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【イベントレポート】DX事例Days 2023 ONLINE…事例でわかる! DXのはじめの一歩!!

情報システム部門
イベントレポート

2023年1月11日〜1月22日にかけて「DX事例 Days 2023 ONLINE 事例でわかる! DXのはじめの一歩!!」が開催されました。本イベントでは、DX推進に向けたIT戦略・IT運用のヒント、情シスに役立つサービスやソリューション情報が紹介されました。この記事では、25のセッションより注目したい3セッションをピックアップしてご紹介します。

この記事の内容
1. 基礎から始めるDX ~ kintone で紙文化を脱却しよう ~
2. 現場のアイデアを形に! 一般ユーザーが自分たちで開発したアプリ事例
3. 紙での検品管理から卒業しましょう! ノーコードで簡単にデジタル化出来ちゃいます!
まとめ

1. 基礎から始めるDX ~ kintone で紙文化を脱却しよう ~

1. 基礎から始めるDX ~ kintone で紙文化を脱却しよう ~
基礎から始めるDX ~ kintone で紙文化を脱却しよう ~
佐野 圭弥 氏 サイボウズ株式会社 営業本部

まずはサイボウズ株式会社の佐野氏による、紙文化からの脱却をテーマにしたセッションを取り上げます。佐野氏は経済産業省の『DXレポート2』より「DXの3構造」を引用し、DXは一足飛びに実現するものではないので、DXを実現するにはまず、アナログ・物理データのデジタルデータ化からのスタートを促しました。

  • 検索性の問題:紙で業務を遂行していると該当する紙がどこに行ったのかわからなくなってしまう
  • 保管管理の問題:ワークフローを回した後の紙を一定期間保存しておかなければならない、保管場所を取られる、数年間の保管を要求される帳票もある
  • データ活用の問題:紙で日報が提出されても集計できない(集計のためにアプリケーションに転記が必要)
  • 回覧上の問題:物理的に回覧、申請承認していく際に不在の人がいると時間がかかったり、ちゃんと回っていたりするかわからない

こうした問題点を受けて佐野氏は「こういった様々な課題があるということは、デジタル化した際の改善効果が非常に大きい」と語りました。

  • 1. 基礎から始めるDX ~ kintone で紙文化を脱却しよう ~
  • 1. 基礎から始めるDX ~ kintone で紙文化を脱却しよう ~

事例:製造進捗管理をペーパーレス化、納期の見積精度向上で収益増加に貢献

次に佐野氏は、はんてんや浴衣などのオーダーメイド品の製造進捗管理をペーパーレスで行うことになった株式会社京屋染物店の事例を紹介しました。

「オーダーメイド品は、営業・デザイン・染色・縫製などのステップがあり、案件ごとに異なるフローで顧客に納品していました。従来、営業が受注した案件の情報共有を『紙帳票』で行う、『ホワイトボードに付箋を貼る』といった方法で見える化してタスク共有をしていました。しかし、付箋では文字が読みにくい、はがれる、移動し忘れる、貼り忘れる…などの問題が起きていました。」

事例:製造進捗管理をペーパーレス化、納期の見積精度向上で収益増加に貢献

こうした「紙」というアナログでの管理からデジタル化に取り組み、各部署の製造進捗管理をステータスごとに可視化することに成功しました。進捗状況が見える化することにより、納期の正確な見積り、納期管理も細かく行えるようになったとのことです。その結果がビジネス上にも現れていると、佐野氏は次のように語ります。

「デジタル化によるメリットとして、例えば、急ぎの納期のものがあるかどうか一覧画面で確認できるようになったことが挙げられます。これまで付せんで管理していたので、パッと見て急ぎの案件がどれなのかわかりませんでしたが、一覧画面で見えるようになりました。次に、グラフ集計表示することで、現在、各セクションで余裕がどれぐらいあるのかといったことがわかるようになりました。結果的に納期の見積り精度が向上して、より多くの注文を受けられるようになり、デジタル化の後、過去最高益を更新したというような効果が現れたそうです。」

事例:製造進捗管理をペーパーレス化、納期の見積精度向上で収益増加に貢献※画面はサイボウズ社kintoneの活用イメージ。kintoneについて詳しくは こちら

事例:毎月1万件以上の契約をペーパーレス化、月間約1万5,000時間の削減に成功

次に佐野氏は、求人媒体のバイトルを運営しているディップ株式会社のペーパーレス化事例を紹介しました。

「求人広告の申し込み書をメールやFAXなど紙で受け取っていた業務を、ペーパーレス化したという事例です。従来、月間1万件を超える契約書のやり取りが発生していましたが、ほぼすべてペーパーレス化することによって、月間約1万5,000時間の削減につながりました。」

