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“便利屋” から脱却したい情シスの皆さんへ

情シスのジレンマ…「忙しい」依存症に陥っていませんか?
第1回( 「情シスショールーム」へようこそ! )では、情シスは「運用から企画へ」、そして「ルーチンからプロジェクトへ」と変革が必要と述べましたが、今回もその続きになります。多くの情シスが今、運用やルーチンに忙殺されているかと思いますが、それで“満足”していると実は危険…というお話しです。

情シスにとって、「日々頼りにされていることは“麻薬”のようなもの」と私はよく話しています。「PC が止まった」「ネットワークにつながらない」「プリントできない」…といったユーザーの困りごとを解決する日々は、忙しくも充実感がある状態かもしれません。しかし、これこそが「忙しいけれど課題がなくならない」情シスの正体であり、「現状から変化したくない」と情シスが考えてしまう理由です。つまり、「日々頼りにされていること=便利屋」状態に依存し変革を拒むようになってしまうというワナがあるのです。

“便利屋”状態がなぜ良くないか。その理由の1つは、本当に情シスしかできない重要な仕事に取り組めなくなることが挙げられます。前回、情シス改革の合言葉は「運用から企画へ」、「ルーチンからプロジェクトへ」と述べました。いま、企業が生き残るためには自社の変革が必要な時代となりました。変革のためには IT の活用は欠かせません。近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれるのも、デジタル化により企業の競争力を高めることで、厳しい時代を勝ち抜くためにほかなりません。

また、変革の中には、不便な業務をデジタル化することで効率化し、社員が働きやすい環境を作っていくことも含まれます。社員が働きやすい環境を IT を活用しながら作っていくこと。これは、自社の業務を理解している情シスが適任に違いないでしょう。

目指すべきは、“便利屋”ではなく、「企画」や「プロジェクト」に関わり、多くの社員にとって便利で働きやすい環境を作ることこそが、情シスが次に担うべき業務です。もし、不便な環境で困っている社員が現れたとして、そのたびごとに助けたとしても、困っている社員が減ることにはつながるわけではありません。ですから、根本的な問題に目を向けてそもそも社員が困らない状況を考え、よりよい環境を IT を活用して提案し、作り出すことが、情シスにはできるのではないかと思うのです。

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出典:『情シス業務の基礎知識 運用編(令和元年版)』より
https://go.softcreate.co.jp/it-div-outsourcing-dx.html.html

情シスは、便利屋ではなく効率化請負人になろう
下記は 「第1回 情シス川柳」 の応募作です。“便利屋”も度が過ぎると社内の困りごとが押し寄せて…。

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なんでもできる「社内の“便利屋”」という評価が人事考課でプラスに働けばよいのですが、実際にはそうではない場合が多いでしょう。情シスは、便利屋でも PC の先生でもありません。

先に述べた通り、情シスは IT を通じて社員の生産性を高めたり、非効率的な問題を根本から改善してくれる人であり、「効率化の請負人」と思ってもらえることを目指したいものです。

そしてもう1つ「運用から企画へ」、「ルーチンからプロジェクトへ」と変革するために重要なのは、情シスは最先端の企業向け IT 事情について勉強をしたり、この先に経営戦略やビジネスゴールと新たな IT がどのように結びつくのかを考えたりする時間を作ることです。例えば、働き方改革や DX を念頭においた新システムを導入する場合、経営層や各部門との対話も必要となりますし、現場の意見を聞いてまわったり、経営に伝え説得する必要もあることでしょう。こうした役割を担うためにも、学び、考え、自分の意見を持っておくことが必要になるのです。

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出典:『情シス業務の基礎知識 運用編(令和元年版)』より
https://go.softcreate.co.jp/it-div-outsourcing-dx.html.html

おわりに
前回・今回と情シス改革の重要性を訴えましたが、これは実際にはとても大変なことだと思っています。しかし、情シスとしての意見を持ち、IT の効果的な活用方法を社内に提案することで、自社のビジネスにとってプラスとなり、社員の利便性も向上することにつながるのです。
実際に試行錯誤している情シスの皆さんにとって、挑戦し続けるためには多様な情報が必要だと思っています。そのためにも、本「情シスショールーム」では、私の体験や現場の例など、良い話も失敗した話(本当はあまりお伝えしたくないですが…)も、できるだけ全国の情シスの方にお届けしていきたいと考えています。
では、次回からは実際の取り組みについてお伝えしていきます。これからも「情シスショールーム」をご愛読いただけますよう、よろしくお願いいたします!



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