していただき、選定のポイントを教えてもらえたこともありがたかったです。」
そして今回、構築プロジェクトと並行して、ソフトクリエイトが運営するソフクリ365倶楽部の協賛パートナーである株式会社 環(以下、KAN)による、Microsoft 365 の利用定着のための利用者向け教育研修が実施された。三塚氏はその評価を、次のように話す。
「KANからのアドバイスもあり、短期集中の詰め込みではなく、情報を小出しにしつつ時間をかけながら理解を深めるアプローチを採用しました。研修資料をレビューする過程でソフトクリエイトにも参加いただき、Microsoft 365 の仕様を並行して決めていきました。相互にフィードバックを加えて当協会のポリシーや業務に最適な機能と教え方がカスタマイズされていく点が、非常に優れていました。さらに、教育研修での従業員の声や理解度も踏まえてチューニングを加えました。具体的には、従来のファイルサーバとクラウドのファイル共有ではどう違い、使いやすくするにはどうすればよいのかを考慮して、実業務で意識せずに使える機能を選択し、研修でその操作を教えるなど。ありきたりの研修ではなく、実務に必要な疑問を解消するアドバイスが、たくさん得られました。」
プロジェクトは計画通り、年度内の2025年2月末に完了。その成果を両氏は、次のように語る。
「当初検討していたゼロトラスト実現のために個別ソリューションを導入する計画では、工期も数年単位でかかる目算でした。しかし、それに比べ本プロジェクトは、製品の選定にかかる工数なども含めて工期が見込みの3分の1、ランニングコストが2分の1に抑えることができました。その分、教育研修に力を入れることができました。」(三塚氏)
「多くの職員が導入に興味を持ち、能動的に研修を受けたいとの声が多数挙がりました。当初は管理職を対象とした教育プログラムを計画していましたが、工期と予算が圧縮できたことで、対象を広げて提供することができました。」(浦山氏)
さらに三塚氏は、プロジェクト中の他社との協働で、Microsoft 365 活用の手ごたえを感じたと語る。
「プロジェクトは当協会とソフトクリエイト、KAN の3社でチームを発足、Teams を用いた共同作業で進めました。この間、Web会議とチャットによるコミュニケーションはもちろん、スケジュール、プロジェクト資料も Teams で一元管理しました。従来のメールと添付ファイルでのやり取りに比べ非常にスムーズで、受け取ったファイルを別途ファイルサーバに保存するといったわずらわしさもありません。それが協会内だけでなく他社の方々と一緒に進められたのは、貴重な経験でした。これまで当協会ではグループウェアの運用実績がありませんでしたが、今回導入した Microsoft 365 を活用してスケジュール管理を基軸とした情報の一元化やリアルタイム共有などを浸透させていきたいと思います。また、若手を中心に自発的にうまく使いこなす人がいる一方、よく分からず利用できない人も出てきます。その人たちに対する、底上げのケアをどうするか考えています。内部レクチャーで伝える情報はコンパクトにまとめ、足並みを揃えて運用するところをスタート地点にすべきなど、その辺りも研修会の中で把握できたポイントです。」
浦山氏は、公益法人が Microsoft 365 を導入する意義を、こう語る。
今後の展開について、総務部 部主幹(兼) 情報処理課 システム係長の佐藤稔彦氏は、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)の確立を挙げる。
「Microsoft Entra Private Access により、インターネットから基幹システムへのセキュアなアクセスを確立したい。VPN およびインターネット系LAN を廃止し、いつでもどこでも Microsoft 365 が利用できるネットワーク環境を整備する計画を進めています。併せて、機密情報の管理上重要なデバイス管理についても、多要素認証やIDの整合性チェックも含め、さらなる強化を検討しています。」
三塚氏は、Microsoft 365 Copilot による生成AI の活用にも期待を寄せる。
「Microsoft 365 Copilot による生成AI活用は、一般的に有用とされる情報収集や文書作成、メール精査などで身近な作業負荷を圧縮することは勿論、当協会のメイン業務である健診業務にも応用できないか、検証を進めたいと考えています。」
最後に浦山氏は、ソフトクリエイトへの期待を次のように結んだ。
「ソフトクリエイトは Microsoft フォーカスパートナーとして密な連携関係にある強みを活かし、これからも定期的な情報および知見の提供に期待しています。当協会も継続的なワークショップやセミナー参加を通じて、業界動向にアンテナを張り巡らし、さらなるDXやAXにチャレンジしたいと考えています。引き続いての支援に期待しています。」
※記載内容は 2025年3月 現在のものです。
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