事例:製造進捗管理をペーパーレス化、納期の見積精度向上で収益増加に貢献

佐野氏は、契約書を電子化するために、次のように行ったと説明しました。

「電子契約サービスとkintoneを連携することで、kintone上から申込書の送付が行えるようになりました。契約締結後のデータはkintoneに蓄積されるので、営業だけではなくて法務部門、管理部門の方々も契約状況のチェックが行なえます。このように、営業の送付時間やクライアントの手続き時刻など、様々な情報が可視化できるようになりました。」

そして、その効果を次のように語ります。

「これまで、申し込み書の返送がない場合には営業担当者が電話や訪問をして、催促してきました。この申込書の回収業務は営業担当者の大きな負担になっていました。この業務を、スマートフォンでも行えるように電子化することによって、媒体側・広告主の双方にとって業務改善につながる効果が生まれたとのことです。」

事例:製造進捗管理をペーパーレス化、納期の見積精度向上で収益増加に貢献

2. 現場のアイデアを形に! 一般ユーザーが自分たちで開発したアプリ事例

2. 現場のアイデアを形に! 一般ユーザーが自分たちで開発したアプリ事例
現場のアイデアを形に! 一般ユーザーが自分たちで開発したアプリ事例
出口 雅樹 氏プロアクシアコンサルティング株式会社 OS4 リーダー

次に、プロアクシアコンサルティング株式会社の出口氏によるDX事例です。出口氏は、現場の課題を解決する2つのアプリ開発事例について紹介しました。(1)IT関連申請アプリと、(2)営業報告アプリについてそれぞれ概要をレポートします。

事例:IT関連申請アプリ…アカウント発行などのIT部門への諸申請をアプリ化

1つ目の事例として、IT部門へのアカウント発行等を行うためのアプリ開発の事例を紹介しました。その背景を整理すると、紙ベースの申請をPDFファイルをメールに添付する申請へと変更したものの、紙とメールの混在、紙帳票をPDF化しなければならない、進捗状況が見えずにその問い合わせ対応に時間がかかるなど、様々な課題が発生。また、1つひとつは小さな案件だったために予算がつきにくいという事情もありました。このような状況から、アプリ開発が始まったと出口氏は語ります。

「PowerApps ならば、自分たちの部署でもワークフローを開発できるのではないかと、業務効率化プロジェクトの一環として取り組みをスタートしました。しかし、ワークフローは様々な考慮点が発生するため、開発は暗礁に乗り上げてしまったとのことです。」

事例:IT関連申請アプリ…アカウント発行などのIT部門への諸申請をアプリ化

「自分たちだけでの解決は難しいと、開発者は情報システム部門に相談しました。そして、ワークフローは Power Apps と Power Automate を組み合わせて、一度にすべてを実装せずに1つずつ作っていくべきというアドバイスをもとに、アプリ開発を再開しました。」

事例:IT関連申請アプリ…アカウント発行などのIT部門への諸申請をアプリ化

「その結果、苦戦したワークフローが簡単に実装できました。その期間は、専属案件ではないため3ヶ月ほどかかりましたが、無事に実装を終えIT部門への申請アプリとして活躍しています。」

最後に出口氏は、このIT関連申請アプリ開発について次のようにまとめました。

「この事例をふりかえって言えることですが、思い立ったが吉日でまずはチャレンジしてみてください。そして、困ったことに、PowerApps のみでワークフローの実装は大変です。ですが、Power Automate を組み合わせればワークフロー作成は実現可能です。また、この事例のように、複数の機能を同時に実装しようとするとパニックになることもあります。1つひとつの機能を順番に、丁寧に作り上げていきましょう。」

事例:IT関連申請アプリ…アカウント発行などのIT部門への諸申請をアプリ化

事例:営業報告アプリ…モバイルデバイスからの業務報告アプリで情報共有促進

2つ目の事例として、営業報告アプリを紹介しました。外出先からモバイルデバイスで営業報告を行い、情報共有のスピードを上げることがその目的です。しかし、モバイルアプリの導入はセキュリティの問題や導入・維持コストなどが問題となり、敷居の高いものであったと出口氏は語ります。

「そのような時に耳にしたのが、Power Apps でした。Power Apps なら、画面も作れてスマホでも動くので、情報共有を時間や場所を問わずに行えるのではないか?と、熱い思いとともに、業務時間をやりくりして開発を始めました。

しかし、周囲からのアイデアや要望が集まり、あれもやりたいこれもやりたいとどんどんアイデアが増えていき、なかなか終わりが見えません。困った開発者は情シス部門に相談しました。」

事例:IT関連申請アプリ…アカウント発行などのIT部門への諸申請をアプリ化

「情シスからは『現場の方からの意見はありがたいですが、ゴールを動かすのはやめましょう。まずは最初の目標を目指して作り切りましょう』というアドバイスがありました。このアドバイスに従って、まずは最初に立ち戻って機能を絞り、スモールスタートで開発を進めたので無事にアプリを完成させることができました。」

事例:営業報告アプリ…モバイルデバイスからの業務報告アプリで情報共有促進

出口氏は、無事に営業報告アプリが完成し、今後も引き続き機能を追加していくことが期待できるとした上で、最後に次のようにまとめました。

「現場の方の熱い思いとアイデアはとても大事です。熱が冷めないようにサポートしてあげることが、DXや市民開発の成功への道ではないでしょうか。
また、要望がたくさん出てきて止まらない場合もありますが、ゴールは動かさないようにしましょう。まずは最小限の機能でスタートすることが大事です。アプリ開発は作ったら終わりではありません。現場のアイデアを吸い上げてさらなる進化を目指していってください。」

事例:営業報告アプリ…モバイルデバイスからの業務報告アプリで情報共有促進

3. 紙での検品管理から卒業しましょう! ノーコードで簡単にデジタル化出来ちゃいます!

