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情シス向け情報分類学…(2)加工・編集された情報

情報システム部門

情シスの調査・提案・業務に役立つ情報は、大きく下記の3つに分類できます。

①公共性の高い情報、中立的・客観的な情報
②加工・編集された情報
③先進性の高い情報

本記事では、「②加工・編集された情報」を情シスが活用するために知っておきたいメリット・デメリットとポイントをご紹介します。日常的に触れる身近な情報源を正しく理解し、活用するためにもぜひお読みください。

目次
1. 「加工・編集された情報」について
2. IT系メディア
3. 企業のオウンドメディア
4. セミナーや展示会等のイベント
5. ベンダー・SIerの営業担当者等から得られる情報
6. その他
まとめ

「加工・編集された情報」について

朝の通勤時のスマートフォンでニュースを読み、出社後やお昼休みなどにメール経由のIT系メディアで最新情報をチェック、ベンダーからの連絡で最新ITの情報を得る……私達は、このような情報収集活動を何気なく行っています。これらの情報は、対象とする読者向けにまとめられていて読みやすい一方、情報の選別や取捨選択などが行われており、情報が加工されているともいえます。そのため、このような身近な情報を「加工・編集された情報」と総称して紹介します。この情報には主に下記のようなものが挙げられます。次項から、それぞれの情報のメリット・デメリット、ポイントを見ていきましょう。

「加工・編集された情報」の一例
●IT系メディア
●企業のオウンドメディア
●セミナーや展示会等のイベント
●ベンダー・SIerの営業や企業から得られる情報
●その他:IT技術や業界に関する専門書籍・雑誌、一般ニュース系サイト、テレビ、新聞、ラジオなど旧来マスメディア情報 …など

IT系メディア

毎朝通勤時、出社時、昼休み前、帰宅時間…IT系メディアのニュースや記事をメールで受け取っているという情シスは多いのはないでしょうか。IT系メディアは一般的に、読者の生活リズムに合わせてメール等で情報発信してサイトに誘導したり、Web検索者に対してサイトへと誘導して記事や広告を提供するという仕組みです。IT系メディアの多くは広告費で運用しているため、第三者的なITニュースや記事とともに、IT製品・サービスの広告バナーや記事型の広告が掲載されています。

●メリット
メディアごとに対象読者が別れていて、読者に合った内容が提供されるような編集方針で記事が作成されています。例えばIT系のメディアでも、情シス向けとエンジニア向けのメディアでは、同じ「働き方改革」をテーマにしていても、全く異なる切り口の内容が掲載されることになります。対象読者向けに編集された記事が配信されているので、自分のニーズに合う情報、必要な情報が手に入れやすいというのが大きなメリットです。

●デメリット
対象者向けに編集されている点は、情報収集しやすい反面、情報は絞られていることになるので、掲載されていない部分に必要な情報が掲載されている可能性もあります。「①公共性の高い情報、中立的・客観的な情報」で紹介された情報で、自説を裏付けるために恣意的な引用がされている可能性も考えなければなりません。 また、客観的な記事と広告記事の境界が曖昧な場合があります。客観的な記事だと思っていたら、特定の製品やサービスを進められる広告記事という可能性もありますので、それぞれの違いを認識して、必要な情報を偏りなく得られるようにしましょう。

●ポイント
精度の高い情報を手に入れるためには、発言者や発信元、引用元を確認することも重要です。また、「 ①公共性の高い情報、中立的・客観的な情報 」で紹介した情報や、統計情報などが引用されている場合には、必ず引用元も確認するようにすべきです。 広告情報が多い点はデメリットともなりますが、製品選定リストを作成する上では効果的に活用できますので、各メディアの特徴を知り、上手に活用するようにしましょう。

