Microsoft Copilot 導入事例
株式会社アストロスケールホールディングス 様
“宇宙の未来を守る”という使命を掲げ、世界に先駆けてスペースデブリ問題に挑むアストロスケールホールディングス。多言語・多拠点の環境下で生成 AI 活用への期待が高まった同社はこの度、 Microsoft 365 Copilot を採用。ソフトクリエイトによる伴走支援と共に業務変革が進む同社の、生成AI活用定着に向けたリアルな取り組みを追う。
課題
✔︎ 生成 AI 活用への期待が高まる一方、どう活用できるかイメージが描きづらい
✔︎ 多言語・多拠点環境での業務効率を高めたいが、業務への適合性および情報漏洩リスクを懸念
✔︎ どのツールを選び、いかに安全に活用できるかなど、具体的な活用施策を確立したい
導入効果
● Microsoft 365 Copilot の活用により翻訳、議事録、資料作成などの工数を大きく削減
● 作業時間を短縮し、より高度な本来業務に注力しやすくなった
● 業務の効率化に加えて業務品質、および社内リテラシーも向上
アストロスケールホールディングス株式会社は、増え続けるスペースデブリ(宇宙ごみ)問題の解決に特化し、「軌道上サービス」という新たな分野を牽引する、日本初の宇宙ベンチャー企業。 EOL( End of Life:衛星運用終了時のデブリ化防止)、 ADR( Active Debris Removal:既存デブリ除去)、 LEX(Life Extension:衛星寿命延長)、 ISSA(In-situ Space Situational Awareness :軌道上物体の観測・点検)の4つのサービスを軸に、安全で持続可能な宇宙環境の実現を目指し、グローバルに事業を展開している。
株式会社アストロスケールホールディングス
Vice President,Global IT & Security
ピエール・ジャック氏
株式会社アストロスケールホールディングス
Japan IT Senior Manager
前田 恵理氏
株式会社アストロスケールホールディングス
Japan Helpdesk Technician
河田 有里杏氏
同社が生成 AI の活用を検討し始めたのは、 ChatGPT の登場がきっかけだった。社員からの利用を求める声が日増しに高まる中、Japan IT Senior Manager の前田 恵理 氏は、その必要性を次のように話す。
「市場競争力を高める上で、もはや生成 AI の業務活用は避けては通れません。当社でも多くの社員から、“活用したい”との声が多く挙がり、生成AIをいち早く全社で活用し、生産性向上に繋げたい思いがありました。」
Vice President, Global IT & Security のピエール・ジャック 氏は、情報管理の視点から次のように述べる。
「当社は事業の性格上、グローバルで多くの機密情報を扱い、かつサイバーセキュリティの脅威に晒されやすい業種と言えます。それが故に、全社員が生成 AI を安全に使える環境を提供することが、非常に重要だと考えました。情報管理やセキュリティ、ガバナンスの観点から、実際にどのツールがどこまで使えて、そして現実的に安全に導入できるのか、慎重に見極める必要がありました。」
その中で同社が選定したのが、Microsoft 365 Copilot (以下、Copilot)だ。同社がすでに活用中のMicrosoft 365 環境との高い親和性と、日々の実業務に近い点が評価された。
ピエール氏は、選定の理由を、次のように語る。
「データ保護とセキュリティ面において、Copilot はテナント内のデータを利用し、そのデータが外部に流出しない仕組みになっており、機密情報を扱う当社としても安心です。その上で、Copilot は我々が既に整えてきた Microsoft 365 環境との連携を前提として、効率的な管理が期待できます。もちろん、当社のセキュリティ基準に適合する上で、Microsoft というベンダー自体に対する信頼感も大きかったです。」
前田氏は、日々の業務との親和性を、次のように評価する。
「Microsoft 365 で我々が日々活用する Outlook、 Teams、 Word、 Excel、 PowerPoint などの業務アプリケーションとCopilot がシームレスに連携する、親和性の高さが魅力でした。文書やメール、議事録の作成や、多言語の翻訳など、専門分野を問わず多くの社員が多岐にわたる業務で、それも使い慣れたツール上で生成 AI が利用できることは、導入後の定着を促進すると考えました。加えて、今後の継続的な機能拡張への期待も、選定の後押しとなりました。」
生成 AI の全社活用にあたり、多くの企業が悩むのは費用対効果とガバナンス策定の考え方だろう。
前田氏は、同社における費用対効果の考え方を、次のように話す。