3. 紙での検品管理から卒業しましょう! ノーコードで簡単にデジタル化出来ちゃいます!
紙での検品管理から卒業しましょう!ノーコードで簡単にデジタル化出来ちゃいます!
古里 真莉奈 株式会社ソフトクリエイト デジタルサービス事業部

最後に紹介するのは、ソフトクリエイトの古里による、紙での検品管理をデジタル化したある輸送会社の事例紹介です。その輸送会社と取引先である梱包会社A社との作業の流れの概要を紹介すると、A社が検品表を作成し、A社側での状態を確認した結果を記入した表を輸送会社が受け取り、輸送会社がその表に物品が届いた時の状態を記載するというものでした。その時もし、破損が確認されればその部分の写真を撮り、その写真を添付した報告メールを作成してA社に送付する、といったものでした。この輸送会社が改善したかった内容について、古里は次のように語ります。

「どのような業務を改善するかというと、手書きで行われていた検品作業です。それは、『手書きで検品の合否をチェックし、そのデータをエクセルに入力するという二重管理』であったり、『検品で不合格だった場合、報告書を作成するまでに様々なツールを経由して作業する必要』があったり、『会社間での情報の受け渡しなどが必要となり、そのためのメール作成などの作業が発生してしまい、時間がかかってしまう』といったことです。

つまり、このたくさんの工程はほとんどが違うシステム、ツールで行う必要があり、1つひとつ作業をするためには、それぞれのアプリやシステムを開かなければならないため、手間がかかっていました。」

紙での検品管理から卒業しましょう! ノーコードで簡単にデジタル化出来ちゃいます!

このような、複数のシステムやアプリが混在している環境を、すべて1つのプラットフォームにできれば作業時間の短縮が見込めます。そのために、現在の検品管理作業環境のデジタル化に着手することになったと古里は語ります。

「このプロジェクトのゴールは、輸送会社とA社間で同じアプリケーションを展開することで、データが全てクラウド上に上がり、資料の送付などの手間がなくなるということです。これまでの作業をデジタル化するとどうなるかというと、検品結果の記入、その結果の確認、写真の添付、報告などが、すべて1つのプラットフォームで可能となるため、作業時間の大幅な短縮が見込めます。」

紙での検品管理から卒業しましょう! ノーコードで簡単にデジタル化出来ちゃいます!

このようなゴールを設定しても、すべての工程を一度にデジタル化するのは現実的ではなく、段階的に紙の作業をなくしていきたいという要望もあることでしょう。そこで、この輸送会社ではまず、自社のデジタル化を進めたと古里はその方法について説明しました。

「今回は紙で行っている部分のデジタル化を進めました。まずは第一段階として、デジタル化しましょうということで、自社の『物品確認表でのチェック作業』をデジタル化しました。検品結果の合否はワンタップで行うことができ、添付画像はiPadで撮影した写真などを選択することも可能なので破損があった場合の画像も簡単に同じ画面に表示することが可能となります(下図参照)。」

紙での検品管理から卒業しましょう! ノーコードで簡単にデジタル化出来ちゃいます!※画面はサイボウズ社kintoneの活用イメージ。kintoneについて詳しくは こちら

こうして、輸送会社は紙のデジタル化を進め、A社では同じアプリを用いて確認できる環境が少しずつ整ってきました。現状と今後について、古里は次のようにまとめました。

「今回の事例の場合は、企業間で同じアプリを使用し、お互いにデータを記入することによってクラウド上にデータが集まり、誰でも簡単に確認できるようになるというものです。そうすることで、今まで会社間で行われていた物品確認表の送付であったり、報告書の送付のようなやり取りも減少するため時間の短縮が見込めます。今回はスモールスタートということで、一部の業務をデジタル化しましたが、今後デジタル化の範囲を広げていく予定です。」

紙での検品管理から卒業しましょう! ノーコードで簡単にデジタル化出来ちゃいます!

まとめ

今回は「DX事例Days 2023」から、3セッション5事例をご紹介しました。ほかにも DX推進に役立つ情報については、随時セミナーでもお届けしていますので、下記のセミナー情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。

なお、本イベントについて、数多くの感想が寄せられましたが、いただいた感想やご要望などは、今後のイベント・セミナーにも反映し、さらに内容を充実させていきたいと思います。

>>今後の セミナー開催情報

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