企業のオウンドメディア

ここでは、企業などが自社の責任のもとに所有・運営し、マーケティングやブランディングなどの目的で情報発信しているWebメディアを「オウンドメディア(Owned Media)」として解説します。もちろん、皆様にお読みいただいているこの「情シスレスキュー隊」Webサイトもオウンドメディアで、運営企業は株式会社ソフトクリエイトです。オウンドメディアは、「運営企業」が自社の得意分野、強みなどを活かしながら目的達成に向けて、情報発信をはじめとするWebを通じたコミュニケーションを行っているものです。

●メリット
プロフェッショナルである運営企業による独自ノウハウや情報を得られることができます。例えば、あるクラウド型のグループウェアを提供している企業のオウンドメディアでは、単に製品を活用することで得られるメリット以外にも、クラウドが働き方改革やテレワークにいかに貢献するか、テレワークや働き方改革のポイントなどが独自の視点で編集され公開されています。 また、外資系セキュリティベンダーのオウンドメディアでは、世界規模で広がる最新のサイバーセキュリティの脅威などの情報や対策が、その情報網を活かして公開されています。 こうした企業それぞれの強みを活かしたメッセージを無料で得られることが大きなメリットです。

●デメリット
オウンドメディアによっては掲載情報が自社製品寄りに偏っている場合もあるので注意が必要です。例えば、働き方改革、テレワーク、DX…というテーマの実現には、時には全社横断的な取り組みが必要となります。しかし、その全体像を示さずに製品選定のみを勧めてくるような記事があったとしたら注意しなければなりません。もちろん、製品選定を目的に記事を閲覧していればよいのですが、大きなテーマの部分を切り取って自社製品に都合よく編集されているケースがないかどうかをチェックするのは重要です。 また、情報を得るために自身のメールアドレスや氏名などを入力した結果、望まない内容の広告メールや電話がかかってくるという場合もあります。これは読者に適切な情報を届けていない運営企業側の問題ですが、読者側としては、こうした点も踏まえて情報の取捨選択を上手に行わなければならない時代と言えます。

●ポイント
偏った情報収集をしない方法の1つとして、オウンドメディアの「運営企業」を確認することが挙げられます。運営企業がなぜオウンドメディアを開設しているのかその目的を理解することで、掲載されている記事の目的も見えてくるのではないでしょうか。正しく情報収集法するには、その記事のみですべてを判断するのではなく、記載されていないことを自身で探して埋めていくことが求められます。オウンドメディアの記事によっては、情報や統計の出典元・引用元が記載されている場合もありますので、引用元の情報もきちんと確認する習慣をつけることもポイントです。定期的に送られてくるオウンドメディアのメールからも、上手に必要な情報を取り出すことができれば、情報収集力アップにつながるのではないでしょうか。

セミナーや展示会等のイベント

最近ではオンライン開催のセミナー(ウェビナー)やイベントが増えていますが、情シスにとってオンライン・オフラインともに重要な情報収集源なのではないでしょうか。

●メリット
オンラインセミナーが増えていますが、「急な対応で参加できない」、「遠隔地なので参加しにくい」という情シスも多くのセミナーやイベントに参加しやすくなっているのではないでしょうか。自分のデスクトップですぐに参加できるので時間の節約につながります。 また、そもそもセミナーでは著名な方の最新の考えや最新動向など、「そこでしか聞けない話」聞く機会として有意義といえます。ニュースやメディアの記事、書籍だけではわからないことも、体系的な説明を受けて、質疑応答などで登壇者と対話することで理解が深めることができるというメリットもあります。

●デメリット
セミナーの内容は行ってみなければわからないので、自分が求める内容ではない可能性もあります。しかし、オンラインセミナーで、さらに録画であれば、必要な部分のみを拾って聞くということで効率化できるかもしれません。 また、セミナーには有料・無料のものがありますが、企業主催で製品の売り込み色が強いケースもあります。社会背景や概要を知りたかったのに…と、期待と異なる結果になるかもしれません。これも、開催企業側が参加者のニーズなどを理解していないことに問題があるのですが、参加者としても、必要な情報を得るためにはそれを見極める目を持つことが重要です。

