
営業部門やマーケティング部門では、多くの企業が kintone を使って顧客管理や案件管理を行っています。
しかし、膨大なデータを本当に最大限活用できているでしょうか?
最近では、kintone とAIを組み合わせることで、これまで難しかった顧客情報の分析や詳しい案件状況の共有などが進んでいます。
この記事では、kintone とAIの連携について具体的な活用事例を紹介し、営業やマーケティング活動を効率化する方法を詳しく解説します。
kintone×AI の概要と連携イメージ
生成AIは、自然言語で質問を入力し、それに対して適切な回答を生成することが可能です。代表的な例としては ChatGPT が挙げられます。
AIと kintone を組み合わせることで、通常は一般的な質問に対してのみ回答するAIが、kintone のデータを元にした具体的な回答を提供することができるようになります。これにより、社内で独自に管理している kintone 内のデータ状態を基にした、カスタマイズされた回答が可能となります。

それでは、実際にどんなデータをどのように活用できるのか、具体的な例を用いてご紹介します。
利用ユースケース 営業・マーケティング部門向け
1.ターゲット顧客の分析と選定
マーケティング部門では、施策ごとにターゲットを設定することが不可欠です。
しかし、こんな悩みを抱えたことはありませんか?
- ターゲットとなる対象者は何人いるのか?
- 現在持っている情報でターゲットを絞り込むことができるのか?
ターゲットの選定は非常に難しく、結局いつも同じターゲットに固定化してしまうことが多いいものです。
しかし、「実はもっと良いターゲットがあるかもしれない」と考えたことはないでしょうか。
AIが顧客情報の分析と検索を行うことで、より精度の高いターゲット設定が可能になります。
【AIによる迅速で柔軟な情報検索】
kintone で顧客管理しているなら、AI連携する事で、文字列が完全に一致しなくても関連する情報を見つけ出すことができます。
これにより、必要な顧客情報を迅速に検索し、業務効率を大幅に向上させることができます。
例えば「商談待ちの案件は何件あるの?」や「今月記念日を迎えるお客様の一覧を出してみて」等、自然言語で問合せができる事が特徴です。
「●名くらいピックアップしたい」など、アイデアベースでターゲットを絞り込むことができるので、施策立案の助けとなるでしょう。


2.顧客対応における次のアクションを提案
営業担当やカスタマーサポートの業務では、直接お客様とやり取りしてフィードバックを聞く機会が多く、その情報はマーケティングの資産ともなります。
しかしながら、顧客とのやり取りを記録し振り返ることは重要である一方、改めて振り返りをする機会がないまま時間が経ってしまうことがあります。
そのため、上手く仕組み化されていない場合、やり取りを後から見返すことができる形には蓄積・共有されていないケースが多いです。
【AIによる要約を活用】
生成AIを活用すれば、特段内容をまとめなくても、商談メモや議事録から商談状況のサマリや次のアクションだけを抽出する事が出来ます。
日々蓄積する営業日報をもとに、生成AIが顧客ごとにステータスを整理した顧客対応履歴を作成することもできます。


【過去に似た事例がないか探したい】
膨大にある過去の対応履歴の中から、今直面している課題と近い状況だった案件や、時系列に沿った対応結果を探すことができます。
担当者から直接アドバイスを受けるなどのアクションにも繋がり、チームで状況を共有できます。

3.アンケート内容の分類と改善案の提示
マーケターにとって顧客データやアンケート結果を分析し、将来の行動を予測することはビジネスにおいて非常に重要です。
選択式のアンケートから傾向をつかむことも重要ですが、実はフリーコメントにこそ回答者の意図や正直な意見が読みとれることもあります。
【生成AIによるデータ分析と予測】
生成AIは、数値でまとめづらいようなフリーコメントの内容をまとめることが得意です。
アンケートを kintone に記録している場合、例えばお客様アンケートの結果を読ませ、ポジティブな意見とネガティブな意見に分類させたり、次に必要なアクションを推測提案させる事が出来ます。
アンケート以外にも、購買履歴から最適な販売の組み合わせをAIが提案したり、電話での営業のタイミングをAIが見極めたりと、社内で保持しているデータをもとに次のアクションまでAIに案を出させることができます。
これにより、マーケティング戦略を最適化し、ビジネスの成長を促進することができます。


