ITビジネスの成長が欠かせない時代、情報システム部主導でIT戦略を実施するための体制づくりを推進していかなければいけません。しかし、現実は情報システム部の業務範囲は拡大する一方で、「問い合わせ・障害対応」や「システム保守・運用・報告」などの日常業務に追われてしまい、システムの企画立案や構築業務に手が回らないケースも多いようです。
ここでは、この状況を打開するために、どのように情報システム部の働き方を変え、今後、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実施していけばいいのかご紹介しましょう。
情報システム部に求められるデジタルトランスフォーメーション
近年、企業にとってますます「経営戦略」と「IT戦略」が密接な関係になっています。例えば、働き方改革の推進や事業継続計画の策定など、企業価値を高めるために、どのようにITを活用するのかが注目されています。
経済産業省は、2018年12月に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」を発表しました。この発表では、ほとんどの産業で新たなデジタル技術を活用したビジネスモデルを持つ企業が参入してくるため、既存企業は競争力を高めるため「デジタルトランスフォーメーション」の実現を急ぐべきとの見解を述べています。
これは、経済産業省が2018年9月に公表した「DXレポート」でも注意喚起されていたことで、2025年までにデジタル変革できなければ、データ消失リスクなどの理由で、最大で年間12兆円の経済損失が発生すると試算しています。これは「2025年の崖」と呼ばれ、企業はその対策を求められています。 そして、社内でDXへの取り組みをスタートするなら、現在の社内のITを熟知している情報システム部が最適であることは、間違いないといえるでしょう。
情報システム部がDXを実施するためコア業務とノンコア業務を切り分ける
前述したように、企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を変化させるデジタルトランスフォーメーションを実施するなら、情報システム部は今まで以上に社内で重要な部署となっていくでしょう。 しかし、情報システム部の仕事は日々拡大しており、問い合わせ対応や保守などの日常業務で手一杯という状況が散見されています。一方、企業のIT部門は深刻な人手不足を抱えており、「ひとりの情シス」と呼ばれる状態の企業もあります。このような状況では、デジタルトランスフォーメーションの実施はおろか、企画立案すらもままならないでしょう。
そこで、情報システム部が最優先すべきデジタルトランスフォーメーションの実施に注力するためには、情報システム部の業務を見直すことが必要となります。具体的には、現在、情報システム部が行っている業務をすべて棚卸して、「コア業務」と「ノンコア業務」に分類します。
コア業務とは、「IT戦略の企画立案」や「事業計画策定」「インフラ改善企画」など、業務の強化・改善や事業計画に関するものです。デジタルトランスフォーメーションの実施も、このコア業務に含まれるでしょう。 ノンコア業務とは、「システム障害対応」や「サーバーの運用管理」「ヘルプデスク」など、業務継続が主体の仕事になります。
分類ができたら、それぞれの業務についてクラウド化や、アウトソーシングの実施などを検討し、情報システム部がコア業務に集中できる環境を整えていくといいでしょう。
ノンコア業務をアウトソーシングすることがDX実施のカギ
今後、企業がデジタルトランスフォーメーションを実現し、競争力を高めていくには、情報システム部の活躍が欠かせません。そのためには、ノンコア業務をアウトソーシングし、コア業務に集中できる環境が必要となるでしょう。
まとめ
しかし、なんとなくはわかっていても、実際に業務改革するとなると、社内で根回しをして、上司の承認を得るなど、事前の準備も必要です。