
ChatGPTをはじめとした生成AIが注目を集め、ビジネスへの活用が期待されている昨今。情シスにとって、これから注力していきたい業務とはどのようなものになるのでしょうか。2023年12月〜2024年1月にかけてソフトクリエイトが実施したアンケート結果 ※から、その上位となった業務を中心にご紹介します。
※情報システムの現状とIT システム活用実態アンケート2024 (情シス実態アンケート)
情シスが今後、注力したい業務のTOP3は?
2023年度版で6年目となった情シス実態アンケート。その中でも例年行っている「情シスが注力すべきと考えている(注力している最中)活動」は、情シスのその年の動向を知るための重要な設問の1つです。
2023年度の結果のうち上位3位までを見てみましょう。1位は「コア業務への転換・専念(39.3%)、2位は「AI の活用(37.1%)」、3位は「IT人材不足対策(34.2%)」という結果になりました。
なお、4位は「エンドポイントセキュリティ強化(32.5%)」、5位は「クラウド接続時のセキュリティ対策(32.3%)」と続きます。
「コア業務への転換、専念」は調査開始以来、2020年度を除き1位となっている項目です(2020年度の1位は「テレワーク対策」で46.6%)。企業のビジネスにITの活用が欠かせない中、情シスにはIT戦略策定支援やITシステム・インフラ策定計画、セキュリティ戦略、DX推進などへの関与が求められるようになりました。しかし、実際にはノンコア業務に追われることも多いという課題が慢性化していることが理由として挙げられるのではないでしょうか。
AI活用への期待が高まっているが懸念点もある
次に、2位となった「AIの活用」について、ほかの結果も合わせて見てみましょう。「AIの活用」は今年度に急激に注目を集めた結果、37.1%と大きく伸びました。実際、ChatGPTなどに触れたことがある情シスは多いと考えられ、少なからず手応えを感じ業務への活用に期待しているのではないでしょうか。
情シスに自社での生成AI/ChatGPTの活用状況を聞いたところ、「既に活用している」は13.6%、「活用に向けたプロジェクトが進んでいる」は10.8%で、少数ではありますが、具体的に活用しようという動きが既に見られました。この数値が今後、どのように変化していくのかは、引き続き注目していきたいと思います。
しかし、生成AIに対し情シスは両手を上げて歓迎しているわけではなく、やはり懸念点はいくつかあるようです。
生成AI/ChatGPT を業務で利用する上で、情シスとして懸念する点を聞いたところ、最多が「社員の情報リテラシーが十分ではなく事故が怖い(52.9%)」、「セキュリティや情報漏えいが心配(52.0%)」、「企業・組織でどのように利用するのかイメージが湧いていない(37.8%)」という結果となりました。
特に、社員利用についての懸念が多く、機械学習により自社の機密情報に関する情報が含まれていて、それが流出するなどの不安も指摘されています。またほかにも、真偽が定かではない生成AIの情報をビジネス利用してしまうことへの懸念なども考えられます。また、著作権や知的財産権への侵害につながるリスクなども考えられるでしょう。こうした生成AIへの懸念点や様々な課題がありますが、その対策については、今後、徐々に語られていくのではないでしょうか。
人材不足を「感じている」は75%、対策は「採用活動」が上昇傾向
3位の「IT人材不足対策」ですが、これも継続的に情シスが「注力すべき」と挙げている活動です。「情シス人材に不足を感じるか」という問いかけに対しては、「感じている」との回答が2021年度以降、約75%で推移しています。また、その中での実情を見てみると、今回は「採用活動を実施/検討中」が31.4%で最多となりました。しかし、「採用活動を行っているがうまくいっていない」も21.5%と高く、その分を外部サービス利用や社内育成などで補っていると考えられます。
情シス人材を見た時に、「情シス不足」を感じると答えた情シスは昨年同様、約75%という結果になりました。情シス不足を感じる中で、どのような対策を取っているのかという質問には、最多が「外部サービス利用を代替案として検討」で29.0%、「採用活動を実施/検討中」と「特に何もしていない」が27.6%、「社内で育成している」が25.6%となりました。増加傾向が見られる「採用活動を実施/検討中」ですが、同時に「採用活動を行っているがうまくいっていない」も20.3%と増加傾向が見られました。採用に積極的に取り組みつつ、うまく進まない現状があるようです。
まとめ
今回のアンケート調査から、これからの情シスの注力業務に関する結果の一部を紹介しましたが、AIの活用が大きな注目を集めていることが特徴的でした。もちろん、コア業務への転換、人材不足対策、セキュリティ対策なども重要な取り組みであることに変わりはありません。また今後、生成AIの活用がこれらの情シス業務に好影響を与えていくことも考えられます。
本コラムでは調査結果の一部を取り上げましたが、ぜひ、下記の資料をダウンロードして他の結果も御覧いただき、今後の取り組みの参考にしてみてはいかがでしょうか。
- <<本文中の他年度の「情報システムの現状とIT活用実態アンケート」について>>
- ・2022年度アンケートは、2022年12月〜2023年1月に実施 n=598
- ・2021年度アンケートは、2021 年12 月〜2022 年1 月に実施 n=554
- ・2020年度アンケートは、2020年12月〜2021年1月に実施 n=522
- ・2019年度アンケートは、2020年1月に実施 n=867
- ・2018年度アンケートは、2018年9〜10月に実施 n=550