「トライアル中にどのような業務に Copilot が活用できるのかを見極め、それにより削減できた作業時間を集計。それに人件費の時間単価を掛け合わせて算出したところ、費用対効果は明確でした。当社は社員の生産性向上につながる新たなテクノロジーの導入には前向きな文化ですので、経営層の理解を得る苦労よりも、いかに早期に活用できるかが課題でした。」
ルール策定の過程を、ピエール氏はこう話す。
「生成 AI の全社活用にあたり、当然ルールを設ける必要があります。まず、どんな目的で AI を使うのか、どのツールを使うのかを明確にする。 安全性および構築や運用負荷を考慮し、無制限に何でもというわけにはいきません。そして、リスク管理では、機密情報や個人情報を AI に入力することは固く禁じています。また、 AI が生成した情報が常に正しいとは限らないので、最終的な確認は必ず人が行うことを徹底する。著作権や倫理的な問題についても、十分な注意が必要です。これらの考え方のもと、草案を作成し、社内の多くの方にレビューして調整していきました。特に当社は日本のみならず、イギリス、イスラエル、フランスなど海外にも事業を展開していますので、各国の個人情報や AI に関する法規を調べ、リーガル部門にも意見を仰いで、取りまとめました。」
同社は Copilot の活用にあたり、まずは少人数による社内トライアルからスタート。有志の社員約 10 名が参加し、各自の業務で実際にどのように活用できるかを模索する形式で行われた。
前田氏は、当初の狙いをこう語る。
「最初から“全社でどう使うか”を定めるのではなく、まずは現場で実際に試してもらうことを優先しました。どう使うかを“自分で考えてみる”ことが、生成 AI への理解を深める第一歩になると考えました。」
翻訳、議事録、提案書の作成など、参加者はそれぞれの業務に応じて使い方を試行錯誤。試用期間を経て「もっと使ってみたい」という声が社内に広がり、次第に利用希望者が増えていった。
Japan Helpdesk Technician の河田 有里杏 氏は、社内の反応を振り返る。
「トライアルに参加していたメンバーが、会議や業務の中で『実は Copilot でこれを作ってみたんだけど』と共有することで、自然と周囲の関心が高まりました。そこから“私も使ってみたい”という声がどんどん増えていきました。」
利用希望者は 60 名を超え、同社はさらなる活用促進に向けた次なるステップとして、ワークショップの開催に踏み切った。
ワークショップは2025 年 6 月、ソフトクリエイトの支援のもとで実施された。目的は、実際に使ってきた社員たちが、それぞれの業務において Copilot をどう活かせるかを整理し、さらに理解を深めることだった。
前田氏は、このワークショップで、さらに活用への熱量が高まったと実感する。
「当日の参加者は、 100 名近くに上りました。開催中もずっとチャットで質問が届き、最後まで離脱者がほとんどいなくて驚きました。どうしても都合がつかず参加できなかった社員からも、録画データが見たいとのリクエストが相次いでいます。もうこの場からすぐに業務に活かせる実践的な内容で、多くの社員にとってとても有意義な時間だったと思います。」
単なる操作説明にとどまらない、業務に即した活用のヒントが提示されたことで、参加者にとって新たな気づきが生まれたと、河田氏は、その効果を次のように語る。
「自分たちで試してきたことがベースにあるからこそ、“ああ、そういう使い方もできるのか”という気づきが得られました。ただ教わるのではなく、自身の経験と結びつけられる場になったと思います。」
さらに前田氏は、本ワークショップは、生成AIを利用していない層にも有効であるとして、その理由を語る。
「ワークショップでは、自分の業務に置き換えてCopilotを使うイメージが自然に湧いてきました。生成AIにまだ踏み出せていない人は、“なぜ自分に必要なのか”を実感できていないだけだと思います。目的や成果のイメージが持てれば、使いたい気持ちが生まれてきますし、実際に当社でも“こういう業務で使いたい”との声が上がるようになりました。無理に強制するのではなく、業務と結びつけて活用の絵を描いてもらうことが大切だと感じています。」(前田氏)
現在、多くの社員が日常業務で Copilot を活用。多言語の翻訳や議事録、資料作成といった、さまざまな場面で利用されている。
なかでも、社内の翻訳業務における負担軽減は大きな成果の一つだと、前田氏は明かす。
「当社には翻訳の専門チームが存在しますが、依頼件数が多く、2~3 週間の順番待ちが発生することも珍しくありません。専門性が高く、確実な品質で対応するためどうしても時間がかかってしまう。 Copilot を使うようになってからは、下訳や一次的な翻訳を自分で済ませられる場面が増えて、スピード感がまったく違います。」
また、議事録の作成やメール文案の生成といった日常的な業務にも、 Copilot は有効に活用されている。河田氏は、その効果を次のように語る。
