どうも、株式会社ソフトクリエイト で情報屋やってます。山口です。
普段は企業様向けに Microsoft 365 活用のご支援をおこなっています。
「Excel」って聞くと、仕事でデータ整理したり、表を作ったり…なんていう"地味な業務ツール"をイメージする人、多いですよね (^^;
Excel 世界王者たちが見せつけた「生成AI&AIエージェント」が真似できない領域
そんな Excel ですが、実は!Excel には世界大会があるんです。
しかも、ラスベガスのeスポーツアリーナで開催されて、ESPN で中継されてて、賞金総額61,500ドル(約950万円)が用意される国際競技なんです!

■MEWC 2025の熱狂!〜世界最強の Excel 使いが集結〜
◆大会の基本情報をおさらい!

このイベントは「Excel Esports」とも称され、金融モデリングの世界大会である「Financial Modeling World Cup(FMWC)」の一部として運営されていて、今年は、2025年12月上旬に「Microsoft Excel World Championship 2025(MEWC 2025)」の決勝戦が開催されました(^^
2025年大会の決勝は、2025年12月1日~3日にかけて、アメリカ・ラスベガスの HyperX Arena で開催されました。
この会場は、最先端の機材と観客席を備えたeスポーツイベント専用のアリーナになっています。
| 大会名 | Microsoft Excel World Championship 2025(MEWC 2025) |
|---|---|
| 開催地 | ラスベガス・HyperX Arena |
| 主催 | Financial Modeling World Cup(FMWC) |
| 優勝者 | Diarmuid Early(アイルランド) |
| 優勝賞金 | 5,000ドル |
| 賞金総額 | 61,500ドル |
| 中継 | ESPN、公式YouTube |

予選は2025年1月23日から9月18日まで、月次のオンラインバトル「Road to Las Vegas」が計9回開催。
その後、9月27日には地域予選、10月11日~18日にはオンラインプレーオフが行われ、本戦出場者が選出。
つまり、約150名のオンライン予選から始まって、24名がラスベガスに進出し、そこからさらにふるいにかけられる…
という、まさに「Excel 界のワールドカップ」と呼ぶにふさわしい規模の大会となっています (^^!!
◆決勝戦はサバイバルルール
決勝の形式は、グランドファイナルのルールで、「12名でスタート」「5分ごとに最下位が脱落するサバイバル方式」
「最終ケースは40分(通常ラウンドは30分)」「最速かつ最多得点を競う」世界トップ12の Excel 使いが並んで、5分ごとに誰かが脱落していく…
そんなプレッシャーあふれるルールになっています。
◆最終課題のテーマは「折り紙」!?

MEWC の課題は、単なる数値計算に留まらず、クリエイティブな問題解決能力を要求するもので、今回のGrand Finalテーマは、なんと日本の伝統文化「折り紙」に(^^!?
- 7レベル・計130問+ボーナス5問(先着6名のみポイント加算)
- 制限時間:40分
- レベルが上がるごとに「複数折り(最大3回)」「斜め折り」など難易度が上昇
- 折り操作をセル上の座標変換として抽象化できるかが鍵
要するに、Excel の関数だけで「仮想の紙を折る」シミュレーションを構築しなきゃいけないわけです。
空間認識、論理的思考、視覚的な Excel 操作スキル…全部求められるような感じに・・・
2025年 Microsoft Excel World Championship の優勝者は、アイルランドの競技者である Diarmuid Early さんで、彼は決勝の全130問の課題を、5分以上を残して最初にクリアし、栄冠に輝きました。
制限時間40分の中で、5分以上残して130問完答…「人間離れ」という言葉がぴったりですね(^^;
そして今回なんと!日本から 山田 大介 さんが本戦トーナメントで世界ベスト16入りし、ラスベガスのファイナルラウンドへ史上初の日本人進出を果たしました!
■生成AIやAIエージェントが「真似できない」領域とは?何だろう?

「ChatGPT とか Copilot とか、AIがすごいって言われてるけど、Excel 世界王者の代わりにはなれないの?」
結論から言うと、現時点ではなれないかなと(^^;
生成AIは既知のパターンから探索するのが得意です。学習データに含まれる「よくある問題」には強いですが、MEWC 2025 の「折り紙」のような未知のケースや生成AIならではの苦手なことが存在します。
- 学習データ依存で、分布外の問題では探索が冗長化しがち
- 「最短ルートの創造」ができない
- 条件が動的に増える状況での最適設計の即修正が苦手
- 説明可能性が限定され、生成出力が不安定なことがある
- 同じ指示でも出力が揺れる
- 計算の中間状態が不透明で、誤り位置の特定が困難
| 観点 | LLMの限界 |
|---|---|
| 学習データ依存 | 過去分布に強く、分布外では探索が冗長化。未知の幾何・規則合成は「設計」が必要。 |
| 計算グラフの可観測性 | LLM出力は計算の中間状態が不透明で、誤り位置の特定が困難。 |
| 非決定性・整合性 | 同じプロンプトでも出力が揺れることがあり、クリティカル数値にはAI非推奨。 |
人は、状況を横断的に想像や確認しながら、即時判断、実行を即応して、対応できるので、生成AIに勝ることができます。
今回の例では、世界レベルの人たちが実現されていますが、日常的な対応の中でも、人だから生成AIに勝れる部分は確実に存在していると、私も感じている部分です(^^
■まとめ

生成AIが苦手なことは確実に存在します。ただ逆に言えば、強みを生かしてあげれば、知識の底上げや一部業務にお任せができるので、生成AIやAIエージェントは、最良のパートナやチームメイトになってくれます。
◆AIが得意なこと
- 定型的なデータクレンジング
- 基本的な集計・可視化の提案
- 関数の書き方の提案・サンプル生成
- ドキュメント作成の下書き
- コードの説明・解説
◆人間が担うべきこと
- 非定型問題の設計・アーキテクチャ構築
- AI提案の正否判断(整合性・安定性の評価)
- 最終的な意思決定と責任
- 例外処理・エッジケースの対応
生成AIやAIエージェントを使いこなすコツは、特性やできることを理解し、任せることを任せ、思考負荷を削って自分ができることに集中し、互いを補完する形で、効率的に物事を解決し続けるということではないかなと(^^
- 単純作業はAIに任せる → 人間は「どう設計するか」に集中
- AIの提案を"たたき台"として使う → ゼロから作るより効率的
- AIに質問しながら学ぶ → 新しい関数やテクニックの習得が早まる
「生成AIがすごいから、もう Excel とか基礎的な勉強しなくていいんじゃない?」と考えることもありますが、むしろ逆で、基礎がしっかりしているからこそ、AIを最大限に活用できる。
本質を理解しているからこそ、生成AIの提案の良し悪しが判ります。
基礎がない状態で生成AIに頼りすぎると危険です。生成AIの出力が正しいかどうか判断できないまま使ってしまうリスクがあります。
なので、生成AIを利用しつつも、自分と生成AIが実現していることに向き合い、自分の基礎力を上げ、より良い循環を作っていきましょう!(^^
最後に、日本から史上初のベスト16入りを果たした 山田 大介 さん、おめでとうございます!
来年はもっと多くの日本人選手がこの舞台に立てることを願ってます(^^!