●ポイント
オンラインセミナーやイベントは気軽に参加できるので効果的に利用しましょう。また、セミナーやイベント等も上記の例と同様、参加者に合わせた内容となっていますので、セミナーやイベントの目的を理解し、偏った内容になっていないか、今回触れていない情報にはどのようなものがあるのか…といった視点を持つことが必要です。

ベンダー・SIerの営業担当者等から得られる情報

社長からITに関する依頼があった時、製品のリプレイス時期が迫っている時、最新製品・サービスが気になっている時…これまで付き合いがあるベンダーやSIerに相談する情シスも多いことでしょう。実際に導入した製品・サービスの後継やサポートなどで常に相談している相手でもあり、現場で多様な製品を知っているプロの意見は確かに貴重なものでしょう。

●メリット
常に自社製品に関する最新の情報や周辺情報などを入手し、社会背景と製品関連の情報を学んでいて、貴重な情報提供を受けられることでしょう。例えば経理システムであれば、法改正などでどのように自社システムを対応すべきかわからない場合など、営業担当者が法改正時のシステム対応のポイントについて相談に乗ってくれたり、関連セミナーを勧めてくれたりすることでしょう。

●デメリット
営業担当者は基本的には自社の製品やサービスを販売することが目的です。そのため、必ずしも自社の課題解決の最適解を紹介してもらえない可能性もあります。しかし昨今、「所有」から「利用」へ、「製品」から「サービス」へという動向の中、サブスクリプションモデルが浸透してきています。つまり、情シスが快適な環境で「利用」していくことが、販売側のメリットにもなっていますので、情シス視点に立つ企業が現れていることも捕捉しておきましょう。

●ポイント
「相談すると何か製品を購買させられるかもしれない」と情シスは不安に感じる場合も あるかもしれません。しかし、先に述べたとおり、情シス視点に立つ企業を見極める視点を持つことも大切です。自社に必要な情報を提供してくれる企業はどこか、最適な提案をしてくれる企業はどこか、上手に判断することで情報収集能力は向上することでしょう。

その他

上記に挙げた以外にも、情報源としては次のようなものが考えられます。それぞれの概略を見ていきましょう。

●IT技術や業界に関する専門書籍・雑誌
最新ではない情報をじっくり読み込む・手元に置いておきたいといった場合に便利に使えることが書籍や雑誌のメリットでしょう。持ち運びや管理の手間、共有しにくい点がデメリットとなります。電子書籍では共有・管理の手間は不要となりますが、電子書籍の配信元がサービス停止する場合もあるので、適切な配信元の電子書籍を選びましょう。

●一般ニュース系サイト、テレビ、新聞、ラジオなど旧来マスメディア情報
企業ITはニュースなどで報じられる情報と無縁でないことは、「テレワーク」や「Web会議」の普及の例を見ても明らかでしょう。例えば、Web会議ツールの導入企業が急激に増加したことは、旧来メディアの報道も無縁ではないでしょう。 社内でIT製品を導入する際にも、主に一般的な情報や温度感はどうか、どのように考えられているのか、ユーザーにはどのように受け止められるのかといったことを意識することで、提案の際にも役立てられるのではないでしょうか。

まとめ

今回は情シスが業務に役立てるための情報源として、
①公共性の高い情報、中立的・客観的な情報
②加工・編集された情報
③先進性の高い情報
から、「②加工・編集された情報」を活用するために知っておきたいメリット・デメリットを紹介しました。この情報を活用するポイントは、自分向けにどのように情報が加工・編集されているかを知ること、発信者の目的を知り、不足している情報を自ら調査し補うことです。情報に偏りがある可能性を考え、バランスのよい情報収集ができるようになることが重要です。

もちろん、ここに取り上げたのは一例ですので、自身で調査しながらよりよい調査リストを作るための一助としていただければ幸いです。

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