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無理なくステップアップ!「ハイブリッドワーク時代のファイルサーバー」の構築方法【後編】

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ファイルサーバー
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ハイブリッドワークといった柔軟な働き方が広がる中で、ファイルサーバーも時代に適合したものへとアップデートしていく必要があります。前編では、組織におけるファイルサーバーの典型的な課題をまず3つ紹介しました。後編となる今回も、引き続きファイルサーバーの課題と解決策を紹介しながら、最終的な理想像である「Level.8のファイルサーバー」である「ハイブリッドサーバー」へステップアップするための「道標」を解説します。

この記事の内容
課題4.ファイルサーバーのストレージ容量を、リプレイスタイミングでしか増やせない
課題5.ファイル変更履歴を細かく取得できない
課題6.Office ファイルの同時編集はできない
6つの課題を乗り越え「ハイブリッドファイルサーバー」の第一歩へ
最終ゴールに欠かせない「バックアップ」

課題4.ファイルサーバーのストレージ容量を、リプレイスタイミングでしか増やせない

ファイルサーバーでは、ストレージ容量を柔軟に増やせないことも悩みのタネの1つです。サーバースペックと同様に、数年先を予測してあらかじめ容量を決めることは困難でしょう。コロナ禍でそうだったように、ファイルサーバーの使い方が変わるかもしれません。例えば、最近では動画や画像データの保存が増えていますが、これを過去のリプレイス時に予測することは難しかったはずです。とはいえ、あらかじめ潤沢な容量のストレージを用意しておくことは費用面で現実的ではありません。

ここで有効な具体的な対策としては、Azure Blob Storage を利用して、ストレージが足りなくなったら都度追加するという運用です。クラウドを全社規模で利用すると部署ごとの費用負担がわかりづらくなるという側面もありますが、Azure の場合、「ストレージアカウント」を作成して分割できるため、使用する部署ごとに利用状況を把握することも可能です。

ストレージ

課題5.ファイル変更履歴を細かく取得できない

ファイルサーバーにおける課題の1つに、ファイル変更履歴を細かく取得できないことが挙げられます。その際、スナップショットの間隔をどう設定すればよいかという観点になりがちですが、その前にそもそもファイル変更履歴を取得する意味を改めて考える必要があります。

変更履歴を取得することが目的ではなく、本当に重要であるのは、作ったファイルがなくならないこと、変更したファイルがなくならないことであるはずです。かつ、ユーザーが復旧したいタイミングで必要なファイルが保存されていることです。

しかし、ファイルの履歴をスナップショットで取得している場合、1時間前のデータがほしいとユーザーに言われても、「スナップショットを取る前だから復旧できない」と断らなければならないこともあるでしょう。これは情シスとユーザーどちらにとっても望ましいことではありません。

そのためファイル変更履歴を保持する対策としては、Microsoft 365 の SharePoint Online あるいは Microsoft Teams を使うことが有効です。同基盤上にある Office ファイルは、変更のたびに履歴が保存されるため、必要に応じて過去のバージョンをすぐに復旧できるようになります。

ファイル変更履歴

課題6.Office ファイルの同時編集はできない

最後に挙げたいのは、ファイルサーバーに保存されているファイルを複数人で扱うときに生じる課題です。一般的なファイルサーバーでは、1つのファイルを「皆で編集して完成させる」という方法には向いていません。しかし、現実的にはどの仕事も1人で理想的な資料を作れるケースばかりではないでしょう。実際には、チームプレーとして、複数人がアイデアを出し合ってよりよいものを作っていくことになります。

この際に、ファイルサーバーが同時編集できるようになっていなければ、共同作業をスムーズに行えません。しかも、バージョンごとにファイル名を変えるなどしていった結果、最新版がわからなくなってしまうこともあります。

そこで、資料を複数人で編集でき、チームプレーでアウトプットを作れる環境として、Microsoft 365 を活用することがおすすめです。SharePoint Online に保存された Office ファイルならば、同時に開いて同時に編集することが可能です。

