「テレワーク」を実施して直面する業務上の様々な悩みやトラブル。情シスはテレワーク実施環境下で、業務システム/業務アプリにどのような課題を感じたのでしょうか。
今回は、その上位について紹介します。
※情シス向け テレワークの実態アンケート(2020年5月)より
第1位 業務フロー上、捺印や紙文書の印刷が必須で出社が前提になっている(56.9%)
情シスに「テレワーク実施環境での、業務システム/業務アプリの課題」について聞きました。その第1位は「業務フロー上、捺印や紙文書の印刷が必須で出社が前提になっている(56.9%)」ことでした。
昨今、ニュース等でも「脱ハンコ」といワードが登場するなど、捺印文化の見直しを求める声が増えているようです。捺印や紙文書の印刷を減らすためにも、かねてより文書の電子化やペーパーレスに取り組んでいた企業も多いことでしょう。また、ペーパーレス化を推進し、デジタル上で手続きを進める環境は働き方改革などにも効果的と考えられています。
この問題は、一般的には、ワークフローの電子化やクラウド型ワークフローの活用により解決できる問題と考えられています。しかし、ワークフローの電子化には、業務フローの見直しや再整理、既存の他システムとの連携、場合によっては開発も必要になり、手がつけられていないケースもあります。難易度の高い問題ですが、この機会に業務フロー整理から支援してくれるベンダーや、開発などの手間が少ないワークフローツールを探してみてはいかがでしょうか。
第2位 社員への使い方サポート、ヘルプデスクが難しい(39.1%)
業務システム/業務アプリの課題、第2位は「社員への使い方サポート、ヘルプデスクが難しい(39.1%)」でした。在宅勤務が増えることでユーザーは、すぐ近くにいる同僚に質問したり、使い方を真似たりすることができなくなります。そのサポート先として情シスに問い合わせが集中してしまうことでしょう。
実際に情シスからは、「マニュアル作成、説明会を行っても個別に同じ内容の問い合わせが何度も発生する」という悩みを打ち明ける声もありました。逆に「『わざわざチャットや問い合わせツールで問い合わせなければならない』というハードルのためか、問い合わせが激減。自分で検索して解決方法を探す人が増えたので驚きがあった。」という声も。
サポート効率化の定番としては、FAQ サイトを用意することが挙げられます。使い慣れているのであればチャットボットを活用するという手段もあるでしょう。また、人員不足を解消するならば、ヘルプデスクのアウトソースなど外部に頼る手もあります。自社の課題に合わせて対策を考えてみてはいかがでしょうか。
第3位 利用者のテレワーク環境からだとシステムのパフォーマンスが遅く使えない(25.3%)
業務システム/業務アプリの課題、第3位は「利用者のテレワーク環境からだとシステムのパフォーマンスが遅く使えない(25.3%)」でした。パフォーマンスが遅くなる理由としては、PC など端末の問題、ネットワークの問題、VPN や VDI 利用における遅延の問題などが考えられます。
まずはいずれの問題かを明確にして対応することが必要でしょう。例えば、PC など端末の問題ならば、今後はテレワークを想定したスペックの PC を調達することが挙げられます。ネットワークの場合には、ユーザーの自宅に必ずしもインターネット回線があるわけではないこともあらかじめ想定しておくべきでしょう。必要に応じ、モバイル Wi-Fi ルーターや SIM 内蔵 PC を用意しておくことも一案です。
また VPN や VDI 環境の遅延については、急な利用者増により、当初とサイジングが異なるケースやライセンス不足の問題も指摘されています。テレワーク活用など新しい働き方を想定するならば、再度アセスメントを受ける、サイジングし直すことも検討してはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では、「脱ハンコ」問題など業務システム/業務アプリの課題上位について紹介しました。今回、テレワークを実践したことで、多くの情シスにとって新たな気づきがあったのではないでしょうか。このような気づきを共有し、よりよい環境を作るためにも、下記の調査結果資料を公開しています。また、テレワーク関連コラムや テレワークチャンネル でも随時、情シスに役立つ情報を提供していきます。