AIのビジネスでの活用が年々広がっています。しかし、期待の高さに反して本格的な活用にはハードルがあるとの声も耳にします。そこで本コラムでは、AIへの期待と現実のギャップを整理するとともに、本格的な活用へのロードマップの入口として「AIの種類」と「業務課題に応じた使い分けや組み合わせ例」を紹介します。
AI導入への期待と現実のギャップ……なぜAIの種類を知る必要があるのか?
多くの企業でAI導入・活用が進められている2026年。その活用への期待はますます膨らんでいますが、最近は“頭打ち”を感じていないでしょうか。
「様々な業務が効率化できたが、この先の活用イメージができない」
「もっと売上予測や分析に活用できるらしいけれど、どうすればいいの?」
「業界内でAIによる画像分析が話題。自社でも使えるもの?」
「いい感じに Power Point の提案書をまとめてもらえないか?」
“AI活用”が進んでいるように見えても、実際にはチャットAI、要約、案出しといった範囲にとどまりやすく、「もっと業務に役立てられるはずでは?」と理想と現実の間にギャップを感じ始めた頃かもしれません。

では、このようなギャップはなぜ生じるのでしょうか。その大きな理由の1つに挙げられるのが、AIには「種類と役割分担」があるにもかかわらず、その違いが十分に整理されないまま期待が先行してしまうことです。
ギャップを埋めるためには「AI」とひとまとめにせず、AIの種類と得意・不得意分野や、どのような役割を担うのかを知っておく必要があります。そこで、次項ではAIの分類について整理していきましょう。
AIは生成AIと非生成AIの2タイプに大別、さらに6種類に分類できる
近年、生成AIばかりが注目されてきましたが、AIの種類は大きく2タイプ・6種類に分けられます。まず、「生成AI(創造する生成AI)」と「非生成AI(分析・制御するAI)」の2タイプに分けられます。
さらに、生成AIは「推論型AI」「非推論型AI」に、非生成AIは「予測・回帰AI」「クラスタリングAI」「強化学習AI」「探索AI」に分けられます。

例えば、「『強化学習AI』に未来予測をさせてもうまくいかない」というように、AIには得意・不得意があり、適切なAIを選ばないと思うような効果が出ないことがあります。つまり、目的に合わせてAIを選択し、時には組み合わせて活用するのが成功のポイントになります。そこで、次項ではそれぞれのAIがどのような業務に向いているか整理します。
どのAIで何ができる? 6種類のAIの種類を解説
ここでは、さらに詳しく見ていきましょう。まずは、「生成AI」と「非生成AI」の違いを簡単に述べると、次のようなものだと言えます。
- 生成AI:チャット形式で指示を受けて、文章や画像などを生成する「創造するAI」。定性的な情報を扱い、形にまとめることが得意。
- 非生成AI:予測・分類・最適化などの裏側で動く「分析・制御するAI」。チャット型AIのような対話画面(ユーザインターフェース)を持たず、システムに組み込んだり、専用製品として利用したりするケースが多い。
この生成AI、非生成AIに含まれる、下記の6種類それぞれのAIについて、まずはその概要を説明します。

