
前回のコラム
ではトップの理解を得るための戦略をお話しました。
今回は、情シスが会社のヒーローになるための重要なステップの一つである「業務の棚卸と整理」について、以下のステップで考えていきます。
1.業務棚卸の重要性をあらためて認識する
業務の棚卸って結構面倒で時間がかかるので後回しにしがちですよね。まずは重要性を再認識することで、モチベーションを上げていきましょう。
さあ、業務の棚卸へのモチベーションは上がってきましたか?
業務の棚卸は、単なる業務整理や効率化のためのツールではなくて、チームメンバーが自分たちを振り返り、今後に向けた方向性を定め明るい未来を描きだすプロセスなんです。
2.業務棚卸の手順
業務の棚卸は面倒なので、効率的に行いたいですよね。そこでステップを3つに分けました。
業務名 | 担当者 | 関連部門 | 使用 ツール |
重 要 度 |
緊 急 度 |
業務量 (時間/月) |
問題点・改善点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
サーバー管理 | Aさん | インフラ部門 | Windows Server | 高 | 中 | xx | パッチ適用が手動で時間がかかる。自動化の検討。 |
ヘルプデスク対応 | Bさん Cさん |
全社 | Jira, Chat | 高 | 高 | xx | 同じ問い合わせが多い。FAQの整備で対応を簡略化。 |
ネットワーク監視 | Dさん | 全社 | Zabbix, ネットワーク機器 | 高 | 高 | xx | 通信障害時の対応が遅れる場合がある。自動アラートシステムの改善が必要。 |
ソフトウェア更新 | Eさん | 開発部門 | GitHub, Jenkins | 中 | 中 | xx | 部署間の連携が不足し、更新時の不具合が発生。スケジュール共有を強化。 |
ユーザー管理 | Fさん | 人事部 | Active Directory | 高 | 中 | xx | 情報の更新が不定期。定期的な見直しが必要。 |
PCキッティング | Gさん | 全社 | MDT | 中 | 低 | xx | 手動設定が多く、時間がかかる。自動化の検討。 |
セキュリティパッチ適用 | Hさん | ITセキュリティ部 | WSUS, SCCM | 高 | 高 | xx | スケジュールの遅延が発生。計画的な実施が必要。 |
データバックアップ | Iさん | 全社 | Veeam, NAS | 高 | 高 | xx | スケジュール管理が不十分。自動リマインダー導入を検討。 |
各項目の説明
3.業務の整理と改善
業務棚卸はそれだけでも価値が高いですが、棚卸で分かったことを使って、不要な業務の見直しをしたり、自動化や効率化を行うことで、情シス業務の改善を図ればさらに効果的です。
4.業務棚卸の成果の共有とフィードバック
業務の棚卸が終わったら成果の共有とフィードバックを集めることが大切です。
業務棚卸とは、情シスが自分たちのためだけに行うものではなく、関係者に自分たちの業務を知ってもらい、協力してもらうための、重要なコミュニケーション活動でもあることを意識しましょう。
5.継続的な業務改善
業務の見直しを1回行ったとしても、それで終わるわけではありません。
会社をとりまく業務環境は常に変化していますし、人員が増減することもあります。
棚卸を定期的に実施しPDCAサイクル(計画(Plan)、実行(Do)、確認(Check)、改善(Act))を回すことが重要です。
業務棚卸と整理を行うことで自組織を振り返り、ぜひ次のステップへの踏み台にしてください。
おわりに ~ご意見お聞かせください~
本コラムの主旨は単に情報やノウハウを伝えることではなく、読者の方からのフィードバックを受けて各テーマの解像度を高め、実践を積み上げていきたいというものです。
皆様の組織ではどのような課題を持っていますか、解決した事例はありますか。コラムの中で是非ご意見を紹介させてください。
▼是非こちらのフォームよりご意見、ご感想をお寄せください。▼
■著者紹介■
村松 真(むらまつ まこと)
出身:東京都稲城市
ひとこと:情シスの皆様に寄り添うコラムをお届けします
Microsoft Top Partner Engineer Award 2023年 受賞
エンジニアとしてのキャリアに加え、経営や組織開発、文書管理、Microsoft の製品知識、情報セキュリティなど幅広い視点で、中堅中小企業のお客様を支援。
大学に入学した1982年からコンピューターにさわりはじめ、社会人になってからはプログラマー、SE、開発管理などソフトウェア開発全般を経験しました。その後日本マイクロソフト社の有償サポートのマネージャを経てソフトクリエイト社に入社しました。
ソフトクリエイト入社後はサーバー構築やクライアントのドメイン移行や運用支援など、インフラ構築系案件のプロジェクトマネージャーとして経験を積んできました。
2019年に中小企業診断士の資格を取得し、コンピューターシステムだけではなく、経営視点や組織開発、文書管理、情報セキュリティなど様々な角度からお客様のソリューション支援を行っています。
長年情シスのお客様と接していて、頑張っているのになかなか報われない姿をみてどうやったら応援できるだろうかと考え続けてきました。
DXによる変革と、AI活用による業務変革がすべてのお客様に求められる現代において、情シスの価値が爆上がりするチャンスが到来しました。
この機を捉えてブレイクする情シスに寄り添うコラムをお届けしたいと思います。