効果的な運用をするには?
AIの回答精度や正確性を維持するためには、kintone アプリのフィールドの工夫や質問文の最適化が重要です。
また、チーム全体でAI活用の理解を深め、定期的なフィードバックを通じて運用の改善を図ることも求められます。
運用Point1:適切なフィールド設定
AIが効果的に情報を読み取り、正確にデータ分析をできるようにするためには、フィールド名を分かりやすく設定することが重要です。
例えば、「顧客名」「購入日」「製品カテゴリ」といった具体的な名前を使用します。
また、データ入力時には統一されたフォーマットを使用し、一貫性を保つことが必要です。
- 必須フィールドを設定することで、重要な情報が欠けないようにする
- 自動入力や計算フィールドを活用し、手動入力のエラーを減らす
これにより、AIが正確にデータを読み取り、適切な回答を行うことができます。
運用Point2:生成AIへの質問文を最適化する
生成AIはユーザープロンプトと呼ばれる質問文を入力することで動作します。
ユーザープロンプトは、生成AIに対して具体的な指示や質問を提供するものであり、その品質が結果の精度に大きな影響を与えます。
そのため、ユーザープロンプトを工夫し、明確かつ具体的な指示を与えることが重要です。
(1)
<悪い例>
弊社の新製品XYZについて説明してください
<良い例>
弊社の新製品XYZについて以下の点を説明してください:
・概要の説明
・製品を利用した際の効果
・競合製品と比較してどの点が優れているのか
(2)
<悪い例>
今月の営業目標を教えてください
<良い例>
今月の営業目標を以下の点に基づいて設定してください:
・過去3ヶ月の売上データ
・主要顧客の購買パターン
・新規顧客獲得の目標数
また、企業内で最適化されたユーザープロンプトを共有することで、利用方法の平準化と回答精度の向上が図れます。
運用Point3:AIの活用促進
生成AIの効果的な運用方法はまだ十分に確立されておらず、多くの企業が社内での活用促進に課題を抱えています。
AIの活用を効果的に進めるために、以下のステップを取り入れましょう。
1.AIの活用範囲を明確化する
ただ kintone アプリと生成AIを連携するだけでは、十分に効果を発揮できない場合があります。利用者が活用の効果を実感できなければ、継続的な利用にはつながりません。
まずは、どの kintone アプリや業務でAIを使えるかを検討しましょう。そして、具体的な活用シーンを設定し、その効果を見積もった上で導入を進めます。
例えば、営業・マーケティング部門であれば、利用ユースケースで紹介したように、顧客管理や案件管理アプリを活用することで、効果が期待できます。
2.運用方法の共有・教育
AIの利用効果を最大限発揮させるためには、正しい運用方法を行うことが重要です。
Point1・2で紹介したように、アプリへのデータ登録やAIへの質問方法など、効果的な活用方法を社内で共有しましょう。
運用・利用方法に一貫性を持たせることが、活用促進のカギとなります。
3.活用状況の把握とフィードバック収集
AIの活用状況について把握できる仕組みを整えましょう。
生成AIの製品には、利用状況の見える化や履歴機能が備わっているものもあります。
運用状況を常に把握することができる重要な機能であるため、導入製品の選定の際には、これらの機能が備わっているかも確認をするとよいでしょう。
また、AIと kintone の利用に関して定期的に社内からのフィードバックを収集し、運用上の課題や改善点を把握することで、システムやプロセスを改善することができます。
kintone×AI で顧客管理・案件管理を効率化しよう
kintone とAIを組み合わせることで、顧客管理や案件管理が飛躍的に効率化します。AIによるデータ解析で、顧客のニーズや案件状況を迅速に把握し、最適な対応が可能になります。
効果的な運用をするためにはプロンプトの最適化や社内での活用促進が重要です。そのためには、導入する生成AI製品の選定を慎重に行うことも不可欠でしょう。
ソフトクリエイトが提供する Safe AI Gateway は、企業が生成AIを安全・簡単に利用できるように開発されたサービスです。企業ごとに安全な専用環境を作ることで、セキュアな生成AI活用を実現します。また、kintoneアプリとの連携により、自社データを利用した生成AI型のチャットボットを自社で簡単に作ることが可能です。
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運輸業向けについては、下記の記事をご覧ください。
【活用例】kintone×AI で車両管理!効率化と安全性向上【運輸業】