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IT Week 秋 2025

AI本格活用の「壁」とは? AI活用の3大誤解も紹介…情シス向けAI活用意識調査2025

情報システム部門
AI

ビジネスへのAI導入が進む現在、本格的な活用を進めたい企業も増えていますが、そこには大きな「壁」があることがわかってきました。今回は、2025年6月にソフトクリエイトが実施し418名の情シスが回答したアンケート結果※を見ながら、組織的にAIを活用する際の「壁」や、よくある誤解について見ていきましょう。
※AI導入・活用における企業の動向と情報システム部門の意識調査 2025(AI導入・活用における情シス意識調査/n=418)

この記事の内容
AIの本格活用は5%未満? 8割の企業が超えられない「壁」
AIの「3大誤解」と「障壁」がAIの本格活用を妨げる?
情シスが考える「AI活用への解決策」
まとめ

AIの本格活用は5%未満? 8割の企業が超えられない「壁」

昨今、ますますAIがビジネスの現場に普及し、その活用の幅が広がっています。特に、AIは業務効率化に効果ありと認識している人々が多いのか、「AI導入の目的」を「業務効率化」と回答した人は92.3%に上ります。このように、AIへと大きな期待を寄せる企業が多い状況ですが、その本格的な活用についてはまだまだこれからのようです。

本格的なAI導入のゴールとしては、「社内外のデータを収集して、AIによる考察や判断を得られるようにする」ことなど、各システムとの連携、生成AIや、分析・予測等が特長である非生成AIの組み合わせなどが求められます。

「AI導入の目的」は「業務効率化」

例えば、非生成AIで「営業データ」や「市場情報」を分析・予測し、その結果をもとに生成AIで提案メールを自動作成する、といった活用方法が考えられます。

そして、ゴールにたどり着くまでのプロセスを次のフェーズに整理しました。このうち、自社が4つのフェーズのどこに位置するのかを聞きました。

フェーズ1:安全な生成AI活用環境の整備
セキュリティガイドライン・ルール策定、利用ポリシーの明確化
フェーズ2:生成AIチャットの業務活用
社内FAQや就業規則の自動応答などに対応
フェーズ3:社内システムと連携した生成AIの本格活用
業務プロセスへの組み込み、代理操作など
フェーズ4:生成AIと分類AIを統合
社内外データを用いた判断・計画業務への活用

「フェーズ1」は28.9%、「フェーズ2」は20.3%ですが、「フェーズ3」と「フェーズ4」を合わせても5%未満という結果となりました。また、フェーズ1未満ともいえる「生成AIを組織としては導入・活用していない」は30.6%で、全体で最多という結果となりました。

生成AI導入フェーズ

これを図で表すと次のようになります。こうして見ると8割がフェーズ3まで到達できていないということがわかります。つまり「社内システムとの連携」や「業務フローへのAIを組み込むこと」などが大きな壁となっているのです。

生成AIの企業導入時間経過

AIの「3大誤解」と「障壁」がAIの本格活用を妨げる?

AIの本格活用には「壁」があることがわかりましたが、何がAI導入や社内展開を阻むことになるのでしょうか。ここでは、AIのよくある「誤解」や「障壁」の回答結果についても注目してみましょう。まず、AIのよくある誤解として多かったのは次の3つです。

図:社内でAI に対して理解不足や誤解があると感じている点(複数回答・抜粋)AIの本格活用には「壁」

「AIの種類」に関する誤解としては、AIには種類があり、それぞれ得意な業務が異なるという点が理解されていない点が挙げられます。下記のように大きく分けても6種類あり、利用目的に合わせて選択する必要があるのです。例えば、「強化学習AIに未来予測」をさせても、うまくいかないということがあります。

AIの種類

次に、「AIは何でも知っていて、正しい回答をくれる」という誤解です。実際、生成AIが持っている情報は百科事典や国語辞書のレベルと言われ、情報がない場合には回答できないだけではなく、ねつ造するというリスクもあります。このAIによるまことしやかな嘘は「ハルシネーション」としても知られ、そのまま回答を利用する場合には注意が必要です。

生成AIが「何でも学んで回答してくれる」という点についても見てみましょう。例えば、膨大なデータベースを与えれば、質問すればそこから期待している回答を抽出してくれる…というような期待を抱いている企業が多いのではないでしょうか。しかし、生成AIの機能は、質問に関連する用語を抽出して文章を作るということ。つまり、データベース側の内容により、回答の精度は変わってしまうということになり、必ずしも期待された回答が得られるわけではありません。

また、AI導入・活用の障壁として「投資対効果が見えない」が51.4%。ちょっとした開発のつもりが予想以上の費用になってしまうことや、試さなければ結果がわからないのに費用がかさんでしまい、AI活用が先に進められないというケースもあるのではないでしょうか。

こうした誤解や障壁がAIの本格活用の妨げになっているものと考えられます。AIの活用に向けて、これらの誤解を解き、障壁を乗り越えていきたいものです。

AI導入・活用の障壁

情シスが考える「AI活用への解決策」

では、AI導入・活用に向けて情シスはどのようにしていくべきか、その「解決策」について聞きました。

AI活用への解決策

最も多かったのが「既存システムとの連携」で43.5%でした。自社の既存システムとAIを連携させることが、本格活用の突破口となることを理解している情シスも多いようです。

続いて、「AIの特性・使い方を熟知し教えてくれるパートナーが必要(31.6%)」「企業導入に向けた教育の支援が必要(27.3%)」という結果となりました。こうした回答からは、自社だけでAIに取り組む難しさを感じている情シスが多いことがうかがえます。

今後も、ビジネスの現場におけるAI活用の流れは加速していくでしょう。だからこそ、自社に不足するAIの知見や技術力を持つ信頼できるパートナーを見極めることも、情シスにとって重要なテーマの1つとなることでしょう。

まとめ

今回は、AIに関するアンケート調査を通じて、情シスが直面するAI活用の「壁」や誤解、解決策を取り上げました。日々進化するAIの動向を踏まえながら、最適な活用を考える際のヒントにしてはいかがでしょうか。

また、本コラムでは調査結果の一部を取り上げましたが、ぜひ、下記の資料をダウンロードして他の結果もご覧いただき、今後の生成AI活用に向けた取り組みの参考にしてみてはいかがでしょうか。

この記事に関連するお役立ち資料を無料でダウンロード
ソフトクリエイトは、企業の情報システム担当者(情シス)に対して、AI活用に関する実態を調査するべく「AI導入・活用に向けた情報システム部門の意識調査 2025」を実施しました。本記事はその一部を抜粋したものですが、より詳細な内容は以下の資料よりご覧いただけます。
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