無線LANの最新規格「Wi-Fi 7」が、ビジネスの現場でも注目を集めています。対応機器が市場に出揃いはじめ、企業での導入も徐々に進んでいます。
一方で、アクセスポイントをWi-Fi 7対応製品に入れ替えるだけで、すぐに通信環境が快適になるとは限りません。Wi-Fi 7の性能を十分に引き出すには、端末の対応状況やネットワーク設計、セキュリティなども含めて検討する必要があります。
この記事では、「Wi-Fi 7で何が変わったのか」という基本から、法人環境への導入前に確認しておきたいポイントまで、情シス担当者の方向けにわかりやすく解説します。
この記事の内容を、約5分の動画でも解説しています。
Wi-Fi 7とは?2026年現在の最新規格
Wi-Fi 7は、2024年に策定された無線LANの最新規格です。理論上の最大通信速度は46Gbpsで、Wi-Fi 6の約9.6Gbpsと比べて約4.8倍に向上しています。
Wi-Fi 7の特徴は、単なる通信速度の向上だけではありません。高速化に加えて、低遅延化や混雑時の通信効率向上など、ビジネス環境で求められる通信性能が強化されています。
たとえば、高画質な音声・動画の送受信や、大容量データを扱うクラウドサービスなど、ネットワークへの負荷が大きい業務での活用が期待できます。また、複数の周波数帯を活用することで、通信の安定性や遅延の改善も期待できます。
オフィスや展示会場など、多くの人と端末が集まる環境においても、より安定した無線LAN環境を構築しやすくなるのがWi-Fi 7のメリットです。
Wi-Fi 6から何が変わった?主な進化は3つ
では、Wi-Fi 7は従来のWi-Fi 6から具体的に何が変わったのでしょうか。主な進化のポイントは、次の3つです。
① 4096QAM ― 1回の通信で運べる情報量が約1.2倍に
1つ目は、変調方式の「4096QAM」です。
Wi-Fi 6で採用されている1024QAMでは1シンボルあたり10bitの情報を伝送するのに対し、4096QAMでは12bitを伝送できます。1シンボルあたりの情報量が約1.2倍になることで、通信効率と速度の向上につながります。
② MLO ― 複数の周波数帯・チャネルを活用
2つ目は、「MLO(Multi-Link Operation/マルチリンクオペレーション)」です。
従来は基本的に1つのリンクを使って通信していましたが、MLOでは2.4GHz・5GHz・6GHz帯にまたがる複数のリンクを活用できます。複数のリンクを状況に応じて利用することで、通信の高速化や低遅延化、安定性の向上が期待できます。
たとえば、特定の周波数帯が混雑している場合でも、別のリンクを活用することで通信品質を維持しやすくなります。多くの端末が接続するオフィスなどでは、特に注目したい機能です。
③ チャネル幅320MHz ― 一度に送受信できるデータ量が拡大
3つ目は、最大チャネル幅の拡大です。
Wi-Fi 6では最大160MHzだったチャネル幅が、Wi-Fi 7では最大320MHzに拡大しました。通信に利用できる「道幅」が広がるイメージで、一度により多くのデータを送受信できるようになります。
大容量ファイルの転送や高画質な映像配信など、大量のデータを扱う用途でメリットが期待できます。
Wi-Fi 6とWi-Fi 7の主な仕様を比較すると、次のとおりです。
| 項目 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 7 |
|---|---|---|
| 最大通信速度(理論値) | 約9.6Gbps | 約46Gbps |
| 変調方式 | 1024QAM | 4096QAM |
| 最大チャネル幅 | 160MHz | 320MHz |
| 複数リンクの活用 | ― | MLOに対応 |
Wi-Fi 7導入前に確認したい3つのポイント
「高速・低遅延・安定性」という大きなメリットを持つWi-Fi 7ですが、アクセスポイントを入れ替えるだけで、その性能を最大限に引き出せるわけではありません。
法人環境へ導入する際は、少なくとも次の3つのポイントを事前に確認しておきましょう。
1. 端末側がWi-Fi 7に対応しているか
まず確認したいのが、PCやスマートフォンなど、接続する端末の対応状況です。
アクセスポイントをWi-Fi 7対応製品に変更しても、接続する端末がWi-Fi 6以前の規格にしか対応していなければ、Wi-Fi 7の機能や性能を十分に活用できません。
すべての端末を一度にWi-Fi 7対応へ切り替える必要はありませんが、PCやスマートフォンなどの更新計画と合わせて、段階的に移行することが重要です。既存端末の対応状況と今後の更新サイクルを整理したうえで、導入時期を検討しましょう。
2. ネットワーク設計 ― 広いチャネル幅を生かすには設計が重要
次に重要なのが、無線LANのネットワーク設計です。
Wi-Fi 7では最大320MHzのチャネル幅を利用できますが、広いチャネル幅を利用すれば、どのような環境でも通信品質が向上するわけではありません。周囲の電波状況やアクセスポイントの台数、配置、利用する周波数帯などを考慮した設計が必要です。
特にオフィスや展示会場のように複数のアクセスポイントを設置する環境では、電波干渉やカバレッジを考慮しながら、アクセスポイントの配置やチャネルを設計することが通信品質を左右します。
Wi-Fi 7への移行を機に、現在のアクセスポイントの配置や電波状況も含めて見直すことをおすすめします。
3. セキュリティ ― 既存端末や認証環境との互換性を確認
3つ目は、セキュリティです。
Wi-Fi 7対応環境ではWPA3の利用が重要になります。WPA3は従来のWPA2からセキュリティが強化されている一方、既存のPCやスマートフォン、IoT機器などがWPA3に対応しているかを事前に確認する必要があります。
また、法人環境では無線LANだけでなく、認証基盤やVLAN、VPN、ゲストWi-Fiなどとの連携も考慮しなければなりません。
アクセスポイントの入れ替えだけを考えるのではなく、Wi-Fi 7への移行を「社内ネットワーク全体を見直す機会」と捉えることで、導入後の手戻りやトラブルを抑えやすくなります。
まとめ:Wi-Fi 7はネットワーク全体の設計まで含めて検討を
Wi-Fi 7は、通信速度だけでなく、低遅延化や通信効率、安定性も向上した次世代の無線LAN規格です。その性能を十分に生かすには、対応機器の導入だけでなく、端末やアクセスポイントの配置、チャネル設計、セキュリティまで含めた検討が欠かせません。
導入時は「どの製品を選ぶか」だけでなく、「自社環境でWi-Fi 7の性能をどう生かすか」という視点で、ネットワーク全体を設計することが重要です。
ソフトクリエイトでは、これまでの導入実績や検証で培ったノウハウをもとに、Wi-Fi 7の機器選定からネットワーク設計、施工、保守までワンストップでサポートします。
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