クラウド利用企業は年々増えていると言われています。中にはフルクラウド化に取り組む企業も現れていますが、情シスから見た実態はどのようなものでしょうか。今回は、クラウド利用状況、オンプレミスシステムのクラウド移行に関する方針などについて、ソフトクリエイトが2020年1月に調査した内容※をもとに解説します。
※情報システムの現状とIT システム活用実態アンケート
クラウドの導入は7割以上の企業で半分以下、足踏みが続く
ソフトクリエイトが主に情シスに対して行った調査(2020年1月実施)では、「クラウド化は約2割より少ない」企業が48.7%ということがわかりました。つまり、約半数の企業は、オンプレミス中心のシステムを保持しているということになります。
ここに「約3〜4割程度クラウド化」の24.1%を合わせると、約7割の企業ではクラウド化が半分以下しか進んでいないことになります。クラウドはまだ、部分的な利用にとどまっているという実情がわかりました。
クラウド移行には前向き、クラウド・バイ・デフォルトの影響が大きい?
一方、今後のシステム導入や移行時におけるクラウド活用について、企業はどのように考えているか、その方針についても聞いています。2018年9〜10月にも同じ質問をしていますので、その結果と合わせて推移を見てみましょう。
まず、「クラウド移行を優先・前提」とする企業は、2018年の18.9%に対し、2020年では45.0%。2018年から倍以上伸びています。一方で、都度判断は2018年の65.6%から37.5%に減少しています。この1年と少しで、なぜ企業はクラウド移行に対して積極的になったのでしょうか。
この背景には、日本政府が打ち出した「クラウド・バイ・デフォルト原則」が関係していると考えられます。同原則では「政府情報システムを整備する際に、クラウドサービスの利用を第一候補とする※」と記載されています。この原則は官公庁などが主な対象ですが、企業にもその影響があったものと考えられます。また、大手金融機関でもクラウドサービスの導入が進んだことなどもプラスの材料となったことでしょう。このように、時代の変化が大きな追い風となり、クラウド移行を優先・前提とする機運を作り上げているのではないでしょうか。
※出典:2018.6.7『政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針』
まとめ
今回の調査で、約半数の企業がオンプレミス中心のシステムを保持していること、今後、クラウド化を優先にシステム導入・移行を考える企業が1年4ヶ月ほどの間に約2割から約5割に伸びたことがわかりました。経済産業省の DX レポート※では、硬直化したレガシーシステムがDXを妨げることが指摘されています。このような時代の流れの中、多くの企業がクラウド優先に舵を切ったことがわかる調査結果となりました。なお、ほかの調査結果については、下記の資料をダウンロードして御覧ください。
※参考:経済産業省 DX レポート ~IT システム「2025年の崖」克服と DX の本格的な展開~
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