①<生成AI>推論型AI…難しい計画や状況判断が得意
複数の条件を踏まえて考えたり、状況を整理した上で判断したりするのが得意なAIです。単純な文章生成だけでなく、「何をどう進めるべきか」といった段取りや判断を伴う場面で力を発揮します。
一方で、複雑な要件になるほど処理に時間がかかることもあり、軽い作業を素早くこなす用途の非推論AIとは異なります。
②<生成AI>非推論型AI…手軽なAI
要約や言い換え、文案作成などを素早く行う、日常業務で使いやすい生成AIです。チャットで指示するだけで使えるため、議事録の要約やメール文案の作成など、比較的取り入れやすい用途で活用が進んでいます。
Copilot、ChatGPT、Geminiといった日常業務でよく用いられる対話型AIは、基本的には「生成AI」に分類されます。
③<非生成AI>予測・回帰AI…未来を予測するAI
過去のデータをもとに、将来の数値や傾向を予測するAIです。「この先どうなりそうか」を見たい場面で活用されます。文章を作るような業務よりも、数値をもとに傾向を捉え、連続値を予測することに適しています。
例:不動産価格予測、血糖値と体温の予測等、画像認識 など
④<非生成AI>クラスタリングAI…グループ分けするAI
データのグルーピングを行い、傾向や違いを見つけるAIです。顧客のタイプ分けや問い合わせ内容の分類など、「似たものを整理したい」ときに役立ちます。
例:顧客セグメントの抽出 など
⑤<非生成AI>強化学習AI…試行錯誤で賢くなるAI
試行錯誤を繰り返しながら、学習し最適解を見つけるAIです。ロボットの制御など、実際に動きながら最適な行動を身につける場面で使われます。経験を重ねながら改善していくAIと言えます。
例:ロボット制御、囲碁AI など
⑥<非生成AI>探索AI…最適な答えを見つけるAI
複数の候補の中から、条件に合った最適な答えを探すAIです。たとえばルート探索などの際に、ベストのルートを探し出すような場面で活用されます。人が直感では選びにくい組み合わせの中から、よりよい選択肢を見つけるのが得意です。
例:ナビゲーション
ここでは、得意な分野が異なる6種類のAIを取り上げました。業務に合わせて、「適したAIを選ぶ」ことが目的達成のカギとなりますが、実務においては「AIを組み合わせる」も重要なポイントです。そこで、次項ではAIの特長を組み合わせることで、大きな効果を発揮する例をケーススタディで紹介します。
ケーススタディで読む「組み合わせ」により得られるAIの真価
Case 1:「クレーム分析」をしたい場合のAIの組み合わせは?
ここでは、部品Aのクレームを分析する例を取り上げます。製造業のケースとして例示していますが、他の業種にも応用しやすい考え方です。
- 非推論型生成AI:クレーム内容を読み取り、「問い合わせ」「クレーム」「その他」などに分類する
- 推論型生成AI:分析結果を要約・言語化し、人が理解しやすい形でまとめる
- クラスタリングAI/予測・回帰AI:似た内容を分類し、どの商品にどのようなクレームが多いかなどの傾向を分析する
このように、複数のAIが役割分担することで、内容の整理から傾向分析、分析結果の言語化までがスムーズに行われるようになります。

Case 2:「売上分析・売上予測」をしたい場合のAIの組み合わせは?
「この商品の今夏の売上を予測してほしい(為替と自社商品の売上の相関関係も分析する)」という場合には、AIは次のように役割分担しながら処理を進めます。
- 推論型生成AI:ユーザによる質問の意図を解釈し、必要な計算や呼び出すAIの種類を判断する
- クラスタリングAI:データのまとまりや傾向を整理し、分析の切り口を見つける
- 予測・回帰AI:推論型生成AIからの指示を受け、為替データやこれまでの売上データをもとに将来の売上を予測する
ポイントは、推論型生成AIが“司令塔”として、予測・回帰AIに分析や計算をさせている点です。それぞれが得意分野を担うことで、相関分析と売上予測の両方を、より要望に沿った形で得やすくなります。

Case 3:「作業プロセスの改善提案」をしたい場合のAIの組み合わせは?
「工場内を画像認識し、作業プロセスの改善提案をしてほしい」という場合、AIは次のように役割分担しながら処理を進めます。
- 予測・回帰AI:人や物の位置、動きなどを認識し、現場の状況を把握
- 推論型生成AI:センサのデータもとに状況を認識、認識した状況から改善点を示唆
ポイントは、まず予測・回帰AIが現場の状況を認識し、その結果をもとに推論型生成AIが改善案を導き出している点です。こうした組み合わせにより、現場の状況把握だけでなく、具体的な改善提案までつなげやすくなります。

おわりに
本コラムでは、AIには種類があり、それぞれ得意・不得意が異なることを紹介しました。AI活用を本格化するためには、「AIを導入すること」ではなく、「自社の課題に対して、どのAIをどう使うか」を見極めることです。
また、実務では1種類のAIだけで完結するとは限りません。ケーススタディで紹介したように、複数のAIを組み合わせることも有効です。ぜひ、今回の内容を参考に自社の目的に合わせたAIの種類を選び、組み合わせることで本格活用に向けて取り組んではいかがでしょうか。
もし、自社の活用に向けたAIの種類選びや組み合わせに悩んでいる場合にはぜひ、下記よりお問い合わせください。
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