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知って備えるEOS/EOL(3):EOSやEOLに合わせて効果的なリプレースを行おう

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製品・サービスにはライフサイクルがあり、製造や販売終了期やサポート終了日(End of Support:EOS、End of Life:EOL)が存在します。今回は、サポート終了をきっかけに自社システムを改善するための考え方についてご紹介します。

この記事の内容
EOS、EOLをシステム強化につなげるために
効果的なリプレースをするための準備
まとめ

EOS、EOLをシステム強化につなげるために

導入している製品・サービスがサポート終了を迎えた時、サポートの延長ができない場合には、製品のリプレースを検討することになります。システムのリプレースには時間も費用もかかりますが、このタイミングはシステムを強化するチャンスとも言えます。ここでは、製品・サービスのリプレースによってメリットを得るための3つのヒントをまとめました。

1.クラウド化推進のきっかけに
EOS、EOLはオンプレミスのシステムをクラウド化する大きなチャンスと言えます。クラウド化を通じて得られるメリットは、管理者の運用負荷の軽減、セキュリティ対策負荷の軽減、システムリソースを柔軟に増減できることなどが挙げられます。
オンプレミス環境の運用では、管理者の時間や労力が必要となるだけではなく、ビジネス環境の変化などに合わせて柔軟に変更することが困難です。すでに官公庁や金融機関もクラウド化を進めていることから、多くの企業もクラウドファーストを検討し始めています。そして、クラウド化するタイミングはやはり、オンプレミス環境のEOS、EOLに合わせてというのが無駄がないと考えられます。予算化する場合にも、サポート期間が残っていると起案しにくい場合も多いでしょう。ただし、大規模なリプレースになるほど前もって準備しなければならないので、EOS、EOLを意識して計画を立てる必要があります。
2.新しい技術の活用で業務効率化、ビジネス拡大に貢献
サーバやネットワーク機器など製品・サービスのリプレースの時期は、そのシステムの導入から数年単位経過していることが一般的です。昨今のテクノロジーの進化は早く、数年経つことで数々の技術刷新がなされていることが想定されます。そのため、リプレースの際には社内の業務アプリケーションやネットワーク接続のレスポンス向上などが期待できます。つまり、同じ内容の業務を行うのであれば、新しいシステムを利用するだけで業務改善につながるというわけです。
また、新たな技術の活用によりビジネスの幅が広げられることも考えられます。例えば、サーバやネットワークを仮想化すれば、物理的なハードウェアを利用していた時よりもリソースの増減が自在に行えますので、仮想サーバをすばやく立ち上げてサービスを開始することもできます。軌道に乗った時に拡張しやすく、規模を抑えたい時には縮小も容易に行えるなど、弾力的に環境が利用できるようになります。このように、新たな技術を取り入れるチャンスでもあります。
3.複雑化したシステムをシンプルに
これまで複数拠点や部署間ごとにシステムやネットワークを構築していたり、企業の合併や統廃合を繰り返したりすることで、システムが複雑化しているケースがあります。サーバやネットワーク機器、ソフトウェア等が多様化して、複数の管理ツールを用いなければ管理しきれないような状態ですが、こうした環境も、EOS、EOLのタイミングで見直してみてはいかがでしょうか。管理やサポート体制をシンプルにすることで、管理者の運用負荷も軽減することでしょう。

効果的なリプレースをするための準備

次に、EOS、EOLをもとに効果的なリプレースを行うために考えるべきことを順を追って説明します。

1. 自社で導入している製品・サービスの状況を把握する
まず重要なことは、自社で導入している製品・サービスが一元管理されていること。企業のIT機器は導入過程で管理が曖昧になってしまっているケースもあります。気づいたらEOS、EOLは過ぎていた…ということがないように一覧化して管理します。この時、リアルタイムに情報が得られることが望ましいので、IT資産管理ツールなどを活用してリスト化できるとよいでしょう。
2. EOS、EOLを把握する必要のある製品・サービスを洗い出す
社内の製品・サービスをリスト化し、リアルタイムに(または定期的に)更新できる体制が整ったら、EOSやEOLを把握する製品・サービスを明確にします。サーバ、ネットワーク機器やその他アプライアンス機器、OSやソフトウェアなど、社内の多様な機器のEOSやEOLを明記します。その過程で、ライセンス更新時期、リース切れの時期などもチェックしておくとよいでしょう。
3. EOS、EOLから逆算してリプレースや移行の計画を立てる
EOS、EOLの時期が明確になったら、そこから逆算してリプレース検討の時期を設定します。例えば、サーバ移行を行う場合には計画から移行・運用まで1〜2年程度必要となることもあるでしょう。あらかじめ検討のタイミングを逆算しておくことで、検討に必要な時間を確保するようにします。また、同時期に複数製品がEOS、EOLを迎えることもありますし、他システムへの影響範囲も確認しなければなりません。不慮の事態も想定しながら計画を立て、スケジュールを組んでいくとよいでしょう。

まとめ

今回の記事では、EOSやEOLをシステム強化につなげるためのヒントや、EOS、EOLから逆算して効果的なリプレースや移行を行うための準備についてお伝えしました。中でもEOS、EOLを含めた自社導入製品のリスト化は重要なポイントです。下記では様々な製品のEOS、EOL情報を提供していますが、このような情報を活用し、自社システムの強化を進めてみてはいかがでしょうか。

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