情シスが多くの時間を使っている「問い合わせ・障害対応」「システム保守・運用・報告」などの業務※。こうした業務を効率化するためにアウトソースは効果的です。しかし、アウトソースに対して、あまり良い印象を持っていない上司や経営層も少なくないかもしれません。今回は、情シスの運用業務のアウトソースの誤解を解くポイントをご紹介します。
※ソフトクリエイト「情報システム部門の現状とITシステム活用状況に関するアンケート 2018」結果より
「情シス業務のアウトソース」は楽したいからという誤解
多忙な情シスの日々の業務を見ると、最も多いのが「問い合わせ・障害対応」、次いで「システム保守・運用・報告」。一方で、部分的にアウトソースしている企業は7割に上り、「システム障害保守」が最も多くアウトソースしていることが分かっています。
※調査結果はすべてソフトクリエイト「情報システム部門の現状とITシステム活用状況に関するアンケート 2018」より。すべて従業員数500〜999人規模企業の場合。
このうち「システム障害保守」は、トラブルが起きた際にはプロに任せるのが良いという背景があることからアウトソースすることが多いと考えられますが、一方で運用代行やPC運用などは低いという実情があります。こうした運用代行がアウトソースされにくいのはなぜでしょうか? その理由の1つとして考えられるのは次のように上司や経営層に言われてしまいそうだからかもしれません。
もし、このように考えているなら、それは大きな誤解です。実は、情シスの運用業務をアウトソースすべき理由があるとしたらどうでしょうか。
情シスがアウトソースすべき理由…ケーススタディで考える
情シスが運用業務をアウトソースすべき理由とは、実は「企業の売上向上や企業価値を上げることにつながる」からなのです。
いまや多くの企業では、「経営戦略」と「IT戦略」は切り離せない関係となってきています。例えば「働き方改革の推進」など、多くの企業にとって重要な取り組みにはITの活用は欠かせません。こうした企業の価値を高める、ビジネス上重要な業務にこそ、情シスは時間を割いていくべきなのです。そのために、多くの時間を割かざるを得ない運用保守業務をアウトソースしたり、運用支援を利用したりする必要があるのです。では、このような考え方をもとに、アウトソースの活用で情シスの働き方を変革した実際の事例を紹介します。
A社の事例…Before:
A社では、全社を挙げて働き方改革の推進に取り組んでいます。例えば、テレワーク等を活用した場所を問わない働き方の実現、生産性向上につながるコミュニケーション刷新、人事や勤怠などもITを活用して大きく改革しようとしていました。しかし、この業務を行うのは多忙な情シスです。現在の情シスは運用や問い合わせ対応に追われ、新たな取組に着手することはできません。人手不足の現在、情シスの人員を大きく増やすことはできず、情シスはその働き方の変革が求められることになりました。
After: 情シスS氏は情シスの業務を変えるに当たり、現状業務のアウトソースとクラウド化を検討。アウトソース化については、優先すべき業務の重要さを考えると、社内でも理解が得られやすい状況でした。そのとき、情シスS氏は図のような改善サイクルを整理し、継続的に取り組むことができる体制作りを進めました。
S氏はその後、取り組むべき業務(コア業務)と、アウトソースすべき業務(ノンコア業務)を棚卸しし、専念すべき業務を整理していきました。また同時に、クラウド化も進めることで、多くのシステムを「所有から利用」に変革し、アウトソースしやすい状態にしたのです。
まとめ
今回ご紹介したように、情シスは運用保守・問い合わせを中心とした守りの業務(ノンコア業務)から、攻めの業務(コア業務)への転換を図るべき時代が到来しています。もしアウトソースに対して誤解しているならば、その重要性を指摘し、情シスも働き方改革を進めるべきでしょう。 また、情シスのノンコア業務をアウトソースしたり、運用支援・運用代行を利用したりするならば、情シスの立場に立つことができ、信頼できる「ITOサービスプロバイダー(ITO = ITアウトソーシング)」を選ぶことがおすすめです。