資料を複数人で編集

6つの課題を乗り越え「ハイブリッドファイルサーバー」の第一歩へ

ここまで、ファイルサーバーにおける6つのありがちな課題を整理しました。従来のファイルサーバーだけでは満たせないニーズも、Azure や Microsoft 365 を組み合わせることで、十分に満たせるようになります。なお、これら6つへの対処は順番に行う必要はなく、どれか1つをクリアするだけでも目指すべき理想像に向けて確実にレベルが上がっていくでしょう。すべて乗り越えることができれば「Level.7」のファイルサーバーを構築できた状態となります。

もちろん、クラウドサービス上に置くべきではないデータもあるでしょう。従来のファイルサーバーとクラウドサービスを用途によってうまく使い分けることが大切であり、この折衷的な使い方に対応できる仕組みこそが「ハイブリッドファイルサーバー」の価値であるといえます。

ハイブリッドファイルサーバー

最終ゴールに欠かせない「バックアップ」

しかし、ファイルサーバーをさらに理想的な状態へ近づけるためにもう1つ検討すべき事項があります。それが、クラウドサービス利用時に見落としがちな「バックアップ」です。

クラウドサービスは事業者側がデータを完璧に保存してくれているから消失は起きないと思っている方もいるかも知れませんが、これは誤りです。マイクロソフトに限らずほぼ全てのクラウドサービスで、データ保全の責任は顧客側にあると明記しています。

例えば、「ランサムウェアにかかってしまい、データが暗号化されてしまった」「データを間違えて削除してしまった」といったケースは、当然ながら顧客側の責任であり、もしバックアップがなければ自社のビジネスにも大きな影響を与えかねません。こうしたリスクに備えた仕組みを備えることで、下図に示す「Level.8」のファイルサーバーを実現できます。

バックアップ

下図は、Level.8の具体的な構成例です。Microsoft 365 の SharePoint Online に貯まったデータは、AvePoint Cloud Backup というクラウドバックアップサービスを使って、お客さまが契約している Azure 環境にバックアップします。また、Azure 上にオンプレミスの Active Directory やファイルサーバーを移行した場合にも、Azure 環境の中でバックアップを取得することができます。

構成例

この構成では、Azure Client VPN を経由すると、お客さまが契約している Azure CSP(Cloud Solution Provider)の中で通信が完結するため、費用の発生を抑えることができます。

また、Azure のゲートウェイサービスを使って拠点間接続することで、お客さまの拠点にある基幹システムがいつでも使える状態になっています。このとき、ファイルサーバーのスペックと同じように、Azure ゲートウェイ仮想ルーターのスペックも自由に変更できます。

以上のように、ここまでステップを追いながらファイルサーバーの理想的な姿として「ハイブリッドファイルサーバー」の考え方を紹介してきました。

新しい働き方では、同時に編集したり履歴を残したりと、オンプレミスのファイルサーバーだけではできない機能が求められるようになりました。一方で、大きなデータや SharePoint Online に保存できないデータなどもあり、従来のファイルサーバーを残さざるを得ないこともあります。

利用シーンに合わせて使い分ける環境こそが重要であり、そのための基盤として、ぜひハイブリッドファイルサーバーの構築を目指していただければと思います。もしここまで紹介した構成に関して、自社で構築するのが難しい、何を相談してよいかわからないとお感じになったら、ぜひ当社までご相談ください。

※本記事は、2022年11月7日〜11月20日に開催された「ハイブリッドワーク祭(フェス) 2022 〜 Microsoft 365 ではじめるDX〜」のブレイクアウトセッション「ファイルサーバーをLevel. Upしよう ~ ハイブリッドファイルサーバー攻略本 ~」の講演内容を再編集したものです。

前の記事 >>無理なくステップアップ!「ハイブリッドワーク時代のファイルサーバー」の構築方法【前編】

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