「以前は1 時間近くかけて人がまとめていた議事録が、今では数分で完成します。 Copilot が提示する文案は要点が整理され、構成も整っているので、品質のばらつきが減り、社内での共有やレビューもしやすくなりました。また、 Teams 会議を録画しておくことで、途中参加者はこれまでの会話の流れが瞬時に把握できるので、置いてけぼりにならず、打ち合わせの質も向上しています。」
こうした文書の型や表現方法は、社内ポータルや FAQ にナレッジとして蓄積され、他の社員にも共有可能。Copilot の活用が、業務効率化にとどまらず、情報共有の質の向上にも寄与する好例だ。
Copilot の導入から定着において、ソフトクリエイトは伴走型の支援を提供。ピエール氏は、その印象を次のように述べる。
「一般的に多くのベンダーは、製品の技術仕様や操作説明で終わってしまう。でもソフトクリエイトは、当社の実情に即して“いかに導入して、どの業務にフィットさせるか”まで、一緒に考えてくれました。対話の中からこちらの温度感や悩みを汲み取ってくれる安心感がありました。」
また、 Copilot のように進化の速いツールでは、導入後の運用体制やリテラシー醸成も重要なテーマだ。同社はソフトクリエイトからの情報提供を受けながら、社内の活用促進施策を継続的にアップデートしていると河田氏は語る。
「ユーザーコミュニティ的なチャットスペースを作り、情報提供とコミュニケーションを行っています。『ソフクリ365 倶楽部』でソフトクリエイトの方が発信してくれる便利な使い方や新しくリリースされた機能を自分でも試し、おすすめ情報として掲載すると、ユーザーの社員同士が活発にコミュニケーションしてくれています。」
今後、同社が注力するのは、全社員が Copilot を自然に使いこなし、 AI と共に働くことが“当たり前”な社内文化の醸成。そのための取り組みとして同社は、ソフトクリエイトと共に活用事例や Tips 、 FAQ などのナレッジコンテンツを拡充し、自走できる環境の整備を進めている。
前田氏は、実際に試すことの価値をこう強調する。
「生成 AI は、誰かに教えてもらうだけではなく、“自分で使ってみる”ことで得られる気づきが多いと思います。そうした経験を広げていくことが、今後のリテラシー向上にもつながると感じています。」
最後にピエール氏は、今後の展望とソフトクリエイトへの期待を、次のように結んだ。
「Copilot の活用に限らず、これからの業務では“ AI とどう向き合うか”という視点が欠かせなくなるでしょう。当たり前に使えて、そこから活用を深化させる文化を、社内に根づかせていきたい。そして、ROI を最大化するためには、社員全員が利用することが重要です。ソフトクリエイトにはこれからも、あらゆる規模の組織が利用しやすいライセンスの柔軟な提供など、コスト面も含めた支援を期待しています。」
※記載内容は 2025年7月 現在のものです。
※記載された仕様は予告なく変更する場合があります。
※記載されている会社名、製品名などは一般に各社の登録商標または商標です。
・Microsoft 365 Copilot は、最先端の生成 AI 技術を Microsoft 365 の Word、 Excel、 PowerPoint、 Outlook、 Teams などのアプリケーションに統合した AI アシスタントです。ビジネスデータと連携し、日々の業務を劇的に効率化します。
・文書やメールのドラフト作成、会議の要約、データ分析のサポートなど、 Microsoft 365 Copilot は多岐にわたる業務で創造性を高め、生産性向上を実現します。 Microsoft 365 環境のセキュリティとコンプライアンス基準に基づいているため、データプライバシーを保護しながら安全に利用できる点も大きな特長です。
・生成 AI の導入には、ライセンス選定からセキュリティ設定、そして何よりも「社員に使いこなしてもらう」ための定着化が不可欠です。ソフトクリエイトは、 Microsoft ソリューションに特化した豊富な実績と専門知識を活かし、お客様の Copilot 導入を包括的にサポートします。
・ライセンス選定から環境構築、そして導入後の利活用促進まで、ソフトクリエイトは Copilot 導入の全フェーズをワンストップで支援。 Microsoft 365 の Security 機能を利用して、お客様の環境に合わせた安全な利用ポリシー策定や、エンドユーザー向けのトレーニング・ワークショップ実施など、社員が Copilot を最大限に活用できるための定着化支援を提供します。
・さらに、 Microsoft 365 ユーザーのための情報コミュニティ「ソフクリ365倶楽部」で最新情報、活用事例、 Tips が共有され、「機能が多く使いこなせない」「アップデートに追いつけない」といった IT 部門の悩みを解決する場を提供。会員間の情報交換を通じて、共にスキルアップできる環境が大きな魅力です。
ソフトクリエイトは、Copilotの導入からその先の効果的な活用、そして継続的な運用まで、お客様に寄り添い「伴走」するパートナーとして、ビジネスの変革を力強く後押しします。