生成AIはビジネスに大きな変革をもたらそうとしています。しかし、その反面、導入への不安やリスクを感じる情シスがいることも無視できません。今回は、2024年6月にソフトクリエイトが実施したアンケート結果※より、情シスが生成AI導入に感じる懸念点や不安について紹介します。
※生成AI活用に向けた情報システム部門の意識調査(AI活用に向けた情シス意識調査)
生成AIで不安な「情報リテラシー不足」と「セキュリティ対策」
新しいテクノロジーには不安はつきものといえますが、生成AI利用に関しても情シスは様々な懸念点を抱いているようです。「情シスとして、生成AIを業務利用する上での懸念点」を調査したところ、次のような結果となりました。
2023年12月〜2024年1月と、今回の2024年6月の結果の推移を見てみましょう。前回調査で第1位だった「社員の情報リテラシーが十分ではなく事故が怖い」が、今回は52.9%から64.1%へと大きく伸びていることがわかります。生成AIの活用が広まり、その知識が普及したことで具体的なリスクがより明確に見えてきたと考えられます。例えば「生成AIの嘘(ハルシネーション)」などが問題点としてよく指摘されていますが、もし社員が生成AIの回答を鵜呑みにしてしまい、トラブルの原因になるというケースも起こり得るかもしれません。
次の「セキュリティや情報漏えいが心配」については52.0%から51.2%と大きな変化はありませんでしたが、セキュリティ対策には依然として高い関心があることが伺えます。例えば、社内の機微情報などを生成AIに入力することで、その情報を学習に用いられて他社にも使われてしまわないかという懸念点です。
また、そのほかの懸念点として大きく伸びていたのが、「生成物による知的財産権等に関するトラブルが心配」で14.4%から26.7%に上昇しています。生成AIを活用するほど、「その生成物は著作権などを侵害していないか?」「万が一、他社の著作物とそっくりなものを知らないうちに作ってしまっていたら?」といった不安を感じるようになっているのかもしれません。特に画像を生成する場合などは、その心配は大きいものでしょう。
生成AIのセキュリティ面での懸念点は「情報漏えい」
次に、情シスに「生成AIにおけるセキュリティ上での懸念点や課題」を聞いたところ、次のような結果となりました。
1位は「学習データからの情報漏えい(63.1%)」、2位は「社内からの情報漏えい(55.8%)」となり、意図せずに情報漏えいしてしまうことへの不安感が高いことが伺えます。3位は「コンプライアンス違反の可能性(45.6%)」、4位は「知的財産権等への侵害に関するリスク(43.5%)」であり、違法行為につながるリスクを不安視しているようです。
この調査の中でも大きな懸念点となっている「情報漏えい」に関しては、利用する生成AIツールによっては防ぐこともできます。まずは生成AIツールの中でも、クローズドな環境で利用できるセキュアなものを選ぶことも一案です。
まとめ
今回はアンケート調査から、情シスが感じている生成AIへの不安や懸念点を紹介しました。リテラシー不足やセキュリティ対策、情報漏えいなどへの不安が多いという結果となりましたが、生成AIを業務に役立てるためにも乗り越えていきたいポイントではないでしょうか。また、日々、生成AIも進化し続けていることから、こうした懸念点が少しずつ克服されていくことと考えられます。ぜひ、新たな情報に耳を傾けながら、生成AI活用の幅を広げていってはいかがでしょうか。
また、本コラムでは調査結果の一部を取り上げましたが、ぜひ、下記の資料をダウンロードして他の結果も御覧いただき、今後の生成AI活用に向けた取り組みの参考にしてみてはいかがでしょうか。